統一教会と「朝鮮」~トイレで文鮮明を待ち伏せた男 鈴木琢磨さん【佐高信の隠し味】
森雅子首相補佐官(元法相)、「統一教会」説明にも“重大な疑問”、自民党調査にどう回答するのか?
法相在任時「答弁迷走」の森雅子氏、「統一教会」説明にも“重大な疑問”
河井夫妻事件、ゴーン氏国外逃亡当時の法相で、現在も首相補佐官の職にある森雅子氏、「統一教会」との関わりについての説明はあまりに不合理。自民党の調査にどのような回答をするのか。
森雅子首相補佐官(元法務大臣)について、グーグルストリートビューで、2019年7月の参院選挙の頃に、いわき市の旧統一教会施設の建物内に同氏のポスターが貼られていたことが確認されSNS上で騒動になっていたが、8月24日発売の週刊新潮では、2018年11月11日に郡山市で開催された「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)主催のイベント「東日本大震災 福島復興三千名祈願祭」に登壇して講演をしていたことが報じられ、「統一教会」と深い関係を持っていた疑惑が一層深まっている。
森氏は、河井克行氏が妻案里氏の公選法違反疑惑の責任を取って辞任したことに伴い、後任として法務大臣に就任し、黒川弘務東京高検検事長の定年延長問題で、安倍政権への批判が高まった際にも法務大臣として国会答弁を行った。森氏は定年延長の決定と解釈変更のための法務省内の決裁は口頭で行ったと説明し、
「口頭決裁もあれば文書決裁もある。どちらも正式だ」
と強弁した。定年延長の理由について、政府が「社会情勢の変化」などと説明したことについて国会で質問され、
「東日本大震災のとき、検察官は、福島県いわき市から、市民が避難していない中で、最初に逃げた」
などと答弁し、その件で、当時の安倍晋三首相から厳重注意を受けた。
また、森氏は、弁護士でもあるが、カルロス・ゴーン氏が保釈中にレバノンに逃亡した際、記者会見で、
「潔白というのならば、司法の場で正々堂々と無罪を証明すべき」
などと「検察官の立証責任」という刑事裁判の大原則を無視するかのような発言をし、その会見直後のツイートで
「ゴーン被告人は自身が潔白だというのであれば司法の場で正々堂々と無罪を証明すべきです」
などと書いていたのを、ゴーン氏側から発言の不当性を指摘されると、こっそりと「証明」を「主張」に訂正したツイートを出し直した。
国外逃亡したゴーン氏への「腹いせ」に、「潔白だというなら無罪を証明しろ」と言ったことは明らかだったが、さすがに、それは弁護士でもある法務大臣の発言として、国際的な笑いものになると思ったようで、ツイートを訂正して出し直し、次の会見の際は、「言い間違い」だと強弁した。
このように、法務大臣在任中、その説明や答弁について度重なる批判を受けた森氏だったが、「統一教会」との関係についても、その説明の不合理性は際立っている。
森氏は、旧統一教会施設の建物内に同氏のポスターが貼られていた件について、
「統一教会の関係者と認識せずにポスターをお渡ししてしまった」
とSNSで弁明し、旧統一教会との関係についての朝日新聞の質問には、
「知らない。(誰かが)事務所に置いてあるポスターを持って行ったか、旧統一教会と知らずにポスターを渡したのだと思う」
などと回答していた。
この時点では、ポスターが「家庭連合」の施設に貼られていたことの認識自体を否定し、「持っていかれた。」「素性がわからない相手に渡した」などと、あたかも「盗まれた」か「騙し取られた」かのように説明していました。
ところが、今回、2018年11月11日、その「家庭連合」のイベントで森氏が講演をしていたことが写真付きで報じられると、森氏の事務所は、イベントに参加して演説を行ったことを認めたうえで、
「(家庭連合が)旧統一教会と同じ団体だと気がつかなかった。認識が甘かったと反省している」
とコメントし、2018年11月の時点で、講演の主催者の「家庭連合」は「統一教会」とは関係のない、全く問題のない団体だと認識していた、だからイベントに参加して講演をしたと弁明している。
しかし、その弁明自体が、全く信用できないものだ。
