いわく、「あらゆることがいっぺんに起こらないために、時間は存在する……あらゆることがすべて一人の身に起こらないために、空間は存在する」。
この基準で考えると、小説は空間と時間の理想的な乗り物だ。小説は時間を示してくれる――つまり、あらゆることが同時に起こるのではない(順番があり、流れがある)。空間も示してくれる――つまり、ものごとは一人の人物だけに起こるのではない。
言い換えるなら、小説は単なるひとつの声ではなく、ひとつの世界の創造だ。時間のなかに生き、世界に住み、経験の意味を理解しようとしている私たちが、そういう自分の経験する構造。小説はその本質構造を模倣している。
スーザン・ソンタグ『同じ時のなかで
』木幡和枝訳、NTT出版、2009年、p.305
世界に空間と時間があってよかった。
この基準で考えると、小説は空間と時間の理想的な乗り物だ。小説は時間を示してくれる――つまり、あらゆることが同時に起こるのではない(順番があり、流れがある)。空間も示してくれる――つまり、ものごとは一人の人物だけに起こるのではない。
言い換えるなら、小説は単なるひとつの声ではなく、ひとつの世界の創造だ。時間のなかに生き、世界に住み、経験の意味を理解しようとしている私たちが、そういう自分の経験する構造。小説はその本質構造を模倣している。
スーザン・ソンタグ『同じ時のなかで
世界に空間と時間があってよかった。