★★★ 芦坊の書きたい放題 ★★★

   
           毎週金曜日更新

第201回 キラキラネーム考

2017-01-27 | エッセイ

 小学校の同級生に、下の名前が「三平(さんぺい)」という子がいました。ちょっと軽い感じはあるものの、格別変わった名前でもありません。
 ところが、運悪く(?)当時、林家三平(先代)が、テレビ普及の波に乗って絶頂期でした。お得意のポーズです。

 なので、なにかにつけて、「サンペー、サンペー」とクラスの連中から冷やかされていました。親のせいでも、本人のせいでもないのですが、名付けというのは、難しいものだなと感じたのを覚えています。

 ところで、キラキラネームというのをご存知でしょうか?

 一説によると、20年ほど前に、いくつかの育児雑誌が、アニメとか、マンガの主人公などにあやかった「可愛げな」名前の特集をしたり、紹介をしたりしたのがきっかけで、一部の親たちに流行(はや)りだしたと言われています。

 ネットでググれば、いくらでも出てきます。真偽のほどは保証できませんが、まずは、どんなものか、ネットで拾ってきた例をご覧ください。

 今鹿(なうしか) 
 凸(てとりす)
 愛保(らぶほ)
 爆走蛇亜(ばくそうじゃあ)
 世歩玲(せふれ)
 精飛亜(せぴあ)
 犯士(ひろし)
 思留音菜(しるおな)
 麻楽(まら)
 本気(まじ)
 亜成(あなる)
 愛人(あいと)
 吾郎(ごろう=女の子)
 賢一郎(けんいちろう=女の子)

 まっ、これくらいで十分でしょう。当初は、多少はキラキラした感じの名前が多かったのでしょうが、今やなんでもありの無法地帯の様相です。キラキラを通り越して、ギラギラになってます。
 日本では、名前に使える漢字は制限がありますが、読み方の制約はありません。それを利用というか悪用して、どう考えても、親は、元ヤンキーか、暴走族だろうとか、ゲームオタクだろうとか、単なるダジャレ、面白がってるだけだろうとしか思えないような名前のオンパレードです。

 さて、これら初期のキラキラネーム世代が、就活の時期を迎えて、えらく苦労しているらしいのです。企業の採用担当者は、名前で採否を決めるなどとは、口が裂けても言わないでしょうが、キラキラネームの持ち主は、書類選考の段階で落とされるケースが多いと聞きます。

 まず、採用担当としては、そのような名前を付ける親の良識というか見識を疑います。いかにも軽薄に見える。そんな親の元で育てられた子供って、いかがなものだろう、との疑問は当然抱きます。

 また、子供自身も、変わった名前だからいうので、イジメにあったり、引っ込み思案になったりと、人格形成面で問題を抱えている可能性も、「一般論として」考慮する事にはなるでしょう。まあ、私が採用担当だったとしても、同じような事を考えるはず。

 更には、企業イメージの問題もあります。それなりの会社の場合、キラキラネームの社員が、営業活動などで、社外の人と会う場面を考えた時、変わった名前だからと、覚えてもらいやすい(ある程度まともな名前である事が前提ですが)ことはあるでしょう。でも、そんな名前の人物を採用した会社っていかがなものだろうと、その見識が問われ、企業ブランドに傷がつく可能性も考えなければなりません。

 概ね買い手市場といわれる労働市場で、篩(ふるい)にかける理由は何であれ利用しようという企業の論理と、親が「勝手に」付けた名前で、人生を狂わされかねない子供達の対比、という構図です。

 平凡といえば平凡だけど、姓名判断で「カネを残す」ということで付けられた私の名前。愛情と期待を込めて、まともな名前を付けてくれた両親に、まずは、感謝しなければ、と思います(姓名判断の当否は、まだ結論が出てませんが・・・)。

