A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記1012 『アウトサイダー・アート』

2015-03-13 23:18:09 | 書物
タイトル:アウトサイダー・アート (光文社新書)
シリーズ名:光文社新書; 114
著者:服部正
装幀:アラン・チャン
口絵レイアウト:スタジオキキ
発行:東京 : 光文社
発行日:2003.9
形態:237p, 図版 [8] p ; 18cm
注記:参考文献: p234-237
内容:
「アウトサイダー・アート」とは、精神病患者や幻視家など、正規の美術教育を受けていない独学自修の作り手たちによる作品を指す。20世紀初頭にヨーロッパの精神科医たちによって「発見」されたこの芸術は、パウル・クレー、マックス・エルンスト等の前衛芸術家たちにも多大な影響を与えた。戦後には、フランスの画家ジャン・デュビュッフェがヨーロッパ各地から作品を収集し、それを「アール・ブリュット(生の芸術)」と呼んで賞賛したことから「価値」が高まった。近年、日本でもそれらの作品への関心が急速に高まりつつある中、モダン・アートが置き忘れてきた「もうひとつのアート」の魅力に迫る。

目次
はじめに
第1章 アウトサイダー・アートとは何か
第2章 ヨーロッパ前衛芸術家たちによる賞賛
第3章 アウトサイダー・アートの「発見」
第4章 日本のアウトサイダー・アート
第5章 未知の領域
第6章 描かずにはいられないから描く―五つの展示室から
おわりに
参考文献

購入日:2015年3月13日
購入店:Amazon.co.jp
購入理由:
 翌週に参加させて頂く「もうひとつの見方 奈良の障害のある人の表現展」トークセッションのための参考文献として購入。アウトサイダー・アートは専門ではないので、まずは何が語られ、語られていないのか見取り図として本書は参考になると思い購入。実際、歴史や論点がとても整理されていてわかりやすい。作品の考察・分析も美術史の蓄積を踏まえてなされており、批評・評論としても新たな視点を与えてくれる1冊である。
 なお、日本の近現代美術における「アウトサイダー・アート」の位置づけについては、服部正・藤原貞朗著『山下清と昭和の美術―「裸の大将」の神話を超えて―』(名古屋大学出版会、2014年)をおすすめする。膨大な資料を駆使した論述は実に刺激的興奮に満ちている。名著。