退屈きわまりないのが 平和
単調な単調なあけくれが 平和
生き方をそれぞれ工夫しなければならないのが 平和
男がなよなよしてくるのが 平和
女が潑刺としてくるのが 平和
好きな色の毛糸を好きなだけ買える
眩しさ!
ともすれば淀みそうになるものを
フレッシュに持ち続けてゆくのは 難しい
戦争をやるより ずっと
見知らぬ者に魂を譲り渡すより ずっと
けれど
わたくしたちは
それを
選んだ
茨木のり子「スクラップブック」から『茨木のり子全詩集
』花神社、2010年、p.338.
わたしたちは平和を選んだはずなのに、選んだその時のことを忘れてしまっているのかもしれない。
単調な単調なあけくれが 平和
生き方をそれぞれ工夫しなければならないのが 平和
男がなよなよしてくるのが 平和
女が潑刺としてくるのが 平和
好きな色の毛糸を好きなだけ買える
眩しさ!
ともすれば淀みそうになるものを
フレッシュに持ち続けてゆくのは 難しい
戦争をやるより ずっと
見知らぬ者に魂を譲り渡すより ずっと
けれど
わたくしたちは
それを
選んだ
茨木のり子「スクラップブック」から『茨木のり子全詩集
わたしたちは平和を選んだはずなのに、選んだその時のことを忘れてしまっているのかもしれない。