 いかがでしたか?次回をお楽しみに。


第200回 私の原点

2017-01-20 | エッセイ

 おかげさまで、当「芦坊の書きたい放題」も、節目の200回となりました。「いや~、、単なる通過点ですよ・・・あはは」なんて書きながら、ショボいイラストで、祝ってみました。

               

 「お店のホームページにコーナーを作るから、何か書いてみたら」と、マスターに誘われたのがちょうど4年前。こんなに続けられるとは思ってもいませんでした。

 初めの頃は、何をテーマにするかで、試行錯誤の連続でした。退職した身に、日々、書くに値する事が起こるわけでもなく、読ませるだけの文才など、もとからありません。

 ただ、本を読むのは好きでしたから、読書という体験を中心に据えて、自分なりの工夫でなんとかやってきました。時々お店でご一緒するSGさんからの助言、そして、こちらも愛読者のお一人である「剣喜」さんからの、「もう少し軽妙さ、上質なユーモアが欲しいね」とのアドバイスが大いに助けになりました。読み返してみれば、確かに文章も話題も堅いのが多かったですからね。幸い「大阪弁講座」が好評なこともあって、「軽妙さ」「ユーモア」を心がけて、最近では、少しコツみたいなものが掴めてきたかなと感じてはいます。
 居庵さん、孫平さん、daichiさんから掲示板でいただくコメントも大いに励みになっています。

 さて、これまで書いてきた「量」は、400字詰め原稿用紙換算で、800~900枚くらいでしょうか。両手にずっしりとくる「重さ」を想像したりします。
 
 単行本の1ページが、だいたい原稿用紙2枚見当として、400ページ程度の本が、内容はともかく「量的には」作れることになります。出版などという身の程知らずなことをするつもりは毛頭ありませんが、それだけの量を書いてきた(書けた?)という、ちょっとした感慨はあります。

 なにしろ、小中高を通じて、作文は苦手にしてました。「見たり聞いたりした事、思った事を書けばいい」とよく言われたけれど、日頃、ロクな事は考えてませんし、ドラマチックな事が、そう起こるはずもありませんでしたから。
 しかも、中学1年の同級生に、かの「村上春樹」がいて、文才を発揮しまくってました。優秀作で読まれる作文(作品?)は、彼のが圧倒的に多かったですから。家がすぐ近くで、一緒に通学するなど、仲良くしてましたが、とてもかなわん、と心底思いました。

 で、先年他界した母の遺品を整理していたら、私が、小学校1~2年生の時の「夏休みの絵日記」が出てきました。最後の最後まで、私の小さい頃の思い出を大事にしてくれていたのが、分かって、ほろっとなりました。
 
 恥ずかしながら、一部をヘタな絵とともに、ご紹介しますと・・・
 
           
 ーおとうちゃんがかいしゃからかえってきて「ばんごはんがすんだらはいしゃさんへいこ」といったので、雨の中をかさをさしていきました。おくばを一本ぬいてもらった。ちゅうしゃするとき少しいたかったのでちょっとないたー



           
 ーぼくはあさいつもめをさましますとあさがおのかづをみにいきます。けさは九つさいていました。むらさきやしろがいつもよくさきます。きのうは八つさきました。あさがおのはなはきれいいろですー

 ひらがなだらけで申し訳ありません。小さい頃は、毎日がなにかしら「事件」の連続で、「何を書くか」で悩むことはなかったみたいですね。絵も文章もヘタでどうしようもない。だけど、一生懸命書いてはいるよねっ、と、その時の私に声をかけてやりたくなります。

 思えば、こんなヘタな絵日記が、私なりの「原点」と言えば「原点」。こんな原点から始まって、曲がりなりにも、読んでいただける文章が書けるようになりました。とはいえ、一層の精進、修行の必要性も感じる昨今です。

