くらげのごとく…

好きなことを考えてふわふわ漂ってるような
時間が心地良かったりする。
たとえ時間の無駄遣いだったとしても…。

ドラマな舞台

2009年07月12日 | 観劇
異人たちとの夏

原作:山田太一
脚本・演出:鈴木勝秀
出演:椎名桔平、内田有紀、甲本雅裕、池脇千鶴、羽場裕一
シアタークリエ



某チケット会社の割引優待で仕事帰りに観に行った。

山田太一やなあ…。下町人情味が溢れていて、ちょっと切なくなる。

主人公は、バツイチの中年脚本家。もしかして、山田さん本人がモデルかしら。彼は12歳で両親と生き別れている。早すぎる別れだ。そこから一人でがんばって地位も家庭も手に入れた。42歳になった彼は、離婚して再び一人になり、ある日、30年前の両親と町で出会う。一方、同じマンションに住む、胸に傷を持つ女性とも付き合い始めるが…。

このお話、昔、映画になったからタイトルだけは知っていた。「異人」というから多国籍な話だと思ったら、“異国”=“あの世”との交信だったのね。両親との再会は、離婚で傷ついた男の空虚な心を埋めてくれるものだったが、知らないうちに生気を吸い取られていた。恋人は、「このままだと死んでしまう」と両親に会うことを止めようとする。彼は、このまま黙って会うのをやめることはできないと両親に真実を告げて、“あの世”に帰ってもらおうとする。“幽霊”の両親を現世のすき焼き屋に招待し、このまま会い続けることはできない、自分も衰弱してしまうと告げる。両親もそのことを理解し愛する息子のために消えようとする。「12歳からよく一人でがんばったね、ずっと愛しているよ」と言い残して…。気がつくと、彼の前に口をつけたビールと、温もりがのこる割りばしがあった。

求めてもかなわぬ愛。求めるだけが愛じゃない。切ない…。

しかし…、彼の衰弱は止まらない。実は、両親に会うことをやめさせた彼女もまた“あの世”の人だったのだ。胸に傷を持つ彼女は、彼と出会ったその日、彼に拒絶されたと思いこみ、身を投げていた。まさか、彼が心を開いて自分を好きになってくれようとは思いもせずに。「死ななきゃ良かった」と言いつつ、彼女も消える。これ以上、彼を衰弱させないために。

ううっ、またまた切ない…。

この夏は、男にとって夢のような時だった。失くしたものを、これから、自身で埋めながら再生して行かなければならない。それが“この世”で生きていくことだから。

蜷川演出ばかり見ていると、こういう舞台はTVドラマのように感じられる。ワンカット、ワンカット切り取られたような場面や、音楽がつながりながらさらりと流れていく。出演者もちょっと前のドラマで活躍していた人たちだからまるで画面をみているようなナチュラルさだ。下町人情劇だけど、寅さんとは全く違い、全体的におしゃれな感じもした。

椎名さん、若くてかっこいい。この人はドラマも、映画も、舞台もハマるオールラウンドプレーヤーだね。こういうナイーブな役柄が似合う。純粋さを失わない少年のような中年を好演していた。

そして、内田有紀さん、映画「禅」も良かったけど最近、いい仕事しているよね。彼女はアイドルなイメージが強いけど、経歴を見るとつか劇団に参加したりとなかなかストイックなところがある。離婚してからますます良くなっていく。女優だなあ。

鈴木勝秀演出だが、ちょっと場面転換が多すぎてコマ切れ感があった。加えて、ウイスキー、ビール、日本酒と、出演者がよく飲んで食べて語らうシーンばかり。「トイレは大丈夫かい?」って余計な心配をしてしまったよ。演出的には「レインマン」や「写楽考」の方が好きだ。そういえば、「ヘドヴィク」も鈴木演出だったな。

週末の銀座は、こんな不景気でもごった返している。クリエの地下のそば屋で一杯、飲んでしもうた。のんびり帰ってきたら最終バスを逃して、思わぬ出費。せっかくの割引チケットがおじゃんになってしまった…。

とりあえず、健康!

2009年07月12日 | 日常あれこれ
健診からちょうど、一週間、結果の封筒が届く。ぶ厚いからドキドキして開けたら全然健康でホッとした。ぶ厚いのは、生活習慣病予防・改善のちらしのせいだった。

結果は見事なくらい去年とほとんど変わりがない。ってことは…、相変わらず総コレステロール量が多かった。でも、去年より“5個”減った。わずか5個が、お豆腐生活とエアロ2本の成果なのかな。だから、基準値より、ホントに数個、多かっただけ。それなのに、しっかり赤字マークになって『軽度な所見を認める』になっていた。当たり前か、上回ったのは確かなんだから。ま、このまま、不摂生をしなければ、しばらく現状維持が続くのかもしれない。きっとこういう体質なんだよね。

でも、健診後のこの1週間は不摂生気味…。お豆腐生活の反動で食ったり飲んだりしちゃった。週末は、後輩がめでたく結婚退職をしたので、焼き鳥屋でお祝い飲み会があった。みんなここぞとばかりドカドカ注文して、瞬く間に竹串の山ができていく~。

思えば、最初に出会った彼女は実習生で、緊張しながら手遊びをする姿がとても初々しかった。仕事についてからも黙々を努力を重ね、子どもにとっても保護者にとっても園にとってもかけがいないくらい良い保育士に成長した。彼女の根底には常に、子どもを愛おしいと思う気持ちがあるからどんな時も包み込むような優しさが感じられるし安心できる。きっといいお母さんになるだろうなあ。長い間、お疲れ様でした。

きっちり2時間で焼き鳥屋を追い出されてからも名残おしく、しばらく路上でおしゃべりをしていた。こういう別れと出逢いを幾度、繰り返したことだろう。気がつけば、新世代の波が押し寄せている。こうやって、時代は変わっていくんだなあって漠然と思った。

さて、健康に感謝しつつ、またわたしなりの日常を楽しく過ごしていこう。