タイトル:美しき九州 「大正広重」吉田初三郎の世界
編者:益田啓一郎
編集協力:北九州市立自然史・歴史博物館 日比野利信
撮影協力:フォトオフィス・トオノエ、有川宜博、加藤昭彦、川口隆、松尾健、山田満穂
デジタルアーカイブ:合資会社アソシエ(WEB地図の資料館)
発行:有限会社海鳥社
印刷・製本:大村印刷株式会社
発行日:2009年2月10日
定価:2300円+税
内容:
B5判、111ページ、ソフトカバー
第1章 吉田初三郎と九州観光
初三郎作品の魅力
パノラマ地図の誕生
泉都別府に夢を賭けて
日本新八景と国立公園
戦中・戦後の活動
第2章 パノラマ地図の世界
都市の「発展」を記念する(都市図)
拡がる鉄道と沿線(鉄道沿線図)
温泉王国九州(温泉・旅館図)
神々の九州(神社図)
外地への夢(外地図)
その他作品
研究概要・資料
印刷技術の進化と初三郎作品
初三郎作品に出会える所(九州・山口編)
吉田初三郎略年表
吉田初三郎研究の課題と活用
吉田初三郎作品リスト(九州・山口編)
協力先・参考文献一覧/研究会のご案内
(目次より)
購入日:2010年12月4日
購入店:ジュンク堂書店 京都店
購入理由:
タイトル通り「「大正の広重」吉田初三郎の世界」を知りたくて購入。本書は、平成20年10月11日~11月30日に北九州市立自然史・歴史博物館にて開催された「美しき九州の旅―『大正広重』初三郎がえがくモダン紀行―」の展覧会図録を再編纂したものである。展覧会の内容は「九州の旅」に焦点があてられてはいるが、図版ではそれ以外の地域の作品も多く掲載されている。
本書の見どころは、これまでの初三郎本のなかでも最も未公開資料の掲載が多い点であろう。家族に宛てた書簡類、地図以外の作品として絵巻、ポスター、絵はがきなどの作品図版も掲載され、知られざる1面を見ることができる。
だが、これほど豊富に資料や図版が掲載されながら、まとまった論文の1つもないのが残念だ。資料類は文字のテキスト化もなく、作品図版も小さいので、地図上の文字が判読できず読むこともできない。こういった作品上の文字情報及び文字資料類は可能であれば日本美術の展覧会図録のようにテキスト化してほしかった。
巻末の「吉田初三郎研究の課題と活用」を読むと、編者の益田氏はグラフィック・デザインを仕事とするデザイナーであるようだ。その仕事上、デザインの資料を探す過程で初三郎の作品に出会い、収集を始めたのが初三郎研究のきっかけだという。初三郎研究というのは、このような在野の個人研究者やコレクターの方が中心となって進められているのが現状で、学芸員、研究者による研究参加を望みたい。
また、今後の初三郎研究のためにも、資料類をまとめた初三郎全集をどこかの出版社から出版して頂けるとうれしいのだが。
編者:益田啓一郎
編集協力:北九州市立自然史・歴史博物館 日比野利信
撮影協力:フォトオフィス・トオノエ、有川宜博、加藤昭彦、川口隆、松尾健、山田満穂
デジタルアーカイブ:合資会社アソシエ(WEB地図の資料館)
発行:有限会社海鳥社
印刷・製本:大村印刷株式会社
発行日:2009年2月10日
定価:2300円+税
内容:
B5判、111ページ、ソフトカバー
第1章 吉田初三郎と九州観光
初三郎作品の魅力
パノラマ地図の誕生
泉都別府に夢を賭けて
日本新八景と国立公園
戦中・戦後の活動
第2章 パノラマ地図の世界
都市の「発展」を記念する(都市図)
拡がる鉄道と沿線(鉄道沿線図)
温泉王国九州(温泉・旅館図)
神々の九州(神社図)
外地への夢(外地図)
その他作品
研究概要・資料
印刷技術の進化と初三郎作品
初三郎作品に出会える所(九州・山口編)
吉田初三郎略年表
吉田初三郎研究の課題と活用
吉田初三郎作品リスト(九州・山口編)
協力先・参考文献一覧/研究会のご案内
(目次より)
購入日:2010年12月4日
購入店:ジュンク堂書店 京都店
購入理由:
タイトル通り「「大正の広重」吉田初三郎の世界」を知りたくて購入。本書は、平成20年10月11日~11月30日に北九州市立自然史・歴史博物館にて開催された「美しき九州の旅―『大正広重』初三郎がえがくモダン紀行―」の展覧会図録を再編纂したものである。展覧会の内容は「九州の旅」に焦点があてられてはいるが、図版ではそれ以外の地域の作品も多く掲載されている。
本書の見どころは、これまでの初三郎本のなかでも最も未公開資料の掲載が多い点であろう。家族に宛てた書簡類、地図以外の作品として絵巻、ポスター、絵はがきなどの作品図版も掲載され、知られざる1面を見ることができる。
だが、これほど豊富に資料や図版が掲載されながら、まとまった論文の1つもないのが残念だ。資料類は文字のテキスト化もなく、作品図版も小さいので、地図上の文字が判読できず読むこともできない。こういった作品上の文字情報及び文字資料類は可能であれば日本美術の展覧会図録のようにテキスト化してほしかった。
巻末の「吉田初三郎研究の課題と活用」を読むと、編者の益田氏はグラフィック・デザインを仕事とするデザイナーであるようだ。その仕事上、デザインの資料を探す過程で初三郎の作品に出会い、収集を始めたのが初三郎研究のきっかけだという。初三郎研究というのは、このような在野の個人研究者やコレクターの方が中心となって進められているのが現状で、学芸員、研究者による研究参加を望みたい。
また、今後の初三郎研究のためにも、資料類をまとめた初三郎全集をどこかの出版社から出版して頂けるとうれしいのだが。