飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」「万里一空」「雲外蒼天」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

未来のヒントは過去にある

2023年09月02日 07時31分40秒 | 教師論
星野佳路社長の名前を知らない人はいないと思う。
軽井沢の老舗温泉施設から、日本全国で人気にリゾートを運営する企業へと飛躍をさせた4代目の経営者。
一度は誰でも泊まってみたい憧れのリゾート。
高級旅館・ラグジュアリーホテル「星のや」、和の趣の温泉旅館「界」、スタイリッシュなリゾート「リゾナーレ」など。

そんな観光業界の革命児、星野佳路社長のマイルールがある。
①1日1食主義
②1日万歩以上歩く主義
③3ない主義(出たくない会議にはでない・会いたくない人には会わない・行きたくない会食には行かないの3ない主義)

この他にも沢山のマイルールがあるという。
どんなに忙しくても「済民事感は7時間とる」「年間50日はスキーをする」など。

この星野氏、これほどの実績と結果を残しているのだから、さぞ人とは異なったことをして学んでいるのだろうとおもっていたが、そうではないようだ。
快進撃を続ける星野氏、その秘密を著書「星野リゾートの教科書」の中で、こう明かしている。
「社員のモチベーションアップも、サービスの改善も、旅館やホテルのコンセプトメイクも、私が経営者として実践してきたことはすべて教科書で学んだ理論に基づいている」と。
このことは意外だった。
この教科書とは、経営学の専門家が書いた、いわゆるどこでも手に入るビジネス書のことをさしている。
ふつうは、なるほどと思いながらも教科書通りの理論なんて実践では役に立たないと考えがちだ。
しかし、星野リゾートの経営は、教科書通りなのだ。

ここからが星野氏らしいのだが、こんなふうにも言っている。
「企業経営は、経営者個人の資質に基づく「アート」の部分と、論理に基づく「サイエンス」の部分がある。
 私は経営職についた当初から、自分にアーティスティックな経営判断を行う資質があるとは思っていない。
 どんなときにも直感を信じることができす、それはあまりにもリスクが多いと感じてしまう。」(前掲書より)

星野氏のすごいところは、自分の欠点を自覚して受け止めているところだ。
アート(直感)とサイエンス(科学)は、両方あって初めて一歩前へ踏み出せる。
では、自分に書けているというアートの部分をどこで補っているのか。
星野氏は、自分は資質があるサイエンスの道を極め、サイエンスの枠組みの中で、社員一人ひとりのアートを引き出す経営をしてバランスと取っている。

自分の強みを最大限に生かし、足りない部分を他の人の活用によって補う。
これも経営者や指導者にとっては必要不可欠な要素だ。
とかくに能力の高い人は、すべてを自分のやろうとして行き詰まる。

星野氏は、自分の強みであるサイエンスの部分をどのようにして極めようとしているのか。
アートの部分を磨くことは、なかなか難しい面があるが、サイエンスの部分は方向性と方法論さえ間違わなければ誰でもが進歩していく。
その方法とは、本屋めぐり。
インターネットで本を購入することもあるそうだが、やはり書店で買うことが多いという。
自社の抱える課題をちゃんと意識して本屋をまわり、実際に手にとってページをめくり教科書になる本を探す。
その際にも、本屋でもマイルールがあるという。
それは、目立たない本を探すということ。
派手に平積みになっている、目立つ本に注目するのではなく、ぽつんと一冊だけ書棚に入っているような目立たない本に注目する。
それはなぜか。
「私の経験では、新しい本はまだ教科書とするには早すぎることが多い
 しかし、書棚にぽつんと一冊だけあるような本は、流行の波を乗り越えて、体系化された理論として生き残り、定石として生き残り、定石として一般的に認知されたことを示している。
 いわば古典なわけです。」
そういう本はホコリをかぶっていることが多い。
しかし、そんな本こそ、星野リゾートの快進撃を支えているヒントの宝庫なのだ。

多くの教師がそうだと思っているが、自分は10分時間があれば本屋に入る。
本の中に一行でも自分の心に響く、インスピレーションがわく言葉があれば購入する。
自分は東京に用事で東京に行った時は必ず本屋による。
地元には教育書が置いてあるような本屋がないからだ。
東京駅から新幹線に乗る前に、よるのが八重洲ブックセンターだった。
しかし、残念ながら今年3月、再開発にために閉店となった。
あと、必ず行くのは新宿の紀伊国屋書店。
当然ながら、帰りにはバッグに入らなほどの本をもって帰宅するのが常だった。
この夏休み時間もあったので今一度、若かった頃に購入した本を読んだ、
森信三、斎藤喜博、大村はま、芦田恵之助、東井義雄、林竹二等
これは過去の実践家ではあるが、現在忘れがちな多くのことがそこには書かれている。
目先の実践について学ぶことも大事であるが、未来を考えるにはまず過去と対峙すること。
このことを避けて成長や進歩はありえない。

「新しいとは、どれだけ真剣に古いものを見つめ抜いたか」
これは、コンサルタントであり、詩人のきつかわゆきおさんの言葉である。

未来のヒントは過去にある
そう、未来は過去にある

そう感じる。

saitani



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