すべての出来事は、君が生まれつきこれに耐えられるように起るか、もしくは生まれつき耐えられぬように起るか、そのいずれかである。ゆえに、もし君が生まれつき耐えられるようなことが起ったら、ぶつぶついうな。君の生まれついているとおりこれに耐えよ。しかしもし君が生まれつき耐えられぬようなことが起ったら、やはりぶつぶついうな。その事柄は君を消耗しつくした上で自分も消滅するであろうから。もっとも自分の身のためであるとか、そうするのが義務であるとか、そういう考えかた次第で、つまり自分の意見一つで、耐え易く、我慢しやすくできるようなものもあるが、このようなものはすべて君がうまれつき耐えられるはずのものであることを忘れてはならない。
(p.188-189 『自省録』マルクス・アウレーリウス 神谷美恵子訳 岩波書店/岩波文庫1956.10)
(p.188-189 『自省録』マルクス・アウレーリウス 神谷美恵子訳 岩波書店/岩波文庫1956.10)