2018年11月のイベントでは、上記新潮記事に掲載されたポスターによれば、旧統一教会の当時の会長の徳野英治氏が「特別講演」を行い、「祈願書・献花奉納」と称する儀式まで行われている。主催者は、「世界平和統一家庭連合福島教区支部」とされている。「教区支部」という言い方からも、単なる「家庭」に関連する団体ではなく、「統一」という言葉を含む名称の「宗教団体」であることは一見して明らかだ。
また、もし、「家庭連合」は「統一教会」とは関係のない、全く問題のない団体だと認識していたというのであれば、いわき市内の「家庭連合」の施設にポスターが貼ってあったことがストリートビューで確認された2019年7月の時点では、「家庭連合」について、どのように認識していたのだろうか。
その時点でも、「家庭連合」は旧統一教会と同じ団体だと知らず、何も問題のない組織だと認識していたということであれば、2018年11月のイベントで講演まで行っているのだから、そのような団体が参議院選挙で応援してくれるのを断る理由はない。いわき市内の施設に森氏のポスターを貼ってくれるというのであれば、喜んで貼ってもらっていたはずだ。朝日の質問に対しても、
「『家庭連合』には参院選で応援してもらったが、それが統一教会と同じ団体だとは知らなかった」
という回答になるはずだ。
一方で、「家庭連合」の側では、「家庭連合」の全国団体の徳野英治会長とともに講演までしてくれた国会議員が参議院選挙に臨んでいるのだから、積極的に選挙応援をしたはずだ。施設内に森氏のポスターを貼っていたのも、その選挙応援の一環として当然の対応ということになる。そのような「家庭連合」の関係者が、森氏の事務所から、森氏の選挙用のポスターを、森氏側に了解を得ることなく勝手に持ち出して、教団の施設内に貼るなどということは考えられない。
森氏が、2018年11月のイベントの際は知らなかったが、2019年7月の時点では、「家庭連合」が、反社会的活動を繰り返してきた旧統一教会と同じ団体だと知っていたとすると、前年の11月にそういう団体のイベントで講演していた事実があるわけだから、そのような団体から参院選で応援してもらうなどということは、あってはならないことのはずだ。何らかの対応をしなければならないのは当然だ。いわき市は、森氏の出生地で、同市内には地元事務所があるわけだから、その市内の「家庭連合」の施設内にストリートビューでもわかるような形で森氏のポスターが貼ってあるのを放置するなどということは考えられない。
参院選挙期間中に「家庭連合」のいわき市内の施設にポスターが貼ってあった事実があっても、前年秋にイベントで講演した事実があっても、「統一教会との関わり」を全面的に否定する森氏の説明は、完全に破綻していると言わざるを得ない。
それに加えて、上記新潮記事では、当時の森氏の秘書が
「19年の参院選が公示される少し前、いわき市の中心部にある統一教会の施設に、森さんと共に足を運んだことがあります」
と証言していることが書かれている。
これが事実だとすると、「統一教会」の施設にポスターが貼ってあったことについての森氏の説明は、意図的な虚言そのものだということになる。
森氏は、法務大臣在任中の国会答弁や記者会見に関して厳しい批判を受けた。
伝統と形式を重んじる法務省において、大臣の決裁を口頭で行ったなどという、あり得ない弁明を繰り返し、答弁に窮すると、「震災の際に検察官が逃げた」などという無関係の話を持ち出して開き直る。そして、記者会見で、弁護士でもある法務大臣としてあり得ない「被告人は司法の場で無罪を証明せよ」などという発言をした時も、ツイートをこっそり出し直すなどという姑息な手段を用いる。
森氏の態度は、「統一教会」との関係に関する説明でも、基本的に変わるところはなく、自分の非を一切認めず、姑息な手段まで弄して強弁を続けるという不誠実極まりない姿勢をとり続けている。
「統一教会問題」で批判に晒されている自民党議員に共通しているのは、マスコミ等で取り上げられる度に、「その場凌ぎ」の最低限の説明に終始する姿勢だ。「統一教会」との関係が深ければ深いほど、説明内容は不自然なものとなり、その後、新たな事実が判明すると、前の説明を覆して、新たな「その場凌ぎ」の不合理な説明を繰り返す。
現在も首相補佐官の職にある森氏は、河井克行氏の辞職を受けて法務大臣に就任し、河井氏が多額現金買収事件で検察の強制捜査を受け、逮捕・起訴された間も、法務大臣として、検察に対する指揮権をも行使し得る重責を担ってきた元重要閣僚だ。その森氏の、「統一教会」と認識して関わったことは全くないかのような説明はあまりに不合理であり、逆に言えば、参議院選挙で応援を受けるような親密な関係があるからこそ、関わりを全否定しようと虚偽説明を繰り返しているのではないか、と考えざるをえない。
