佐渡の翼

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相川「りき寿司」(佐渡市相川)     投稿者:佐渡の翼

2012年12月21日 03時54分12秒 | 佐渡グルメ美味しい食べ歩記

2012年8月の暑い、とある日の夕刻、筆者は、相川にある老舗の佐渡前寿司のお店「りき寿司」を訪ねてみた。「りき寿司」は観光案内本でもたびたび紹介された有名店である。筆者は、5時15分頃にこのお店にお邪魔した。店主はいたが、冷蔵ガラスケースの中にはネタが一つも無い!時間が早かったので、これから仕込むのかと思ったら、おやじさんは「暑くてねえ~、魚を入れて置くとひからびちまうんだよ、だから全部冷蔵庫の中に入れてある」と言った。確かにそうした方が賢明である。冷蔵庫など無かった江戸時代には、仕込みの終わったネタは、木箱の中に保管して保存された。戦後、冷蔵庫が普及し始めると、どこかの寿司屋が、カウンターとつけ場の間に冷蔵ガラスケースを置いて、その中に魚介を保存し、ガラスケースの手前に客の手洗い用の水道蛇口を設置したスタイルで営業を始めた。それ以後、このスタイルを踏襲する店が全国各地に広まったと言う訳である。だが、この冷蔵ガラスケースは、中に氷を敷くなどして温度管理を適切に行わないと、魚は時間の経過と共にひからびていく。だから、西麻布あたりで増殖中の新江戸前寿司店にはガラスケースなどは存在しない。

筆者は3100円のおまかせ握りを注文した。おやじさんは冷蔵庫からネタが入ったトレーを取り出し、丁寧にラップに包まれた魚介類を一つ一つ剥がしにかかった。ガラス越しに見えるそれらのネタは少々古そうに見え、次第に食欲が失せてきた。おやじは全てのネタを切り捌いた後に、それらをまな板の上に乗せた。そしてお櫃からシャリを取出し、握りにかかった。中トロ2貫、ひらめ、帆立、ほっき貝、鯖、烏賊、甘エビ、雲丹、いくら、あか貝、鮭の全12貫である。シャリは粘着度が強く、はらりとほぐれる感じは微塵もなく、佐渡で一番美味い回転寿司屋である、金井の「まるいし」さんの方がネタの鮮度と言い、シャリの勢いと言い、遥かに上である。何より、店内の陰気くささがおやじ同様年を感じさせるので、寿司屋独特のあの威勢の良さに欠け、その雰囲気が一層食欲を減退させて行った。登録商標された「佐渡前」とは「江戸前」同様、目の前の佐渡の海で揚がった魚を使用する寿司と言う意味だが、雲丹は北海道産を使用しており、看板に偽りありであろう。だが、中トロやひらめなどは良く寝かせた効果で、旨みが凝縮されており、不味くて食べられない代物ではない。ただ、鯖は絞め加減がやや甘く、ちと生臭いし、煮穴子や卵焼きなどは出て来なかった。おやじが「お客さん、硬い物とかは駄目?」と問うてきたので、「駄目です」と答えたら、「じゃあ、アワビは駄目だな」と言った。この上、あの硬いアワビを生で握られたのではたまったものではない!出されずにほっとした。だが、これで3100円ではちと高い!おやじよ、年を取ったな、まさか焼きが回った訳ではあるまいが、寿司の味は評判通りとは行かなかった。今年の「翼君の美味しい店リスト」から、相川のりき寿司の転落が決定した瞬間だった。幾つか厳しい事を書いたが、冬ならば事情は変わっていたかもしれないので、このお店へは冬に訪ねるのをお勧めしたい。残念ながら、相川のりき寿司さんは閉店しました。

ガラスケースにはネタが皆無だ!

 



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