A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記15 図録・いけばなの流れ

2007-05-05 22:01:34 | 書物
タイトル:図録・いけばなの流れ -いけばな史年表-
構成・編集:華道家元池坊総務所
出版社:日本華道社
発行日:2002年11月1日(5版)
内容:
いけばなの流れを図・資料と共に解説。いけばな史年表付。

購入日:2007年4月30日
購入店:六角堂頂法寺内売店(京都)
購入理由:
京都に行った時には、いけばな発祥の地である六角堂に行ってみようと思っていた。今回、それが果たせたわけだが、行ってみるとなんのことはない。ビルに挟まれた小さな場所なのである。やたらに鳩がいるし。そこの売店でいけばな関係の資料を探してみたら、この本が1冊だけ販売されていたので購入。「いけばなの流れ」などとタイトルがついているが、実は池坊の歴史である。いけばなは流派の歴史を超えて、大きないけばな史を作れないものか、そんなことをこの薄っぺらな本を見て嘆く。


未読日記14 福田平八郎展

2007-05-05 21:50:05 | 書物
タイトル:福田平八郎展
監修:島田康寛
出版社:京都新聞社
発行日:2007年4月24日
内容:*同名展覧会の図録。
大分市内に生まれ、画家を志して京都へ出、京都市立美術工芸学校に学んで以来、この地で活動を続けた、文化勲章受章者・福田平八郎(1892-1974)の、ゆかりの地京都での久しぶりの大規模回顧展です。
東洋の古典に影響を受けた《牡丹》や《閑庭待春》、湖のさざ波だけを画面一杯に描き、写実と装飾が一体となった独自の画風を作り出した《漣》、それに続く《新雪》、《雨》、《花の習作》、《海魚》など、画風の変遷はありましたが、一貫して写生に立脚した花鳥画を描き続けた福田平八郎の初期から最晩年までの作品と下図類を展示し、その全貌を紹介します。(京都国立近代美術館ホームページより)

購入日:2007年4月29日
購入店:京都国立近代美術館ミュージアムショップ
購入理由:
福田平八郎に興味を持ったのは、今年、東京国立近代美術館で開催された「都路華香」展を鑑賞して、カタログを見ていたときだった。カタログの論文に福田平八郎は「漣」を描くときに、都路華香の作品を参照したという記述があったのだ。都路展は地味ながら、味わい深い内容で好感を持ったので、その影響を受けた(かもしれない)福田平八郎の作品をあらためて見直してみたい、そう思った。
京都に旅する計画を立てていたら、偶然に福田平八郎展がやるというではないか。そんなわけで私は、スケジュールに予定を書き込んだのだった。
まとめて福田平八郎の作品を見ると実に観察の人だ。技術力は昔からあったようで、他の人の影響(ものまね?)はよくないとたしなめられたこともあるようだから、相当なものだ。だが、福田は観察の人なのだ。「漣」のように水面を飽きずに見ていられたのも、釣り好きだったせいかもしれないが、とにかく「見る」ことを制作の基本姿勢に置いていたためだろう。それがほとんどの作品から感じる。福田の場合、見続けていると、次第に抽象的になってくるのが不思議なもので、その抽象的あるいは装飾的な画面作りが福田の絵画の特質な気がする。晩年にはマティスや熊谷守一のような作品さえ見受けられ、個人的には発見だった。のほほんとしたところのあるかあいらしい京都日本画である。

未読日記13 ロダン-創造の秘密-白と黒の新しい世界

2007-05-05 21:21:17 | 書物
タイトル:フランス国立ロダン美術館コレクション
     ロダン-創造の秘密-白と黒の新しい世界
編集:岩手県立美術館、下関市立美術館、静岡県立美術館、兵庫県立美術館、
   読売新聞東京本社文化事業部
出版社:読売新聞社
発行日:2006年9月23日
内容:
*同名のロダン展の展覧会カタログ。

パリ・国立ロダン美術館の所蔵品から厳選した190点により、近代彫刻の巨匠オーギュスト・ロダン(1840~1917)の世界を紹介する大規模な展覧会を開催いたします。
今回とくに注目すべきは、ロダン美術館の全面的な協力により、59点もの石膏作品が出品されることです。粘土像から型取られ、ブロンズや大理石の原型として使われる石膏の像には、作者の意図や創意工夫をより生々しくみることができます。それだけではなくロダンは石膏という素材のつや消しの白さに注目し、石膏の作品を積極的に展示したことも知られています。このように石膏は、ロダンの創造の秘密を読み解く鍵であるにも関わらず、もろく壊れやすい素材であるため、これまで出品の機会が非常に限られてきました。
ブロンズによる重厚な「黒い」ロダンと、大理石や石膏による「白い」ロダンを対比することにより、この有名な彫刻家の知られざる魅力にせまる本展に、どうぞご期待ください。(兵庫県立美術館ホームページより)

購入日:2007年4月29日
購入店:兵庫県立美術館ミュージアムショップ
購入理由:
ロダンにあらためて興味を持つようになったのは、昨年、国立西洋美術館で開催された「ロダンとカリエール」展を見たときからだった。大理石の「白い」ロダンの作品が、これまでの重厚なブロンズの「黒い」ロダンより圧倒的に素晴らしかったからだ。「かたまり彫刻」と言えそうな、人物が石から生まれ出るような生命感に正直圧倒された(もちろん偶然ロッソの作品を見ることができたのも大きいが。)
そんなわけで、今回のロダン展も遠く兵庫まで足を運んで見ようと思った。ほんとは静岡に巡回されたのは知っていたのだが、日々の忙しさにかまけてチェックしていなかった。だが、偶然行った方からカタログを見せてもらう機会があり「これは行かなければ」と瞬時に決めた。「白い」ロダンを日本でまとめて見れる機会はそうはない。そう思った。
石膏とブロンズないし大理石作品を見比べられたことはよかったし、なによりデッサン類がいい。テストピースのような手や足の習作も面白かった。
カタログとしてはロダン美術館の学芸員が多く執筆している。日本の展覧会カタログにありがちなことだが翻訳文が読みづらい。それに図版間違いが2点もあるのはいかがなものか。とりあえず、彫刻に飢えてた私としては満足な1冊。