8月26日、自民党は、議員本人に事実確認と説明を委ねてきたそれまでの対応を一転させ、全ての所属国会議員を対象に、旧統一教会とその関連団体との接点の有無を確認する調査を開始した。
茂木敏充幹事長名で、各議員事務所に調査書を配布し、(1)教団側の会合への出席(2)祝電の送付(3)会費などの支出(4)寄付やパーティー収入(5)選挙支援――の有無などについて回答を求めるとのことだ。
森雅子首相補佐官が、この調査に対してどのような回答をするのか、それまでの説明に事実に反する点があったとすると、それについてどう弁明するのか。党の調査に対する自民党議員の姿勢を象徴するものとして注目したい。
◆歌を聞いてくれた少年が自殺
◆自身も居場所なく、音楽が生きる支えに
◆少年自殺の翌年、願い込め新曲公開
本当はつらかった
逃げればいい相談すればいいと言われても
それができない できないんだ
◆「ゆっくり自分の道を探して」
【LIVE】#統一教会 と#政治家 の関係 萩生田氏は『コンビニ感覚で使っていた?』元二世女性信者の苦悩『人生めちゃくちゃに…』 安倍元総理銃撃まとめ
#759【公務員=上級生活保護者】高給、倒産ナシ、職務怠慢でも解雇ナシ、国家赤字でもボーナス、退職後の分厚い補償…権力者は国の不平等・不公平システムを変える気は無い。-masakazu kaji-
【ゲスト・大谷徹奘】寺島実郎の世界を知る力対談篇〜時代との対話〜#17(2022年8月28日放送)

積極財政vs緊縮財政 政財官マスコミ界のエリートが財政収支の均衡を訴える本当のわけ〜これからの政治の対立軸はここにある!
統一協会 危険な二つの顔
反社会的カルト集団
勝共連合 反共・反動の先兵
![]() (写真)文鮮明(左)、韓鶴子夫妻(『統一教会手帳』から) |
統一協会(世界平和統一家庭連合)は二つの顔をもっています。一つが霊感商法、集団結婚などで甚大な被害を出している反社会的カルト集団の顔。もう一つの顔は、統一協会と表裏一体の政治組織「国際勝共連合」をつくり“反共と反動”の先兵を務めてきたことです。その実相を特集します。
資金集めに高額献金
統一協会は、「世界基督教統一神霊協会」として韓国で1954年5月1日に設立されました。開祖は文鮮明(2012年死去)で、現在の総裁は妻の韓鶴子です。米国など世界で活動しています。日本では1959年に設立され、64年に宗教法人の認証をうけました。
米韓関係を調査した米国下院フレイザー委員会の最終報告書(78年)は、61年にクーデターでうまれた朴正煕軍事独裁政権のもとで謀略工作機関「KCIA(韓国中央情報部)」が統一協会を「組織」し、「政治的用具」として利用してきたという情報を記しています。
報告書は文鮮明の宗教的目的について、こう分析しています。
「世界的な『政教一致国家』を樹立するという目標、すなわち、教会と国家の分離を廃止し、神の直接のみちびきによって統治される世界秩序を樹立する」―。政教一致国家の中心は、文鮮明と韓国という位置づけです。
文鮮明が理想とする国家をつくるための資金集めを担ったのが、日本の統一協会です。
統一協会関連団体の一部■団体・事業 天宙平和連合 ■企業・法人ハッピーワールド一心病院 国際ハイウェイ財団 ■メディア・出版世界日報(ビューポイント)光言社(中和新聞) ワシントン・タイムズ
|
文鮮明の発言を集めた『天聖経』には、「(日本が集めた金は)日本だけのものではありません。アジアを通じて世界のために投入しなければ、日本はぺちゃんこになります」とあります。
統一協会広報局長で協会系の日刊紙「世界日報」編集長だった副島嘉和氏は、「毎月20億円」を文鮮明側に送金していたと告発しています(『文芸春秋』84年7月号)。
これだけの資金を集めるために、統一協会は日本の信者を、マインドコントロールで違法な霊感商法や高額献金に駆り立ててきました。
霊感商法 異様な教義
統一協会は正体を隠して街頭でアンケート集めなどをし、相手から家族構成などを聞き出します。そこから「ビデオセンター」や、数日から数十日の宿泊研修に連れていきます。研修で「霊界」の存在を信じこませ、「文鮮明がメシア(救世主)です」と洗脳します。
