くらげのごとく…

好きなことを考えてふわふわ漂ってるような
時間が心地良かったりする。
たとえ時間の無駄遣いだったとしても…。

All My Sons

2011年12月24日 | 観劇

「みんな我が子」
作:アーサー・ミラー
演出:ダニエル・カトナー
出演:長塚京三、麻美れい、田島優成、朝海ひかる、柄本佑、陸大介 他
新国立劇場

ホームドラマのようなタイトルとは裏腹で、硬派で地味な作品だった。第二次世界大戦後のアメリカ、戦争の裏側で不正を働きながら富を築きそれを正当化しようとする父親と息子の軋轢や、罪をきせられた同僚の家族、長男の戦死の真相などが描かれる。

裕福で理想的一家が抱えていた闇を周囲の人たちが言わずと気付いていたのが恐い。必死の取り繕い、大義名分を並べながら今を守ろうとする父親に息子が真実を突きつける。そして、響く銃声…。父を死に追いやり打ちひしがれて自分を責める息子に、母親は「あなたは生きて」と説得する。衝撃的な幕切れにしばし呆然とした。なんかやりきれない気持ちになった。混沌としたあの時代、何が正義だか定かではなかった。日本も苦しい時代だったけど、戦勝国アメリカも苦しんだ。先日、イラク戦争終結宣言が出たけど、あれも何のための戦争だったのかよくわからない。たくさんの人が亡くなり、戦地から帰った兵士は職がないそうだ。なんか虚しい。

お芝居を見ながら、長塚京三さんは長塚圭史さんに、柄本佑くんは柄本明さんんいそっくりだなあ~って思った。だって親子だもんね。ベテラン勢と若手のバランスがなかなか新鮮で良かった。田島優成くんはいろいろ戯曲を勉強しているらしく、舞台人としてやっていく意気込みが感じられる。これから、ちょっと注目したい若手だ。

新国立劇場があるオペラシティは広くて落ち着いた空間だ。クリスマスツリーがきれいだった。