くらげのごとく…

好きなことを考えてふわふわ漂ってるような
時間が心地良かったりする。
たとえ時間の無駄遣いだったとしても…。

人形の家

2008年09月21日 | 観劇

人形の家 (岩波文庫)
イプセン,原 千代海
岩波書店

このアイテムの詳細を見る




出演:宮沢りえ、堤真一
演出:デヴィット・ルヴォー
シアターコクーン

決断した時の女は強い…。その強さの前に男はうろたえるばかり。父親の前では良き娘を、夫の前では良き妻を、子どもの前では良き母を演じ続けたきた主人公ノラには秘密があった。病気だった夫のために、父親のサインを偽造し借金をする。危篤の父に保証人が頼めなかったし、何よりも愛する夫を救うためだった。だけど、その秘密を知った時、夫は自分の身ばかり守ろうとし、彼女をなじる。彼女の中で何かが崩壊する。自分は夫に対しては間違ったことはしていない。なのに夫は自分のことは何も考えてくれない。長年つくしてきた夫がこんな人間だったとはとがく然とする。今まで人形のように生きてきた自分に気づき、自分の足で歩いていこうとするのだった。

どことなく、ひと頃、話題になった熟年離婚を彷彿させる。いや、ノラは幼い子どもさえも置いていくから熟年ではないか。子どもとまで別れてしまうことないじゃないと思ったけど、意志を持たなかった女が意志を持ち自立していく姿は現代にも通じる。この物語をイプセンは1879年に書いている。今から130年も前に。福祉国家の北欧は進んでいたのか、イプセン自身に先見の目があったのか、当時の日本では考えられない女性の生き方だ。

すっかり舞台づく、宮沢りえちゃん、実力を発揮。かわいこぶりっこのノラから、力強く自立していくノラへと一気に魅せてくれる。アイドルだった彼女がこんなにも舞台で輝く日が来ようとは。次回は、野田マップで松たかこちゃんと激突!これも観てみたいなあ。

堤さんは、まさか妻に捨てられようとは思いもしなかったおバカな夫。今だったらもう少し賢く別れられそうだけど、100年前の男性は女性に依存されて当たり前だったからそれはそれはショックが大きいことだったろう。彼が立ち直っていく方が大変そうだなあって同情した。彼なりに真面目に仕事し、妻を愛していた筈だから。

舞台を見ると、原作を読んでみたくなる。ついでに、関係ないけど昔の古~い歌謡曲も何故か思い出しちゃった。

人形の家

なかにし 礼 作詞
川口 真 作曲

顔も見たくないほど
あなたに嫌われるなんて
とても信じられない
愛が消えたいまも
ほこりにまみれた人形みたい
愛されて捨てられて
忘れられた部屋のかたすみ
私はあなたに命をあずけた

あれはかりそめの恋
心のたわむれだなんて
なぜか思いたくない
胸がいたみすぎて
ほこりにまみれた人形みたい
待ちわびて待ちわびて
泣きぬれる部屋のかたすみ
私はあなたに命をあずけた
私はあなたに命をあずけた

こちらは、女の方が捨てられちゃうのね。暗いわ…。ノラの方が前向きだ。