2000年代に脱会したAさん(40代)は、霊感商法にかかわってきました。「『無料で姓名判断をします』という誘い文句のハガキを送り、ヒスイの印鑑を40万円で売った。『霊界で苦しんでいる先祖を解放しなければ』と不安をあおると、信じてしまう人がいた」と証言します。
「先祖の因縁がある」「運気を払う」などと脅し、高額な印鑑やつぼを購入させるのは統一協会の手口です。なかには3000万円もする『聖本』なるものもあります。
09年に統一協会の霊感商法が全国で捜査当局から摘発されます。統一協会のダミーである印鑑販売会社「新世」(東京都渋谷区)と信者の社長らが霊感商法で摘発され、有罪判決が確定。判決で東京地裁は、「印鑑販売の手法が、信仰と混然一体となっている」「統一協会の信者を増やすことも目的として違法な手段を伴う印鑑販売を行っていた」と認定しました。
統一協会の田中富広会長は記者会見で、「霊感商法を、過去においても、現在も当法人が行ったことはない」(8月10日)と言い切りました。
![]() |
実際には過去も、現在も霊感商法の被害は続いています。全国霊感商法対策弁護士連絡会によると1987年から2021年までの霊感商法の被害総額は約1237億円にのぼります。統一協会がコンプライアンス(法令順守)を強化したと主張する09年以降も被害は続いています(グラフ参照)。
最近では、「先祖が地獄で苦しんでいる」とし、先祖を解放するためと称して、信者から高額な献金を集めています。「地獄に落ちる」などと、信者を脅して金集めをしている実態に変わりはありません。
宗教法人の正体を隠した勧誘、不安をあおって物品の購入や献金をさせることは違法行為です。
なぜそのような違法行為がまかり通るのか―。
統一協会は、この世の人も財宝も神のものなのに、現在ではサタンの手中にあるとします。そこで「サタンの所有を神の所有に返還する」と教え込みます。統一協会はこれを「万物復帰」といいます。違法なことをしても、神に返すのだからいいことだとする異様な「教義」です。
人権無視の集団結婚
「祝福」と称して、信者同士の集団結婚も相変わらず行われています。
統一協会の「教義」を記した『原理講論』は、「人間の祖先(エバ)が天使と淫行を犯すことによって、すべての人間がサタンの血統により生まれるようになった」としています。
全人類を「サタンの血統」とし、そこから逃れるためには統一協会が選んだ相手と「祝福」結婚=集団結婚することが必須だというのです。
それまで面識がないというだけでなく、言葉が通じない外国籍や年齢が離れた人との結婚も。DV(ドメスティックバイオレンス)や経済問題が頻発しています。
40代の女性Bさんは21歳のときに集団結婚に参加。文鮮明が選んだとされる韓国人の男性と結婚しました。日本で同居するようになって、DVが続きました。統一協会は離婚が悪だとしています。このため周囲に強く反対されましたが、暴力に耐えられなくなり離婚したといいます。
「信者二世」の被害深刻
最近注目されているのが、「信者二世」の被害です。安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者は、母親が統一協会の信者。約1億円の献金をしていたため、山上容疑者らは経済的に苦しんだとされます。
親が統一協会から常に献金を求められるため、子どもの貧困問題が起きています。集団結婚の両親から生まれた子は「祝福二世」と呼ばれています。
祝福二世の30代女性は、「親は統一協会に献金しまくったので、老後資金がまったくない。私たち二世に養わせるのではなく、協会に金をもどさせ信者の老後が成り立つようにすべきです」と言います。この女性は祖父母が残してくれた大学資金や自身が借りた奨学金も、実家の生活費に消えたといいます。
信者二世は生まれた時から信仰を強要されるという問題も。信者二世のCさん(20代)は、「とくに自由恋愛ができず、結婚相手は自分で決められません。信者との結婚を強いられます」と語ります。
Cさんは言います。「二世への人権侵害は明らかに憲法違反です。子どもの虐待として、これ以上、新しい被害者を出さないでください。政党に関係なく、被害者を救うために動いてほしいのです」
“共産主義と対峙”で一致
