食料品の高騰に拍車がかかっている。4月の値上げは1年半ぶりに4千品目を超え、主食であるコメ価格も上昇を続けている。家計の痛みは限界に近づき、暮らしの質は確実に低下している。政府・日銀は物価対策を最優先で講じなければならない。
調査会社の帝国データバンクによると、2025年1~9月に1万1707品目の値上げが決まっている。同社は「25年通年で2万品目前後に到達する」と分析しており、今年の値上げ品目数が24年の年間累計1万2520品目を超えるのは確実とみられる。
値上げは広範囲にわたるが、最も深刻なのはコメ価格だろう。
農林水産省の調査では、全国のスーパーでのコメ価格の平均は6日までの1週間で5キロ当たり4214円と14週連続の値上がりとなった。昨年同時期は2068円であり、1年間で価格が2倍以上跳ね上がった計算だ。
政府は備蓄米の放出を始めたが効果は現段階では出ていない。一部地域ではコメの在庫切れも起きており、状況は悪化している。
食卓に欠かせない主食の価格高騰や流通不足は先進国ではあり得ない事態だが、政府は価格高騰の直接の原因さえ十分把握できていない。減反や転作を進めてきた農政の明らかな失敗であり、政府には猛省を促したい。
価格高騰が食料品全般に及んでいることは、円安による輸入物価の上昇や物流費などの値上がりが重なって起きたことが原因だ。
円安を是正して物価を抑制するには日銀の利上げが不可欠だ。トランプ米大統領の高関税政策で金融市場が動揺し、金融政策のかじ取りが難しいことは理解するが、暮らしは苦しさを増している。日銀が「物価の番人」という旗を降ろすことがあってはならない。
政府は物価対策を検討するが、財源には限りがある。不要不急の項目まで盛り込んで、予算規模を膨張させることはもはや許されない。食料品価格の抑制に的を絞るなら、現行8%の消費税軽減税率のさらなる引き下げも視野に入れて検討すべきだ。
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