あっぱれ希林さん

樹木希林さんにはびっくりポン・ポン・ポンだ。

希林さんが、死期が近い癌患者は最期をどう迎えるか、という深刻な内容の「クローズアップ現代」に出演した。
国営放送としては異例の待遇で、入水した希林さんの あの美しいご遺体画を、金色の巨大な額縁に入れ、スタジオの天井に飾っていた。
そして身体中に癌が転移しているという希林さんは、人生最後の日々をどう過ごしているか、を淡々と、明るく話したのである。

　　私は死ぬ死ぬ詐欺師ですね。今のところは生きながらえてますが、癌は全身に転移し、来週からまた治療を始めます。

　　それなのに、次の仕事の予定が入る。やり残したことはもう何もないのに。
　　この番組への出演は喜んで引き受けました。それは素敵な仕事をしている国谷裕子さんとお話ができるからです。

　　私に残っている仕事は、私の死に際を子や孫にキッチリ見せることです。その時はじたばたするかもしれないけれど構わない。
　　それから「俺をあっちへ連れてくなよ」と言ってる亭主に「あなた、どなた様？」と言ってやる。

　　俳優をしてきた癖で、自分を俯瞰して見ることがあります。残された日が余りないことに愕然とし、ドーンと落ち込みますよ。
　　でもそういう時は、笑うことで乗り越えられる。だから一人でも、笑います。

希林さんにかかると、こういう話が断然愉快になる。聞いていて目が引きつるけれど、明るくなれ、つい一緒に笑ってしまう。
そしてこれだけでも圧倒されるのに、放送時間切れすれすれに、痛烈ながらも極めて婉曲に、国谷さんを番組から降ろす国営放送を批判した。

　　国谷さんは素晴らしい仕事をしていらっしゃる。この番組はいつも見ており、国谷さんを尊敬しています。
　　ＮＨＫは国谷さんという大変な財産を持ってるんですねぇ。

この突然の声援には、流石の国谷さんも動揺。希林さんを遮り、声を詰まらせながらこう返した。

　　それでは、いつまでもお元気で.......。

これに対して希林さん、

　　いつまでも、はもう無理ですよ。

最後の方の音声は放送から消えかけていた。

ＮＨＫはこの放送を再放送するだろうか。籾井会長にとっては、重大な放送事故である。
最後の１分をちょん切るのではあるまいか。

また、図々しいだけで薄っぺらなゴマスリ、高市早苗総務大臣の感想は如何に？

１６０２１５