A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記1076 『セザンヌ 画家のメチエ』

2015-08-28 23:53:57 | 書物
タイトル:セザンヌ 画家のメチエ
タイトル別名:Paul Cézanne
著者:前田英樹
装丁:鈴木一誌
発行:東京 : 青土社
発行日:2000.2
形態:301p, 図版4枚 ; 20cm
注記:セザンヌの肖像あり
内容:
画家はなぜ絵を描くのか
山、川、雲、岩、樹木、家、林檎、農夫…プロヴァンスの自然に強いられ、肉体を酷使し続ける、仕事の犬=セザンヌ。驚くべき絵画表現を可能にした、画家の感覚の秘密を一挙に解き明かし、絵画の魅力の根源を論じきった、まったく新しいセザンヌ論の誕生。

自然は、セザンヌの感覚の通路に向かって、プロヴァンスの土を発色させるその同じやり方で、農夫たちの生を発色させる。[・・・]その色が、セザンヌには見える。座る農夫の皮膚に、衣服に、二人を取り巻くあらゆるものに。画家の感覚は、カンヴァス上に置くべき色の諸プラン(面)を探り、それに行き当たる。すると、二人の姿態はいよいよ緊密な張りを持つ。顔はいかなる表情も洗い流し、沈思の化身となって定まる。農夫の刈り取る麦が、何の偽りもなく、その土地の土がもたらす味を持つように、この絵は、プロヴァンスの土の色をもって刈り取られる。  (本書より)

目次
1 仕事の犬
2 オーヴェールの光
3 第一回印象派展
4 顕われるモチーフ
5 色斑から色の 「プラン」 へ
6 純粋感覚
7 マンシーの橋
8 静物、置かれる自然
9 画家の肖像
10 妻、オルタンス
11 ランティエとフレンホーフェル
12 灰色の山
13 裸体の記憶
14 座る農夫
15 フローベールの老婆
16 静物礼賛
17 来訪者
18 犬と庭師


あとがき

購入日:2015年8月24日
購入店:日本の古本屋
購入理由:
 田中秀介展「私はここにいて、あなたは何処かにいます」(2015年6月30日~7月12日、Gallery PARC)のレビューテキストの参考文献として購入。
 今展を見たとき、曲り道の風景画、遠近がゆがんだ室内画や静物画などからゴッホやセザンヌなどポスト印象派の絵画を思い出した。ならばセザンヌが絵画で行ったことを振り返ろうと思い、想起したのが本書であった。以前にも図書館で借りて一度読んでいるのだが、久しぶりに再読しようと思い新たに購入。
 前田英樹は『独学の精神』や『民俗と民藝』などで好みの著者なのだが、本書は抽象的、形而上的な思考や論述が多く、かなり歯ごたえがあって、読み進むのに体力がいる。