![]() (写真)国際勝共連合の本部が入るビル=東京都渋谷区 |
統一協会のもう一つの顔=反共・反動の最悪の先兵としての活動を進めているのが、統一協会と表裏一体の「国際勝共連合」です。
「勝共」とは単なる反共ではなく、統一協会が“聖典”としている『原理講論』に「第三次大戦に勝利して共産主義世界を壊滅させ、…理想世界を実現しなければならない」と明記しているように、共産主義の思想そのものを抹殺するという考えです。
「国際勝共連合」は、統一協会と同じく文鮮明を“創始者”として1968年に結成された政治団体で、「共産主義をこの地球上から完全に一掃する」(文鮮明「統一世界宣言」83年12月)ことを目的としています。
統一協会がこうした政治活動に乗り出した背景には、61年5月に軍事クーデターによる軍事独裁政権の朴政権の成立があります。クーデターで権力を掌握した朴政権は「反共を国是の第一義」に掲げ、KCIA(韓国中央情報部)を立ち上げます。
このKCIAのもとで反共謀略組織として勢力を大きくしていったのが統一協会です。米下院のフレイザー委員会報告(78年)には「(初代中央情報部長の)金鍾泌(キム・ジョンピル)と文鮮明機関(統一協会)が相互支持の関係にあったという示唆や、金鍾泌が統一協会を政治的目的に利用したという言明を裏書きする独自の資料が大量に存在した」と記しています。
韓国での統一協会=勝共連合の活動に注目したのが日本の反動右翼勢力でした。
笹川良一ら日本の右翼が「勝共連合」を日本に引き入れるため、統一協会開祖の文鮮明らと密議を行ったのが「本栖湖会談」(67年)です。参加者の一人は「本栖湖会議は、文鮮明をはじめて迎えて反共連盟をつくり、反共運動をやろうということだった」と会議の目的を語っています。本栖湖会議を経て、笹川良一や安倍晋三元首相の祖父にあたる岸信介元首相らが発起人になって「勝共連合」が68年に日本でも発足しました。岸元首相は、その後も「勝共連合」と強い関係を持ち、70年に関連団体の「WACL(世界反共連盟)日本大会」での大会推進委員長を務め、74年と76年の統一協会主催の「希望の日晩さん会」の名誉実行委員長を務めています。
いま、反社会的活動が改めて国民的批判をあびるなか、今月10日、日本外国人特派員協会で記者会見した統一協会の田中富広会長は「私たちの法人並びに多くの友好団体は創設以来、共産主義というものに対して明確に対峙(たいじ)してきました」と「勝共」という原点を強調。自民党政治家らとの関係についても、「共産主義問題に対して明確に姿勢を持っている政治家の皆さんとは、ともにより良き国づくりに向かって手を合わせてきたと思っております」と「反共」での一致点を誇りました。
選挙の“汚れ仕事”も担当
選挙妨害や反共謀略ビラの配布―。勝共連合は日本共産党に対する激烈なデマ攻撃を繰り返してきました。自民党への選挙支援は、統一協会=勝共連合が反動支配勢力に取り入るための活動の一つです。運動員を送り込み、ビラまきや電話作戦などの選挙支援を行う他、自民党が公然とできないような“汚れ仕事”も請け負ってきました。
![]() (写真)2022年の参院選で配布された「思想新聞」号外 |
今年の参院選でも反共謀略の妨害が行われました。選挙直前に東京都三鷹市の都営住宅約300戸に配布されたのは、勝共連合の機関紙「思想新聞」の号外です。静岡県内でも全域で同じものがまかれました。「日本共産党100年の欺瞞(ぎまん)」と題されたその中身は、共産党が作成した「はてな」リーフを攻撃するもので、事実無根のデマや共産党への中傷が記載されています。こうした「思想新聞」号外や謀略ビラは選挙のたびに作られ、勝共連合の手によって全国で配布されてきました。
1992年の茨城県東海村議選の際には、「国際勝共連合」と「自由民主党」の連名の謀略ビラが公然と配布されました。ビラには自主憲法の制定が掲げられ、「全村民一体となり護憲勢力を打ち破りましょう」と記載。まさに、勝共連合と自民党が一体に共産党攻撃を行ってきました。
![]() (写真)京都府知事選挙に全国から動員された勝共連合=1978年4月、京都市四条河原町 |
勝共連合の活動が反動支配勢力から“高く評価”されたのが78年の京都府知事選、79年の東京都知事選です。勝共連合は反共謀略の宣伝・街頭活動を大々的に展開。共産党の宮本顕治委員長(当時)の演説中に罵声を発した勝共連合の所属者12人が取り押さえられる事態も発生するなど、傍若無人な妨害が繰り返し行われました。
