A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記431 「パラモデル」

2010-09-03 23:53:08 | 書物
タイトル:Paramodel (パラモデル)
著者:パラモデル
企画:森裕一(MORI YU GALLERY・SILVART Co., Ltd.)
編集協力:池上司、住友文彦
翻訳:クリストファー・ステイヴンズ、鈴木慶子、住友文彦
デザイン:豊永政史(SANDWICH
発行:株式会社青幻舎
印刷製本:株式会社サンエムカラー
発行日:2010年7月15日
定価:2500円+税
内容:
A5判、336頁、日英

「古い世界から現れる新しさ」ルーベン・キーハン(キュレーター/アートスペース)
パラモデルの 世界はプラモデル
「パラモデルをよく見ればわかる三つのこと」池上司(西宮市大谷記念美術館学芸員)
P-1 2001-2003
P-2 2004-2006
「無限会社 パラモデル」近藤由紀(青森公立大学 国際芸術センター青森学芸員)
P-3 2007-2010
「パラモデルのインスタレーションとプラスチックな世界」畠中実(NTTインターコミュニケーション・センター[ICC] 主任学芸員)
「Pアートに関する、更新の続いてゆく断章」パラモデル
「「P」が切り開く共生の感覚」住友文彦(キュレーター/アーツ・イニシアティブ・トウキョウ)
作品目録
作家略歴
参考文献
(本書目次より)

購入日:2010年7月29日
購入店:西宮市大谷記念美術館
購入理由:
 西宮市大谷記念美術館で開催された「パラモデルの 世界はプラモデル」(2010年6月26日~8月1日)の展覧会図録。
 入ってすぐ館内全体を使って展開されたインスタレーションに驚く。館内に張りめぐらされたプラレールの線は増殖するように床から天井まで広げられ、線路はどこまでも続く。これまで何度かギャラリーで展示は見てきたが、ここまでポテンシャルのある作家だとは思わなかった。彼らはプラレールという遊具を素材とすることから、軽く見られてしまう傾向があるが、かなり建築的スケールで作品を制作するアーティストグループのようだ。
 そして、広げられたプラモデルの世界を見渡して感じたのは「鳥瞰図」である。パラモデルは鳥瞰図を作っている。あるいは、ジオラマと言えるかもしれない。その世界に人はおらず、いるとすれば鑑賞者だけだ。私たちはガリバーのように世界を徘徊する。線路の連なりが作りだすメトロポリスは無機質で、プラ(スチック)モデルとは私たちの住む都市のことだろう。プラモデルの作品はユーモアを潜ませながらも、実は不気味な作品なのかもしれない。

 当初カタログは買おうとは思っていなかったが、鳥瞰図について調べていた時期でもあり、いずれ参考になることもあろうと思い購入。内容も初期から最新作まで網羅されており、資料的にもボリュームがあって充実している。