 場を提供していただいたマスター、そして、日頃、ご愛読いただいている皆様に、あらためて、心からお礼を申し上げます。

 とりあえず、300回を目指してがんばりますので、引き続き、ご愛読ください。


第199回 大阪の難読地名−2(立売堀ほか)大阪弁講座23

2017-01-13 | エッセイ

 大阪の難読地名の第2弾をお届けします。皆様も、クイズ感覚でお楽しみください。

<< 十三(大阪市淀川区 難読度1) >>
 駅でいうと、阪急電車の梅田駅から2つ目。神戸線、京都線、宝塚線の3路線が乗り入れる交通の要衝にして、名だたる歓楽街。ラブホ、風俗、そして、安い飲み屋がいっぱい「らしい」(我ながら、歯切れが悪い・・・)。東京でいえば、プチ歌舞伎町みたいな感じですかなぁ。こんな所です。



 で、思い出すのが、藤田まこと(大阪のオッチャンにとっては、「てなもんや三度笠」で、「あんかけの時次郎」をやってた俳優)が歌ってた「十三の夜」。
 サビで「ネエちゃん~、ネエちゃん~、十三のネエちゃん~~~~」と歌い上げるのが、なんとも可笑しかった。

 「この前、飲みに行ったら、「コルト三十」て、アメリカのピストルみたいなしゃれた名前の店があってんけど、知ってるか?」
 「アホッ、反対から読むからや。それは、「十三トルコ(現ソープランド)」や」
 こんなアブない昔の漫才ネタを思い出しました。正しい読み方が遅くなりましたが、「じゅうそう」です。くれぐれも、大阪のオッチャンに馬鹿にされたり、ネエちゃんに騙されたりせんようにしてください。

<< 立売堀(大阪市西区 難読度3) >>
 区役所に近いことから、公共的な施設と、ビジネスビルが混在したようなエリア。格別の思い入れはないですが、馴染みの地名。ネットでこの地名を見た時、「そうそう、これは、知らんと読めへんな」と思い出しました。「たちうり」から「いたち」は、近いようで遠い気がする。

 ネットの情報ですが、大坂冬の陣、夏の陣で、伊達氏が、堀を開削して、陣を構えたことから、最初は、伊達堀(だてぼり)と呼ばれていたらしい。伊達を「いたち」と読んで(初めは秀吉に服従しながら、最後は徳川方についた伊達氏への、大阪人なりのいやがらせかも)、「いたちぼり」になり、後に材木の立売りが許されるようになったので、漢字だけ「立売」になったとの説。連想ゲームの果てのなるほど、ではある。

<< 道修町(大阪市中央区 難読度2) >>
 ご存知、薬の町。武田薬品など、大手製薬会社が、ここを発祥の地としている。全国的にもメジャーな地名で、大阪人の誇りでもある。市の中心で、多くのビジネスビルに囲まれる中、白壁で、昔ながらの商家の佇まいを残す大店がポツポツ残ってたりする。なかなか趣のある町。
 「道」を「ど」と読むのはまだしも,「修」(私の本名にも使ってますが・・)を「しょう」と読んで「どしょうまち」は無理がある。だから、難読なんですけど。
 いっそのこと、縮めて、「どしょまち」としたほうが、よっぽど大阪らしいのに・・・
 間違っても「どうしゅうまち」などと読まないよう他府県の方は、くれぐれもご注意ください。

<< 竹渕(大阪府八尾市 難読度5) >>
 ネットからのネタです。
 八尾(やお)ですから、かなり南より。いわゆる河内(かわち)の領域です。「たけふち」から「たけち」だったら分かるんですけど、正しくは「たこち」。
 地名としての響きがねえ~、「たこ」ですからねぇ~。なにせ、大阪の女性をからかったりした男に、投げつけられる定番の言い回しが「好かんタコ!」ですから。

 で、ここに、小学校があるんですよ。校名は、当然「竹渕(たこち)小学校」。想像ですけど、通称が「たこ小」だったら、ちょっと生徒が可哀想な気がする。まさか、グレたりはしないでしょうけど。というわけで、難読度は、文句なし(?)の5。

