「ちっちゃなエイヨルフ」
作:ヘンリック・イプセン
演出:タニノクロウ
出演:勝村政信、とよた真帆他
池袋あうるすぽっと
嘘つき男と我がまま女の夫婦の破綻と再生。といっても、子煩悩な勝村氏が演じるアルメルスという夫は本当に息子を愛する良き父親だった。普通、子どもが生まれると、女の方が母性に目覚めて夫よりも子どもに愛情を注ぐのよね。でも、とよたさん演じるリタは、母としてよりも夫から愛される女でいることを望む。子どもは産めるけど、育てるのは向いてないとか、産むのが痛かったとかなんじゃこいつって感じだ。
子どもの死という大きな代償の上に、初めて本音をさらけ出す二人。実はリタも母親として息子を愛していた。アルメルスは、血がつながらない妹が好きだった。人間の本質は不可思議なことばかり。それがいつしか浄化されていく…。
人形の家のノラにしても今回のリタにしても何故、イプセンが描く女性は我がままで気が強いお譲さまなんだろう。プログラムの経歴によると、生まれはわりとセレブだったらしい。でも幼くして、生家は財政破綻してしまうからその後はいろいろろ苦労する。作品を発表してもなかなか認められなかったり、社会論争に発展したり…。
この人、ちょっと、同僚に手をつけちゃって、18歳で父になっているのね。この息子は生涯、冷遇されたらしい。両親の過失で障害者となり、海で溺死する哀れなエイヨルフに何か通じているような気がする。
その後、成功して結婚するんだけど、晩年になって、複数の若い女性と親密になっている。芸術家にありがちな好色ジジイだ。元来、フェミニストだったのかな。なんか我がままなお譲様タイプが出てくるわけがわかるな。
人間イプセン、なかなか興味深い人物だ。
いつもブログで笑かしてくれてた勝村氏、本業の方は素晴らしい舞台俳優さん。最後まで役が抜けないって感じではけていかれた。これからもこの人の舞台は観ていきたいな。
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