中央労福協は、2009 年に「労福協の理念と2020 年ビジョン」を策定し、「連帯・協同でつくる安心・共生の福祉社会」をメインテーマに掲げ活動を進めてきました。
定めた5項目(①運動と政策:国民の共感を得られる社会運動と政策提言、②ライフサポート:地域に根差した活動~全ての働く人の拠り所として頼りになる存在へ、③労働者福祉運動の基盤強化:運動を継承する教育活動・財政基盤の確立、④労働者福祉のウィング拡大:塀の外へと福祉を広める、⑤協同事業の基盤強化:協同事業の社会的価値と力量を高める)について、ビジョンの策定から10 年が経過しましたが、格差や貧困が広がり、社会の持続性の危機が高まる中、掲げた理念や価値観はますます重要性を増しています。今後の活動を進めていくために、これまでの10 年の活動の成果と課題や時代状況の変化も踏まえての検証と見直しを行い、2030 年を目標年次とした次期ビジョン策定に向けた検討に着手しています。
静岡県労福協としても、昨年からこの検証と見直しの中央労福協の議論に加わっていますが、討議資料がまとまった段階として、5月15日開催の県労福協理事会後に「2020年ビジョン」に対して静岡県労福協が取組んできたことを中心として意見交換会を設けました。
静岡県労福協は、このビジョンで掲げてきました基本目標に対し、2012年の「労働者福祉シンポジウム」から県下全域で学習会の開催に展開し、その後ビジョンの具現化に取り組んできました。
・ライフポートセンターしずおかを設立、相談会やセミナー「ロッキーカレッジ」開催 ・連合や生協など10団体で「フードバンクふじのくに」を立ち上げ困窮者支援策を展開 ・労金・全労済と連携し可処分所得の向上に資する運動の展開と共助拡大を柱に 福祉強化キャンペーンを県下全域で展開 ・「協同組合間実践研究会」で議論を重ね福祉事業団体の連携した取組みを展開 ・未組織労働者へ福祉の活動を広げる為にライフサポートセンター友の会を立ち上げ ・人材の育成・教育活動として「語り部育成ゼミ」を全地区労福協で実施 ・これらの取組みを支える財政基盤として「地域役立資金」を創設
など多くの実績を積み重ねることができています。他県の取組状況と比較しても、このビジョンに対する諸施策の展開では、静岡県は突出した実績であると言っても過言ではないでしょう。5月15日の理事会における意見交換会では、その実績に対する評価の声と共に課題についても意見が多く出されました。
「取組課題に対しては網羅できていると思うが、労福協会員内外において十分に浸透できていないのではないか」。 「学習会から展開した施策であるが、常に検証ができるように報告会やセミナーを通じて取組みを承継していく必要がある」。 「大きく捉えすぎずに身近な課題をより深く掘り下げていくことが大切である」。 「若年層に浸透させるために、分かりやすい伝え方や参加し易い施策が必要である」。 「労福協は、役員などで関わりを持つことでその重要性を認識する。多くの方に関わりをもってもらうことでその運動の意味を伝える努力が必要である」。
など、次のステップにつなげるための考え方などが示されました。課題に対して一歩踏み出し実績を残していることは評価に値するものの、運動の底辺拡大を図ることなど未だ道半ばという印象であると思います。
今後、2020年ビジョンの検証結果を含め、7月以降に新たなビジョン(仮称:2030年ビジョン)の策定に進んでいきますが、その場にも静岡として参加して意見反映していきます。なお、新ビジョンの原案が示された際には、地域・地区労福協役員からも様々な観点で意見を伺っていきますので、よろしくお願いします。
2019年度の県労福協方針の大きな柱は、「多様な階層とのつながりを強め、労働者自主福祉運動の理解者を増やす」ことです。この2020年ビジョンに向けた静岡として取組んできた10年間の成果を踏まえて、さらに多くの方と共に次なる展開へ進めていくことを目指した方針ですので、ご理解ご協力をお願いします。
(追伸)個人ごとで恐縮ですが、この6月の定時社員総会をもって労福協役員を退任します。労福協活動が、2020年そしてその先にある2030年に向けて新たなビジョンに踏み出すこの段階での交代ですが、新たな体制で多様な階層の皆様と共に運動を進めていただきたいと思います。
時代は変わります。
労金⇒労福協とちょうど40年間仕事をさせていただきました。多くの方の支えで今日の自分があることは間違いありません。本当に、長い間ありがとうございました。(大)
『フードバンクふじのくに』からのお願い
清水地区グリーン友から食品をいただきました。たくさんのご支援、誠にありがとうございます。