くらげのごとく…

好きなことを考えてふわふわ漂ってるような
時間が心地良かったりする。
たとえ時間の無駄遣いだったとしても…。

蘇るオレステス

2006年09月09日 | 藤原竜也
オレステス初観劇から一夜明けて、まだ興奮が冷めやらない…というか思い出すたびドキドキする…

蜷川&藤原コンビ、期待は裏切られなかった。入口を入ったらにこにこしながらどなたかとお話されている蜷川さんがいらした。なんか“藤原竜也を最大限活かせるのは自分だ!”っていう自信が感じられる。今回もかなり厳しい稽古があった模様。「藤原くんは今よりももっと空高く飛ばなくてはいけないんです」なんて、二人は「演劇に対する深い師弟愛」で結ばれているんだね。

難をつけるとすれば…蜷川さんの中では新しいギリシャ悲劇を目指したそうだけど、観る側にとっては案外正攻法できたなっていう感じ。演出も雨以外はま新しいものはないし、舞台美術もよりシンプル。竜也くんは、苦悩する役柄で、お決まりの裸んぼうだった。私が望んだ斬新なものはなく、オレステスも、タイタス、哀れの延長上にあった。近親相姦と復讐が、蜷川さんの今年のテーマなのかな。

ハムレットを超えるのはなかなか難しい。ハムレットは周囲から失敗するだろうと見られていた分、成功の度合いが大きかったから評価もされた。だけど、今はハムレットが出来るというレベルから評価される。出来て当たり前な作品じゃインパクトは小さい。

だけど、ハムレットから、竜也くんは、確実に成長し続けている。舞台の上でオレステスを演じるのではなく、オレステス自身を生き抜いている姿が圧巻で観るものを惹きつける。まるで遠い昔のギリシャの国から蘇ってきたように。やっぱり、この人は天才だ。

共演者とのチームワークもばっちりだ。特に吉田鋼太郎さんとの一騎打ちは迫力がある。命乞いしているのに竜也くんは思いっきりひっぱたくし、お返しとばかりに鋼太郎さんは力いっぱい突き飛ばすし…。鋼太郎さんの若いもんには負けないという気概がひしひしと伝わってきた。

注目の北村有紀哉さん、ちょっと、あっさりしすぎている感じがする。それが彼の持ち味なんだろうけど、ボロボロの姉弟、二人の運命を引き受けるんだからもうちょっと熱くてもいいんじゃない。だってピュラデスってエレクトラの婚約者でなおかつオレステスのことが大好きなんだよ。「オレが守ってやるぜフォ~」くらい過激であって欲しかった。一瞬、高橋洋さんだったらどうなってたかなって。でもそれだと新鮮さはないかもね。

発声法を変えたという声がかすれ気味だったり、狂気の演技のために出来ている傷が痛々しくて、すでに竜也くんは満身創痍の感があるでど、私は、心を鬼して、このくらいは全然いけるはずだって思った。だって竜也くんは物凄いプロ根性の持ち主だから。これから続くの49公演の中から、竜也くん自身が何かをつかみとってもっと進化を遂げる舞台になるだろう期待している。



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