勝共連合は、統一協会の会員を選挙に立候補させ“勝共派議員”の政界進出も画策。93年の総選挙では、大阪3区に統一協会員の候補が立候補し、その際に、共産党候補を装って広い範囲で「共産党の○○(統一協会候補の名前)をよろしく」と、電話かけや戸別訪問が行われました。共産党候補を落とすための卑劣な妨害です。
統一協会は、こうした選挙支援を通じて政治家に食い込み、戦略的に「議員を教育」することも狙っています。協会関連団体の全国祝福家庭総連合会の宋龍天(ソン・ヨンチョン)総会長は活動方針の一つに「議員教育の推進」を位置づけ。「世界平和国会議員連合(IAPP)の活動を通じて「(教祖の)み言葉と理念、『原理』を教育し、彼らが天の願われる方向で政策を推進」するようにと述べています。(協会の機関誌『世界家庭』17年3月号)
原田義昭元環境相は21年6月、フェイスブックで「日本・世界平和議員連合懇談会」の会長に選ばれたことを報告。名誉会長に細田派会長の細田博之衆院議員(現議長)が就任し、「会員議員は約100人の所からスタート」などと投稿していました。この懇談会顧問は、勝共連合会長だと報じられています。
米下院のフレイザー委員会報告でも「文(鮮明)の支持者たちは、反共主義の名において、笹川良一のような日本の右翼の大物と提携し、日本の選挙運動に公然と参加」してきたと指摘されています。
憲法・ジェンダーを攻撃
![]() (写真)夫婦別姓や同性婚を攻撃する『世界思想』(2013年12月号) |
勝共連合は自民党の右翼的潮流と結びついて、政治の反動化を進める先兵の役割を果たしてきました。
勝共連合が1980年代に総力をあげて取り組んだのが、85年に自民党から提出された「国家秘密法案=スパイ防止法」の制定です。防衛・外交にかかわる「国家秘密」を外国に漏らした者に死刑を含めた厳罰を下す法律で、対象範囲は一般市民にまで及びます。
自民党が第1次案を発表した80年に先駆けて、78年から勝共連合は同法の推進運動を本格化。「スパイ防止法制定3000万人署名」と銘打って大々的に活動を展開しました。79年には「スパイ防止法制定促進国民会議」を組織し、全都道府県下で地方議会における制定のための請願運動を活発化させました。
しかし、肝心の「国家秘密」の内容が限定されておらず、取材・報道の自由や国民の知る権利よりも「国家秘密」が最優先となる同法は、国民世論の高まりと国会論戦の末、86年に廃案に追い込まれました。廃案後も勝共連合は現代版「治安維持法」の制定を訴え続けています。
勝共連合は、改憲運動も、自民党と歩調を合わせて強力におし進めています。
勝共連合の幹部が、憲法改定案をユーチューブ上で解説。勝共連合の渡辺芳雄副会長が出演し、「憲法改正がどうしても必要だ」と主張しています。渡辺氏は、「戦争」を想定し「憲法秩序を一時停止」する「緊急事態条項」の新設に触れ、「行き過ぎた個人の人権」を攻撃し、「家族保護の文言」の必要性を指摘しています。さらに、「9条が諸悪の根源」だとして、「自衛軍」「国防軍」などの明記を主張しました。
勝共連合が改憲の優先課題として掲げる(1)緊急事態条項の創設(2)家族条項の創設(3)9条への自衛隊の明記―は、いずれも自民党の改憲案とまったく同じ内容です。
自民党と統一協会はジェンダー平等反対でも“共闘”関係にあります。先の参院選で統一協会の支援を受けたとされる井上義行議員は「同性婚に反対という事を信念をもって言い続ける」とまで発言しています。
統一協会は「文鮮明と女性信者との儀礼的性交以外に、人類が救われる道はない」という特異な性教義を背景に、同性婚を人類を絶滅に導く「許しがたい蛮行」(『世界思想』2019年2月号文鮮明のメッセージ)と否定。多くの自民党議員も国家の公益性を唱え、男女平等と性的少数者に否定的な発言を繰り返しています。
統一協会と自民党は、自らの主義・思想に不都合なジェンダー平等社会にさせないという一致点でまさに結託しているのです。
自民との癒着 底なし
関係発覚 後絶たず
![]() (写真)統一協会(世界平和統一家庭連合)本部=東京都渋谷区 |
参院選後、自民党議員と統一協会との関係の発覚が後を絶ちません。
