A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

TOUCHING WORD 066

2008-10-23 00:37:06 | ことば
君はわたしをうらやむべきではない、ゴルトムントよ。君が考えているような平和は存在しない。平和というものは確かにあるが、われわれの内に持続的に宿り、われわれからもはや離れることのないような平和は存在しない。常にくり返し不断の戦いによって戦い取られ、毎日毎日あらたに戦い取られなければならないような平和があるばかりだ。君はわたしが戦っているのを見ない。君はわたしが研究しているときの戦いを知らない。祈祷室でのわたしの戦いを知らない。君がそれを知らないのはいいことだ。君は、わたしが君ほどむら気に左右されないのを見るばかりだ。それを君は平和だと思っている。だが、それは戦いなのだ。正しいすべての生活がそうであるように、君の生活もそうであるように、戦いと犠牲なのだ。
(p.310 「知と愛」『新潮世界文学37 ヘッセⅡ』ヘルマン・ヘッセ 高橋健二訳 新潮社1968.11)

今日、平和を得るための戦いでどれほどの犠牲をしたことだろう。ときどき平和より、犠牲にされる時間とエネルギーに悲しみを憶える。


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