A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記1069 『NORIO IMAI - Gutai and Later Work』

2015-08-21 23:09:22 | 書物
タイトル:今井祝雄 : 具体とその後
並列書名:Norio Imai : gutai and later work
著者:今井祝雄
企画:アートコートギャラリー
編集:八木光恵、福田亜未、灰田瑞穂(アートコートギャラリー)
デザイン:才村昌子
発行:大阪 : アートコートギャラリー/八木アートマネジメント
発行日:2014.7
形態:77p : 挿図 ; 26cm
注記:「本書は、アートコートギャラリー主催の展覧会『今井祝雄--retrospective--影像と映像』(2014年7月8日~8月2日) に際して出版されました。」--奥付
   今井祝雄作家略歴: p68-76
内容:
序:「白」との再会から/八木光恵
展覧会Ⅰ.今井祝雄―Retrospective―17才から22才
インタビュー/聞き手:平井章一
『Norio Imai』に寄せて/アクセル・ヴェルヴォールト
白い抽象を追い求めて―今井祝雄と1960年代のグローバル・アート/由本みどり
展覧会Ⅱ.今井祝雄―Retrospective―影像と映像
Video Killed the Radio Star―今井祝雄と映像/ミン・ティアンポ
評論と記事(1964~1983年)
作家略歴

購入日:2015年8月21日
購入店:アートコートギャラリー
購入理由:
 明楽和記展「白」(2015年7月31日~8月9日、Gallery PARC)のレビューテキスト執筆の参考文献として購入。職場にあるかと思いきや蔵書になく、図書館にもなかった。ちょうど大阪に出張で行くことがあり、ついでに購入。
 本書はコンパクトながら論考や資料などが充実していて、とても参考になる内容であった。そういえば、日本の美術館ではいまだに今井祝雄の個展が開催されていない。それゆえ今井祝雄の作品を概観できるカタログがなかったわけだが、それはとても不幸なことではある。

未読日記1068 『The medium is the message: Imai Norio』

2015-08-20 23:27:35 | 書物
タイトル:The medium is the message : 今井祝雄
並列タイトル:The medium is the message: Imai Norio
著者:ミン・ティアンポ
翻訳:奥村雄樹
エディトリアルデザイン:小沼宏之
制作進行:鈴木孝史(ユミコチバアソシエイツ)
協力:アートコートギャラリー、アクセル・ヴェルヴォールトギャラリー、株式会社ヒューリスティック
発行日:2014.5
発行:東京 : ユミコチバアソシエイツ
形態:29p ; 21cm
内容:
「The medium is the message : 今井祝雄」ミン・ティアンポ
The artist|authorプロフィール

購入日:2015年8月20日
購入店:ユミコチバアソシエイツ
購入理由:
 明楽和記展「白」(2015年7月31日~8月9日、Gallery PARC)の参考文献として購入。「白」と言えば、今井祝雄の作品を思い出した。そこで、文献等を探した中で初期作品について言及がありそうな本書を購入した。

未読日記1067 『葉書でドナルド・エヴァンズに』

2015-08-19 23:23:23 | 書物
タイトル:葉書でドナルド・エヴァンズに
著者:平出隆
装丁:横田茂
発行:東京 : 作品社
発行日:2001.4
形態:165p ; 21cm
注記:『is』の連載 (no.32-no.45, 1986-1989年) をまとめたもの
内容:
架空の切手の、架空の国への、ほんとうの旅
《ぼくは彼らに、ぼくが書こうとしている本のプランを話しました。それは、少しづつ土地と日付を変えながら、葉書でドナルド・エヴァンズに、短い日記を送りつづけるというものです。葉書にはもちろん、あなたの切手が貼られることでしょう。》

本書は、一九八五年から一九八八年にかけて画家ドナルド・エヴァンズに宛てて書かれ発信された葉書百八十六通のうち、できるかぎり復元し、再度日付の順番に並べ直したものである。




ノート

購入日:8月19日
購入店:日本の古本屋
購入理由:
 田中秀介展テキストのための参考文献として購入。田中の絵画を彼が収集してもいる「絵はがき」と捉えると、架空の切手作品を制作したドナルド・エヴァンズを思い出した。ドナルド・エヴァンズといえば、名著である本書である。学生のときにに読んで、その日本語の美しさ、言葉の瑞々しさに感銘を受けた。これを機に久しぶりに読みなおそうと思いネットで探したところ、状態は悪いものの運よく低価格で見つけることができたので購入。