7月の参院選で比例区で当選した井上義行議員は、統一協会の「賛同会員」だと認めました。井上氏は第1次安倍政権で首相政務秘書官を務めていました。
参院東京選挙区で初当選した生稲晃子議員は参院選公示前に、当時経済産業相だった萩生田光一自民党政調会長とともに統一協会の関連施設を訪問していたことが発覚。萩生田氏は関連団体に6回にわたり会費を支出していたことも認めました。
岸田内閣の閣僚の統一協会との癒着も次つぎと明らかになっています。国民の批判の高まりのなか、岸田首相は内閣改造の予定を大幅に前倒しし、統一協会との関係が発覚した7人の閣僚を交代させました。ところが、新たに発足した内閣で閣僚8人が統一協会と関係していたことが発覚。記者会見やメディアアンケートなどで、閣僚・副大臣・政務官・官房副長官に就任した76人のうち33人(43%)が関係を認めています。
留任した山際大志郎経済再生担当相は就任当日に関連団体への会費支出などを認め、その後も次々と関係が発覚。統一協会の開祖・文鮮明が参加したイベントであいさつしたことを「赤旗」日曜版が報じると、「報道を見る限り、出席したと考えるのが自然」などと無責任な姿勢に終始しています。
岸田首相はさらに、統一協会との関係を認め交代させた岸信夫前防衛相を首相補佐官に起用。萩生田前経産相を自民党政調会長に就任させました。
統一協会と関係する議員なしに内閣や党幹部を構成できない底なしの癒着ぶりです。
統一協会との関係を認めた第2次岸田改造内閣の閣僚や、自民党役員ら
閣僚
首相 岸田文雄
熊本県の後援会長が関連団体の議長を務める
総務 寺田稔
「国際勝共連合」会合の会費に2万円支出
法務 葉梨康弘
関連月刊誌『ビューポイント』がインタビュー記事掲載
外務 林芳正
「世界日報」から取材を受ける
厚労 加藤勝信
関連団体に会費3万円を支出、祝電を送る。「世界日報」から取材を受ける
環境 西村明宏
関連団体イベントの宮城県代表世話人
経済再生 山際大志郎
関連団体のセミナーに出席、会費1万円を支出。文鮮明参加イベントであいさつ
地方創生 岡田直樹
関連団体の会合にメッセージ、秘書が出席
経済安保 高市早苗
関連月刊誌『ビューポイント』が対談記事掲載
内閣官房
官房副長官 木原誠二
関連団体の会合に秘書が出席
官房副長官 磯崎仁彦
関連団体イベントに出席
副大臣
デジタル・内閣府 大串正樹
関連団体がパーティー券6万円分を購入。関連団体イベントにメッセージ
内閣府 星野剛士
昨年衆院選で協会関係者が電話かけ。関連団体の集会に祝電、秘書が出席
内閣府 和田義明
関連団体に祝電を送る。昨年衆院選で、協会側から名簿を受け取る
外務 山田賢司
関連団体の会合に出席。関連団体がパーティー券4万円分を購入
文科 井出庸生
関連団体イベントにメッセージ
農水 野中厚
関連団体の会合に出席
経産・内閣府 中谷真一
関連団体が協賛するイベントに出席
国交 豊田俊郎
統一協会のイベントであいさつ
国交・内閣府・復興 石井浩郎
関連団体の会合であいさつ
環境 山田美樹
関連団体の行事に出席
環境・内閣府 小林茂樹
関連団体イベントの実行委員長
政務官
デジタル・内閣府 尾崎正直
関連の会合であいさつ
内閣府・復興 中野英幸
関連の集会に複数回出席、あいさつ
総務 国光文乃
関連団体の会合に祝電
総務 中川貴元
関連団体主催のフォーラムに出席
法務 高見康裕
関連団体のフォーラムに出席
外務 高木啓
関連団体の会合に秘書が2回出席。会費1万5千円を支出
外務 吉川有美
関連団体の行事に祝電
文科・復興 山本左近
関連団体の会合に4回祝電
国交 古川康
関連団体の会合に出席。祝電
国交 清水真人
統一協会が後援するイベントに祝電
環境・内閣府 柳本顕
関連団体の会合に3回出席
防衛・内閣府 木村次郎
関連団体の会合に出席。会費1万5千円を支出
首相補佐官
岸信夫
統一協会メンバーが選挙応援
森雅子
統一協会のイベントに参加
自民党
政調会長 萩生田光一
関連団体に6回にわたり会費支出。参院選前に生稲氏と関連施設を訪問
名称変更 政権“便宜”か
![]() (写真)統一協会が申請した名称変更の理由などを黒塗りにした文化庁の決裁文書 |
統一協会と自民党の癒着で政治がゆがめられた疑惑が浮上しています。統一協会の名称変更をめぐり、政権側が“便宜”を図った疑いです。
