こちら黒金町の4階です。

静岡県労福協を身近に感じていただくために事務局員が交代で情報の発信しています。

組織の有機性

2011-08-16 | Weblog

「公益法人制度改革への対応」に本格的に着手してから静岡県労福協が関わる「財団の歴史」と「静岡県労働運動の歴史」について自分なりの振返りをしてみました。 その過程で「静岡県の労働運動史」の中に「組織の有機性」という表現を見つけ、それ以降、私の頭の中から離れない「言葉」となりました。 この言葉が表現されている前後の文章や当時の労働組合を取り巻く状況などからある程度の理解は自分なりに出来るものの「本質」をもっと知りたくて色々と文献等を読み返していました。 そんな折、「労福協だより 夏号」に寄稿頂いたY先輩の文章にこの表現を見つけ早速と教えを請うべくお願いしたところ、ご返事を頂きましたので皆様にも要点の一部分になりますがご紹介します。

「組織の有機性」という言葉を私達が目にするのは総同盟第4回大会における「労働銀行創設並びに事業活動の確立」の議案の文中に「組合員は一つの闘争が集結すれば、組合に対する関心が希薄となり、必然的に組織に空白状態が現出する。これは組織に有機性が確保されていないために、団結の強化を叫んでも、組合員の関心をつなぎ止めておくことが出来ないのである。 それでは組織の有機性はいかにして確保されるか、有機的組織は、相互扶助の精神に立脚することによって、その基礎が確立され、その精神を事業として具体的に推進してはじめて血の通った団結体が育成されるのである。」と記されて「組織の有機性」について説明しています。

「組織の有機性」が登場した背景は?                                                                                                                                     

1948年12月に「経済安定9原則」が提示され、その指導役ドッヂによって1949年はドッヂ旋風が吹き荒れ、労働運動抑圧は激しさを増し、闘いは常に敗北に終わり、労働組合の必要性を疑う議論さえ提起される有様であった。 そこから労働運動は、幾度となく再編を余儀なくされ、打開策として「血の通った団結体」を勝ち取るべく、労働金庫の創立など共済活動で、職場が日常的に活性化し、団結の強化につながる「組織の有機性」を確保することが考えられたようです。 この事は組合員が抱える生活上の切実な課題にどう立ち向かうのかの具体的な対策でもあったようです。

一方、労働行政も大きな役割を果たしていたようです。労働省の、労働組合が行う自主福祉活動の推進は、当時の情勢の中で、直接的な経済要求活動が惨敗を続け、組合無用論まで囁かれていた労働組合の視野を福祉活動の展開によって、「組織の有機性」を図ろうという方向までに拡大させようとした。 

具体的には、労働福祉の協議会の設立と労働者自らの金融機関すなわち「労働金庫」創設の運動となっていきます。 総同盟第4回大会の決議案も、行政担当者の参画があったと云われ、労働行政の積極的な対応がうかがえます。

上手くまとめる事が出来ませんでしたが、労働組合の存在が問われた状況・・・そこから「ろうきん・労済・生協」等の共済事業がはじまった。 何の為に・・・・組合員の生活を守り、併せて労働運動を発展させる為に「血の通った団結体の形成=組織の有機性の発揮」となるのでしょうか。 そして、その精神は現在に引き継がれて未来の歩むべき道も示唆しているように思います。 皆さんはどうお考えになりますか。(K)

▼おまけの写真は、朝霧高原の小さな池。朝は風もなく、湖面は鏡のようです。

▼シャッターが切れる瞬間に、ズームを拡大するとこんな風に撮れます。

▼振り向くと、陽が少し上がってきました。