【ご案内】つくるビルゼミ8月&つくるビルゼミコラムvol.11

2015-08-10 23:19:16 | お知らせ
今月のつくるビルゼミでは、みなさんのこれまでの「夏休みの宿題」を振り返り、今年の「宿題」を片づけるお手伝いをしたいと思います。学生の方から社会人まで、お悩みの宿題を抱えてお集まりください(前日までに「宿題」のデータ・内容をお知らせ頂けると助かります)。

つくるビル8月開催
「解決!夏休みの宿題」
http://www.tukuru.me/?p=4980
2015年8月17日(月)19時~
つくるビル403号室

先月のゼミ内容は以下のコラム参照。
つくるビルゼミコラム vol.11 「つくるビルブックス 夏の100冊」
http://www.tukuru.me/?p=4987

「光路」テキスト

2015-08-09 23:25:47 | お知らせ
光路へ
平田剛志

 光路へ。「あなたがたは世の光である」とは『マタイによる福音書』に書かれたイエスの言葉だが、この世界は「光」に満ちている。目に見える可視光線から不可視の紫外線、赤外線、X線などの電磁波まで、世界にはさまざまな光がある。
 その光を使った光学系機器のひとつがカメラである。写真を意味するフォトグラフィー(Photographie)はPhotoが「光」、graphが「描く」こと意味し、日本では当初「光画」と訳されたように、写真はカメラによって「光で描く」技法だった。

 「光路」とは、光が光学系を横断する際にとる経路を意味する。レンズの機能は、光を集中、発散、反射、屈折させること、つまり、光を集め、像を作り、ものを大きく見せることが働きである。その光がレンズを通過した際にとる行程が「光路」である。
 レンズは光を集めて像をつくるが、レンズだけでは写真はできない。光を感じとり記録する感光材料のフィルムや光を検知する撮像センサ、そして感光材料に光を当てるカメラの部品であるシャッターが必要である。このように写真や映像は光学系機器であるカメラのさまざまな環境や設定によって導きだされた「光路」の結果、記録された「光」なのである。
 本展では、光学装置を通じて、どのように「光」を知覚(Perception)し、制作・投影(Projection)するのか、今村遼佑、大洲大作、前谷康太郎の3人の作品と光学系機器を通じて、「光路」を考察するものである。それぞれの作品は一つの空間で交路し、私たちの進む路(光路・行路)を照らす場となるだろう。

 展示は前谷康太郎の《Womb》(2011)から始まる。本作は、光を記録した映像作品である。前谷は自作のカメラオブスキュラのレンズに赤い画用紙を取り付け、大阪環状線に乗車して車窓を撮影した。映像は赤いが、時にまばたきをするように明滅する。画用紙でレンズを塞ぐことで見える「光」がある。それは、人が生まれる前の母親の子宮(womb)のなかで光の強弱を認識していたときの「光路」なのかもしれない。人間が母の胎内の闇から生まれるように、映像はカメラの闇から生まれる。「光路」とは子宮でもある。

 大洲大作は、インスタレーション《光のシークエンス・métro》(2015)と写真作品《光のシークエンス・Ombre《奥羽本線》》(2015)の2点を展示する。《光のシークエンス・métro》は、地下鉄の地下、暗闇の中で灯る「光のシークエンス」を捉えた作品である。写真は地下鉄車両のドア窓を思わせる2つの縦長スクリーンにランダムにプロジェクションされ、車窓を過ぎゆく風景/光路を見るだろう。闇がなければ光は見えない。私たちが闇に見る光はいつかの「光路」だったかもしれない。
 一方、《光のシークエンス・Ombre《奥羽本線》》も同じく車窓を捉えた1作である。中央に丸く黒々としたものが見えるが、本作は雪景色のなかの木立の茂みを捉えた写真なのである。地下鉄内のシークエンスとは異なり、地上の光景のなかに「闇」を見い出した写真である。大洲作品にとって「光路」は、車窓がレンズのように光を反射、屈折させて生み出す「光のシークエンス」なのである。

 今村遼佑の《街灯と辞書》(2015)は、辞書のなかの「過去」「現在」「未来」「night」の言葉を小さな街灯が照らす作品である。大洲、前谷が車窓の「光」を捉えたように、光は時間でもある。今村は、過去と現在、未来を街灯で照らしだすことで、光のように過ぎゆく言葉と時間に光を灯すのである。あたかも夜道を照らす街灯のように、言葉は私たちの「光路」を照らしているのかもしれない。言葉とは啓蒙(Enlightenment)であり、光であった。
 また、《窓》(2015)は、窓越しに挿しこむ朝日を捉えた映像である。部屋はカメラオブスキュラのように、カーテン越しの光を捉え、柔らかい朝の光が「時間」として記録される。

