我が家の主夫誕生 初日、前夜から何冊かの料理本を広げて、なにやら一所懸命読んでいる。『何ができるのかしら』 翌日、少々期待を持って帰ってみれば、食卓の上には白いトレーに載った、出来合いの天麩羅が3.4枚重ねてあるだけ。お鍋に作ったものが入っている様子もない。
あっけにとられて、私『今日の夕食これ?』
主人いわく『今日は牡蠣鍋にしようと思い、スーパー2軒廻ったが、牡蠣がなかった、仕方がないので、天麩羅そばにしようと、天麩羅を買ってきた』
男の料理ってこんなものか、あきれるやら、がっかりするやら
仕方なし、ありあわせの材料で煮物を作り、おそばに天麩羅を載せて夕食は済ませた。
しかし、天麩羅は不味くて、主人の見ていないところで捨ててしまった。
あれから、2ヶ月 私にとっては今まで想像できなかったような、嬉しい日が続いている。
『ただいま』と帰れば、おいしそうな匂いがキッチンに立ち込めている。
主人はレシピを見ながら大奮闘である。
『今日はこれと、これを作った。味はどう?』と胸をはる。それなりに楽しんでいるようである。
今まで私の作ったことのないような目新しいお料理が食卓に並ぶ。
インターネットからレシピを探し出し、ヒット作も多くなって、味もなかなかである。
ただ、レシピどおりで応用がきかず、ほんの少し使う食材も買い揃えるので冷蔵庫は、いつも賑やかである。
しかしこれは大目に見よう。
みじん切りがどんなものか、落し蓋が何かも知らなかった人だったから。
ものめずらしさだけで終わることなく、『ず~っとよろしくお願いいたします。』