くらげのごとく…

好きなことを考えてふわふわ漂ってるような
時間が心地良かったりする。
たとえ時間の無駄遣いだったとしても…。

長~い眼

2010年11月13日 | 保育園

先日、保育園に中学生が体験学習に来た。何年前からか、こうやって、中学生が職場体験を行うようになった。地域の様々な職場にグループで体験をしにいく。受け入れる側も、中学生というポジションは難しい。アルバイト感覚というわけにはいかない。まだ未成年で、授業の一環として学びにくるわけだから、何かを感じてほしい、知ってほしいと願う。また、彼らが関わったことで、園児に怪我があったりすることはあってはならず、気を使う面もある。園児にとって中学生は年も近いということもあり、保育士や実習生とは違ってより身近に感じるようだ。遊び始めたとたん、彼らの回りに子どもが鈴なりなってちょっかいを出している。その興味津々な顔がいつにもまして嬉しそうだ。中学生も来るものは拒まずで全力で応えてくれている。こういう触れ合い方は、大人には出来ない。無防備なもの同士がぶつかり合う。お互い興味を持って出会った瞬間はとても微笑ましく、「あっ、いいな」って思った。同時に常日頃、マンネリ化してしまった子どもに対する自分の姿勢なんぞを反省させられた。

今回、保育園に来た子たちは6名中4名が卒園児で、折しも自分が受け持って送り出した子たちだった。異動で戻ってこなかったら会えなかった。保育園の頃は、給食はこぼすし、話はきかないし、怪我はするしで心配をすることが多かった子もいた。あれから10年あまり、まだ面影は残るものの、すっかり落ち着いてちゃんと中学生になっていた。成長というものは、長い眼で見なければ本当にわからないものだ。今のクラスにも、発達的に気になる子が数名いるが、潜在的な力がどこでどう芽生えるか誰もわからない。いい出会い、良い環境によって人は変わる。親御さんの力の甚大さも感じた。

自己紹介で、「ぼくもこの保育園にいて、最初から先生にお世話になったので、よく覚えています。先生はいい先生です」なんて言ってくれて、マジで泣きそうになった。そんなこと言ってもらえるなんて思いもよらなかった。改めて、保育士という仕事は、良しにつけ悪しきにつけその子自身の中に刻み込まれる存在なんだということを実感し責任の重さに身が締まる思いがした。正しい保育ってなんだろう。立派な園舎、最新の知育玩具、細かいカリキュラムなんかいらない。子どもと、心の根底で触れあいで、そこまで踏み込みなおかつ向き合えるかってことだ。

もしかしたら、彼らは職場体験というより、幼き頃を懐かしみに来たのかもしれない。感想を聞いたら、「男も女も関係なく、(子どもたちの方から)来てくれたので安心した」と言う。人間関係の難しさを感じ始めている年頃なのかな。構えもなく素になって遊ぶ。幼き頃はみんなそうだった。欲しいおもちゃは人が使っていてもぶんどる!だって、「自分が一番!」だからね。それを繰り返しながら、相手にも思いがあるころに気付いていく…。いつしかぶつかることを避ければ面倒くさくないことも知ってしまう。

子どもは無心だ。疑いももなく頼られること、それを受け止めること、人間関係の原点を改めて感じてくれただけでも良い体験になったのかなあと思いたい。これから訪れるであろう様々な人生の荒波に立ち向かって、さらなる成長をしてほしい…。


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