 いかがでしたか?お楽しみいただけましたか?それでは次回をお楽しみに。

<追記>難読シリーズへのリンクです。<第186回><第213回><第231回>。合わせてお楽しみください。


第198回 「ノルウェイの森」で初笑い-英語弁講座10

2017-01-06 | エッセイ

 A Happy New Year! 新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 さて、昨年末は、「日本語」で笑い納めましたので、今年の年頭は、「英語」で、初笑い、というのはどうでしょうか。

 まずは、「ノルウェイの森」をめぐるニンマリしたくなる話題から。

 村上春樹の小説に「ノルウェイの森」があります。ビートルズの曲「Norwegian Wood」にちなんだ絶妙なタイトルですが、この曲名って、どういう意味なんでしょうか。こちらは、ビートルズの方のレコードジャケットです。


 「森」ならwoodsと複数のはず。出だしは、「以前、女の子と付き合ってたんだ。その彼女が部屋に入れてくれたんだ。それって、いいよね。Norwegian Wood」といかにも唐突に、ノルウェイの森だか、ノルウェイ製の家具(という説もある)だかが出て来る。
 曲想については、作詞したジョン・レノン自身が、プレイボーイ誌のインタビューで、「当時の妻シンシアに気づかれないように、他の女性との浮気を書いたもの」と説明している。

 これについて、村上春樹が、エッセイの中で紹介しているエピソードが興味深い。

 ジョージ・ハリソンのマネジメントをしているオフィスに勤めるアメリカ人女性が、「ハリソン本人から聞いた話」として、村上春樹に教えてくれたのはこういう内容だ。

 Norwegian Woodというのは本当のタイトルではなくて、"Knowing she would"というものだった。つまり、「彼女がやらせてくれるって分かってる(のは素敵だよな)」ということだ。ところが、当時のレコード会社は、そんなアンモラルなフレーズは録音できないと文句がついた。で、その時、とっさにジョン・レノンが、その部分を、"Norwegian Wood"と語呂合わせで、変えてしまった、というわけだ。

 なかなか説得力あって、信憑性も高そうですよね。さすが、ビートルズフリークとしても知られた村上春樹。いろんなネタを拾って来ますよね。

 笑えるジョークを2つご紹介します。まずは、こちら。

 TWA(トランス・ワールド・エアラインズ)という航空会社があった頃の話です。
 さる大富豪の箱入り娘がヨーロッパへ新婚旅行に出かけることになった。父親は、大事な娘のことが心配で堪らない。「いいか、スーザン、毎日どんな具合だったか知らせおくれ」と注文された娘は「いいわよ」と答えて、いざ旅行へ。
 翌日、さっそく父親のもとへ電報(そういう時代だったのです)が届いた。
 で、そこには、「TWA」とだけ。当時のアメリカ人はこれだけでも笑えたのでしょうが、タネあかしが必要ですね。TWA社が、その頃、便数の多さをアピールするため、テレビのキャッチフレーズとしてさかんに使っていたのが、これです。
 "In and Out,every five minutes." (5分ごとに"In and Out")
 飛行機ですから、離着陸ですが、新婚旅行なので・・・・・というわけです。

 もう一つ。

 人ひとりがやっと通れる丸木橋の両端から、二人の男が同時に渡り出し、当然の如く、中央で鉢合わせとなった、一方の男が、もうひとりに向かって、威丈高に「おれは,馬鹿モノには断じて道を譲らんのだ」と叫ぶ。
 言われた男の答えは、英語ではこうなっている。
 "Don't you?  I always do."(あんたは、(馬鹿モノには)譲らないのですな。私は、いつも(馬鹿モノに)譲ることにしてます)
 簡潔で、しゃれた切り返しが笑えます。

 いかがでしたか?初笑いしていただけましたか?今年も、「芦坊の書きたい放題」を引き続きご愛読ください。