少し前、「ド根性大根」が流行ったよね。都会のコンクリートを突き破ってまでも生息する植物たちがいる。でもさ、それが自然本来の力強さなんだよね。それを健気に感じるのは人間が弱いからだ。あまりにも平和な日常だったからだ。大自然の破壊力を今回の震災でこれでもかと見せつられた…。
たぶん、本来、君たちが住むべき場所は、“春の小川がサラサラゆく”ようなところだったんだろう…。暖かな春の日射しがあって、蝶々なんぞも跳んでくる。そんな場所を奪ったのは人間だね。だけど、君たちは地中からほんのわずかな隙間をこじ開けながら毎年、地上に出てくる。たとえ、そこが日陰の吹き溜まりで、排気ガスが充満する道路の端でもね。
私たち人間もさ、わずかな隙間を見つけてこうやって立ちあがって生きていかなきゃいけないね。やっとのことで空いた風穴からわずかな光がさしてくるのを逃しちゃいけない。
今年は、全てにおいて穏やかな春を迎えられなかった。こんなつくしを見ても、「健気に頑張ったね」なんて言ってられない。それなら私だってやってやると闘争的な気分になっている…。