 彼ら3人に共通するのは、それぞれが「窓」を通した光を作品化していることであろう。電車の車窓、室内の窓から差し込む「光路」の記録なのである。そして、街灯は言うまでもなく、プロジェクター、モニター、今展のイベント時のみ使用したスライド映写機などさまざまな光学機器によって、光をプロジェクションする。ともすれば最初は、それが「光」であること、映像や写真であること、動いていることさえ気づかないかもしれない。だが、彼らの作品は、この世界が光で満ちていることを、過ぎゆく電車の車窓やめくられた本の1ページ、いつもの朝日の光を通じて視覚化するのである。本展で私たちが見るのは、足元を照らしだす一つのあるいは無数の「光路」であった。(2015.08.08)


前谷康太郎《Womb》(2011)


今村遼佑作品

「光路」Optical Path
出品作家:今村遼佑、大洲大作、前谷康太郎
企画:平田剛志(京都国立近代美術館研究補佐員)
会期:2015年7月25日(土)~8月8日(土)
会場:SAI GALLERY

掲載写真クレジット
撮影:大洲大作

未読日記1066 『光あるうち光の中を歩め』

2015-08-08 23:21:15 | 書物
タイトル:光あるうち光の中を歩め (新潮文庫)
タイトル別名:Ходите в свете пока есть свет
著者:トルストイ
訳者:原久一郎
デザイン:新潮社装幀室
発行:東京 : 新潮社(新潮文庫, ト-2-8, 375)
発行日:2015.2第100刷(1952.6第1刷)
形態:153p ; 16cm
注記:「大トルストイ全集」第9巻 (1937年中央公論社刊) 収載のものを大幅に改訂して新潮文庫に収録 (1952年6月). さらに2005年5月、原卓也により90巻トルストイ全集第26巻をテキストとして抜本的に改訂.
内容:
欲望や野心、功名心などの渦巻く俗世間にどっぷりつかっている豪商ユリウスと、古代キリスト教の世界に生きるパンフィリウス。ユリウスは何度かキリスト教の世界に走ろうと志しながらも、そのたびに俗世間に舞いもどるが、しかし、長い魂の彷徨の末についに神の道に入る。──福音書に伝えられているキリストの教えに従って生きよと説いた晩年のトルストイの思想を端的に示す。

閑人たちの会話 『光あるうち光の中を歩め』のプロローグ
光あるうち光の中を歩め――原始キリスト教時代の物語――
解説 原卓也

購入日:2015年8月7日
購入店:大垣書店 二条駅店
購入理由:
 企画した展覧会「光路」のための参考文献として購入。会場配布用としてテキストを早く用意したかったが、なかなか時間が足りず、結局最終日に配布となってしまった。
 本書のことは、「光」についていろいろな文献を調べているなかで見つけた。ここでの「光」とは、キリスト教のことだが、このタイトルはすばらしい。小説とはいえ、対話形式なのでプラトンの著作を読んでいるような気になる。

未読日記1065 『ディズニー美術』

2015-08-07 23:00:46 | 書物
タイトル:ディズニー美術
別タイトル:Disny Art
企画:岡本光博
助成:アーツサポート関西
協力:家本真実、大久保美紀、栗田真一
撮影:澤田華
本デザイン:高須健市
発行:[京都] : KUNST ARZT
形態:[18]p ; 22cm
注記:展覧会カタログ
    会期・会場: 2015年4月28日-5月10日:KUNST ARZT
    出品作家: 入江早耶、岡本光博、Pilvi Takala、高須健市、福田美蘭
内容:
「「夢の国」を支える者―なぜ本展が開かれるのか―」作田知樹
入江早耶 IRIE Saya
岡本光博 OKAMOTO Mitsuhiro
高須健市 TAKASU Kenichi
福田美蘭 FUKUDA Miran
ピルビ・タカラ Pilvi Takala
「"Real Snow White": ピルビ・タカラへの8つの問い」大久保美紀

