A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記1259 『The Play since 1967 : まだ見ぬ流れの彼方へ』

2016-12-04 22:10:49 | 書物
タイトル:The Play since 1967 : まだ見ぬ流れの彼方へ
別署名:The Play since 1967 : beyond unknown currents
編集:橋本梓
編集補助:尹志慧、石黒裕加子、館かほる、望月由衣
翻訳:クリストファー・スティヴンズ(和文英訳)、石黒裕加子、橋本梓(仏文和訳)、有限会社プリモ(仏文英訳)
デザイン:木村稔将
発行:大阪 : 国立国際美術館
発行日:2016.10
形態:199p : 挿図 ; 30cm
注記:展覧会カタログ
   会期・会場: 2016年10月22日-2017年1月15日:国立国際美術館
   主催: 国立国際美術館
   プレイ略歴: p [8]
   年表: p183-[193]
   参考文献: p [194]-198
内容:
ごあいさつ
プレイ略歴

図版
1 「ハプニング」から始まった
2 旅する、暮らす、流れる
3 風景を変える
4 体験する
5 美術館を解き放つ
6 記録する
メンバー略歴

メンバーへの質問

論考
1 「初期プレイの「ハプニング」—世界美術史からの一考察」富井玲子
2 「親愛なるプレイヤーへ」ヨアン・グルメル&エロディ・ロワイエ
3 「プレイ、49年の歩み」橋本梓

資料
年表 1967-2016
参考文献
謝辞

購入日:2016年12月3日
購入店:国立国際美術館ミュージアムショップ
購入理由:
 あまり期待もせずに見に行ったら、実におもしろく、カタログを買ってしまった。最近、「アート」の名を掲げたパフォーマンスや制度批判やらアート風味の「アート作品」が多くてげんなりしているので、その手のものだったら時間を割きたくないな、と思いながら展示室に入った。だが、展示室で目にしたのは膨大な記録展示であった。むしろその記録展示が博物館展示のように淡々としていて、政治性も愛も憎しみもメッセージもなく、時間が経った分だけ距離感があり、鑑賞者の判断、見方ができる風通しのよさがよかった。その記録は、10年間雷を待つ、風に向かって歩くなど、「ゴドーを待ちながら」を思わせる無意味さ、冗長さ、退屈さという時間=人生を生きていることに、返って清々しさを感じてしまうのだ。
 一方、私が度肝を抜いたのは、兵庫県立近代美術館2階の窓を外して開け放ち、窓を部屋中央に展示した「MADO 或いは返信=埒外のものを愛せよ」であった。おそらく現在では不可能な試みだろう。この設営写真がかっこよくてすばらしいが、展覧会に出ている写真がどれもすばらしいのは、どの作品(プロジェクトとはあえて言わないが)も「設営」中であり続けるような、仮説的状況にあるのだろう。
 プレイをやり続けることに、名声も経済的な収入もないだろう。だが、それら資本主義の「欲望」が叶わないがゆえに、芸術の本質的な衝動や発生を軽やかに提示した軌跡と言えるだろう。