統一協会は2015年に正式名称の変更を文部科学省の外局、文化庁宗務課に申請。「世界基督教統一神霊協会」から、「世界平和統一家庭連合」への変更を認証されました。当時は安倍晋三政権下で、文科相は自民党の下村博文衆院議員でした。
「しんぶん赤旗」は、文化庁がそれまで統一協会の名称変更を拒否していたのに、一転して認証したことを特報(7月20日付)しました。前川喜平元文部科学事務次官によると、同氏が宗務課長だった1997年ごろに統一協会が名称変更を相談してきました。その際、「教義など団体の実体に変化がないと名前は変えられないと伝えた。役人は前例を重んじる。その後も同様の理由で断ってきたはずだ」と証言。「政治的圧力があった可能性が高い」と指摘しました。
全国霊感商法対策弁護士連絡会は、2015年に統一協会が名称変更を申請する直前に、変更を認証しないよう下村氏や文化庁長官らに申し入れていました。申し入れ書は、統一協会への社会的批判が高まったことで資金獲得が困難になったため、名称変更で正体を隠して資金や人材獲得をしようとしていると指摘しています。出席した弁護士によると宗務課は「変更させない」と説明していたといいます。
他方で、宗務課は当時の文科相だった下村氏に事前説明していたことも判明。下村氏が名称変更に関与していた疑いがいっそう強くなりました。下村氏は自身が代表の自民党東京都第11選挙区支部で、統一協会系の日刊紙を発行する世界日報社から16年に6万円の献金を受けています。
文化庁は日本共産党の宮本徹衆院議員の求めに応じ名称変更の決裁文書を提出しましたが、「変更理由」にかかわる記述をすべて黒塗りにしていました。同庁は公にすることで協会の「正当な利益を害する恐れがある」と説明。統一協会を擁護する岸田文雄政権の姿勢が問われています。
地方政界・自治体へ“侵食”
佐喜真・沖縄県知事候補 参加頻繁
統一協会やそのダミー団体による地方政界と自治体への“侵食”の一端も明らかになっています。
統一協会は、世界平和や日韓友好などを掲げるダミー団体の活動を通じて地方の首長、議員、行政当局に接触しています。
このため全国各地で自治体がダミー団体の活動を後援する事態が相次いでいます。その一つが自転車イベント「ピースロード」です。統一協会トップの韓鶴子が総裁を務める天宙平和連合(UPF)のプロジェクトです。日本共産党議員団の申し入れなどを受け、これまでに香川県や熊本県、鹿児島県などが後援を取り消しました。
沖縄県では、統一協会系のイベントに複数の自民党議員らが出席するなど、協会側との親密な関係が報じられています。
県知事選に立候補している前宜野湾市長の佐喜真淳氏(58)=自民、公明推薦=は2019年7月から21年4月にかけて少なくとも8回、統一協会やダミー団体の行事に参加していました。
佐喜真氏は19年9月、台湾で統一協会が開いた「祝福式」に来賓として参加。ステージ上で「素晴らしいです。私も非常に感動しております」と祝辞を述べました。統一協会の徳野英治会長(当時)を迎えた講演会(20年1月)にも参加していました。
「しんぶん赤旗」などの報道を受けて佐喜真氏は「統一協会だという認識はなかった」と釈明しましたが、協会側との接点は、そうした行事への参加だけではありません。
佐喜真氏は今年3月、県内のコミュニティーFMラジオで放送された協会系の番組に出演しました。統一協会の那覇家庭教会がホームページで宣伝する番組の一つで、ラジオを通して「真の家庭づくり運動と世界平和」を広く呼びかけていると紹介しています。
- NPT再検討会議閉幕/最終文書採択できず/ロシア反対 禁止条約 重要さ増す
- 日本共産党の要請の方向が、世界の圧倒的多数の声に/第10回NPT再検討会議の結果について 志位委員長が声明
- 統一協会 危険な二つの顔/反社会的カルト集団/勝共連合 反共・反動の先兵
- 平和発信する沖縄 デニーさん貫いて/知事選 新基地阻止の訴えに住民
- 普天間撤去 知事と連携/宜野湾市長選 ナカニシ氏が政策/来月4日告示
- 辺野古リポート/希望の海 大看板除幕
- 共産党100年 意義納得/和歌山 田村副委員長講演
- 国の支援欠かせない/宮城 紙氏ら豪雨被害調査
- 沖縄知事選 佐喜真陣営/期日前は「最重要戦略」/組織戦で圧倒図る
防衛省概算要求/前代未聞の大軍拡阻止しよう