購入日:2015年8月7日
購入店:KUNST ARZT
購入理由:
 名前からして挑発的に見えるが(事実その面もあるが)、展覧会としては真摯にディズニーの受容やイメージを問う知的刺激に満ちた展覧会であった。本展について著作権の問題ばかり語られてしまう点は否めないが、ディズニーを換骨奪胎したアーティストたちに脱帽する。萎縮していては表現も創造も生まれない。絵本のようなスポンジ状の表紙装丁も力作。
(表紙のへこんだスジは、カバンに入れていた際に、表紙に跡がついてしまったもの。申し訳ございません。)


未読日記1064 『鳥の目から世界を見る』

2015-08-03 23:46:47 | 書物
タイトル:鳥の目から世界を見る
制作:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA(社会福祉法人グロー(GLOW)~生きることが光になる~
発行責任者:北岡賢剛
構成:田端一恵、齋藤誠一
執筆:浅井俊裕 [ほか]
デザイン:大向デザイン事務所
写真:大西暢夫
発行:近江八幡 : ボーダレス・アートミュージアムNO-MA
発行日:[2015]
形態:18p ; 21x30cm
注記:タイトルは表紙による
    展覧会カタログ
    会期・会場: 2015年4月29日-8月2日:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA
    主催: ボーダレス・アートミュージアムNO-MA
    おもに図版
    出展作品リスト: p18
内容:
ごあいさつ
「鳥の目から世界を見る」はたよしこ
戸倉清志(はたよしこ)
山口晃(浅井俊裕)
香川定之(羽鳥智裕)
白石裕則(はたよしこ)
山田美智子(横井悠)
吉田初三郎(井上善博)
作家略歴・出品リスト

購入日:2015年8月2日
購入店:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA
購入理由:
 アール・ブリュットの作品を「鳥の目から世界を見る」鳥瞰図に注目し、吉田初三郎、山口晃も加えた展覧会。まさか吉田初三郎が展示されるとは思わなかったので、楽しみに見に行く。アール・ブリュットの作品には鳥瞰図がよくあると思っていたが、こうして見ると「地図」から逸脱した初三郎の鳥瞰図がいちばん「地図」に見える。
 山口晃は旧作、インクジェットプリントの3点のみというのは予算の都合か。また、戸倉清志の作品が床から見下す展示だったのは企画主旨に沿うものだが、1点を近くで見られなかったのは残念だった。

未読日記1063 『The Glory (of phenomenon): Act I』

2015-08-02 23:54:51 | 書物
タイトル:The Glory (of phenomenon): Act I 
編集:藤田千彩
翻訳:Nagisa Kinoshita
写真:Tomoki Moriya
ブックデザイン:Akira Nishitake
発行:[大阪] : Tezukayzma Gallery
発行日:2015.7
形態:[22]p ; 21×21cm
注記:展覧会カタログ
    会期・会場: 2015年6月30日-8月1日: Tezukayama Gallery
    出品作家:山下耕平、須賀悠介
内容:
Introduction
図版
「vista」村田宗一郎
作家略歴

頂いた日:2015年8月1日
 Tezukayzma Galleryにて「THE GLORY (of phenomenon) ACT I 山下耕平 須賀悠介」展を拝見しに行った際、会場にて頂いた1冊。
 本展で何よりすばらしいのは、フライヤーや本書の表紙に使われている虹輪(光輪)の写真である。この写真に魅かれて会場を訪れた私のような人間もいるかもしれないが、残念なことに会場では虹輪は見られなかったし、虹輪を越えるような作品もまた見ることはできなかった。

未読日記1062 『M60』

2015-08-01 23:33:16 | 書物
タイトル:M60 : 長谷川学
並列タイトル:M60: Manabu Hasegawa
発行:[大阪] : [Tezukayzma Gallery]
発行日:c2015
形態:[22]p ; 21×21cm
注記:展覧会カタログ
    会期・会場: 2015年3月27日-4月25日: Tezukayama Gallery
内容:
introduction
図版
作家略歴

頂いた日:2015年8月1日
 Tezukayzma Galleryにて「THE GLORY (of phenomenon) ACT I 山下耕平 須賀悠介」展を拝見しに行った際、会場にて自由配布されていたので頂いた1冊。
 本展示は残念ながら見れなかったが、鉛筆と紙によって「銃器」をつくる作品のようである。図版では、フラットになってしまって、立体感がいま少しわからない。例え平和を希求する心から生まれた作品にせよ、銃火器を制作するというのは、一定以上の暴力性や威圧感を与える点は否めない。平和な日本だからこそ、このような作品を売買することの批評性、政治性もあるのだろう。論理的には理解できるが、私には飲み込みにくい発想でもある。いつか実作を拝見する機会を待つとしたい。