林 住 記

寝言 うわごと のようなもの

プライス コレクション

2006-07-24 | 色めがね
上野の[東京国立博物館]の平成館で、[若冲と江戸絵画展]が開催されている。
若冲を中心に、長沢芦雪・曾我蕭白など、江戸期のいわゆる異端の画家の作品が多い由。

若冲の発見者は、第一に当時の京都の禅寺の住職、第二にアメリカの大富豪の御曹司のジョー・プライス氏。今展の出品作品の所有者です。

戦後、評価されず、格安だった若冲・芦雪・蕭白を買い集めた。
買上げ基準を、プライス氏は

「日本語が分からないから、落款も署名も読めない。絵の迫力だけで選んだ」

と言っている。
また、江戸時代には、ガラスケースも電気の照明も無く、自然光だけで絵を見ていたから、展示作品はむき出しにし、照明は自然光のように、ゆっくり明暗を変化させるようにした由。

ふ~む。

もう終ってしまったが、[三鷹市美術ギャラリー]へ[高島野十郎展]を観に行った。
一寸古風過ぎて、好みではなかったが、腕の確かな画家とは思った。
殆ど無名の画家なのに、会場はかなり混雑。絵に合わせて説明カードは小さく、蝋燭や月の連作では照明もぐっと落として、読めやしない。老人無料の好意にも拘らず、腹が立った。

でも、プライス氏の発言を聞いて、解説や題名に拘るのは間違いと気付きました。

大昔、[区立世田谷美術館]で、加山又造の群鶴図6曲2双の屏風を観ていた。
木漏れ日が室内の屏風に投影。鶴が羽ばたき始めて、驚いた。

そう、照明で作品は生き返る。隠れた魅力が現れる。

プライス氏は莫大な遺産を相続。会社経営から退いた今、大規模な社会貢献を精力的に実行している。また日本人の気付かなかった遺産を発見してくれた。快く里帰り展を実行してくれた。
アメリカにはこういう伝統があるんですね。

勉強した訳じゃないから、若冲の絵のどこがどうとは言えないが、電車賃を払い、高い入館料を払っても、この特別展には行ってみよう。

*皇居三の丸[尚蔵館]で、御物の[動植採絵]全30幅、展示中。
 これ、凄いです。「採」は正しくは糸偏です。

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