鳴りもの入りで始まった「ムサシ」も、ついにさいたま公演千秋楽を迎えた。「身毒丸・復活」の大楽から約1年、あの日のさい芸は雨だったけど、今日は、気持ちがいい快晴になった。
蜷川演出のタイトルロールにそれこそ体を張って挑んできた竜也君。「身毒丸」で一区切りをつけ、新たなスタート作品となった「ムサシ」だったが、今までの作品と比べると正直、物足りなかった。主演といえでも、脚光が当たるのは小栗小次郎だし、長台詞や能で見せばがある白石、吉田のベテラン勢が目立ってすごかった。藤原ファンとしては、竜也くんだって、もっといろんなことができるのに、損な役回りだなあって思ったりもした。
もちろん、竜也くんの見どころがなかったわけじゃない。だって、どんな時も全力投球だもん。5人6脚だって一番はっちゃけていたし、殺陣も所作も素晴らしかった。なんて言ったらいいのだろう。静かだけど決してぶれない「ムサシ」が核として日々、存在していたからこそ、この芝居は成立した部分があるんじゃなかろうか。今回は、縁の下の力持ちだった。それをファンは理解しているよ。間もなく、27歳だもんね。これからはこういう役がらもやっていかなくちゃいけない。あのすごい、ハムレットの亡霊に打ち勝たなきゃいけないんだよね。それを、彼自身もよくわかっていて、「ムサシ」で新たに評価されたいなんてどこかの雑誌でぽろっと本音を語っていた。
う~ん、でもこの「ムサシ」、評価は分かれるだろうなあ。作品としても。今回は演劇初心者の若い層も観に来ることを見込んでか、ものすごくわかりやすかったけど、それがかえってあだにになり、物足りないという意見も聞こえてくる。いつもヘビーで難解なシェイクスピアやギリシャ悲劇を観せられていたものにとっては確かにそう思えるのも否めない。かくいう私もなんで、井上ひさし氏の新作だったんだろう。清水邦夫氏あたりの新作で見たかったなんて我がままなことを思ったりもしたもんだ。
でも、殺伐としたこの時代、“肩が凝らない”ことや笑えることがとても必要だし、その中に、実は井上氏の、憲法第9条とかテロとか現代社会に対する痛烈な風刺も込められている。孝行狸の能も馬鹿げてるようでとても意味深な気がする。殺すならなぶり殺しではなく一気にとか、最後、スパっと切られたウサギが鵜と鷺になって飛んでいくとか。ここで狸の復讐の連鎖は終わるわけよね。なんだかんだと、この「ムサシ」結果としてバランスよく成立した佳作になっていると思う。このメンバーで井上作品をやるというのも画期的なことだったし、贅沢な舞台だというのに変りはない。
さて、派手な蜷川組の千秋楽カーテンコールは、すでに2回めあたりからちらちらと紙吹雪が降ってきた。竜也君と旬君にエスコートされて、蜷川さんと井上さんもご登場。ここで、お二方が竜也君とだけ、がっちり握手をした。これ、何げに嬉しかったな。タイトルロールを背負いきった労をねぎらってくれたというか、舞台を束ねる存在だったことを理解してくれている様で。そのあと、銀の紙テープがドサ~ッと降りてきてキラキラと揺れる。そして、ムサシのテーマソングが流れてきた。おや?オープニングとアレンジが違くないかい?こっちの方がかっこいい。音楽もカテコバージョンを作ったのかとえらく感動してしまったよ。
大人になった、竜也君と旬君、笑顔だけど、紳士的態度のカテコだったなあ。それも感慨深い。蜷川さんもすっかり一人前の役者として扱っているんだなって。きっと舞台裏では小躍りしただろうけど。
まだまだ、大阪公演もある。きっと大阪の方がのりがいいからさらに盛り上がることだろう。どこまで行きつくのか、しかと見届けてやる~。
蜷川演出のタイトルロールにそれこそ体を張って挑んできた竜也君。「身毒丸」で一区切りをつけ、新たなスタート作品となった「ムサシ」だったが、今までの作品と比べると正直、物足りなかった。主演といえでも、脚光が当たるのは小栗小次郎だし、長台詞や能で見せばがある白石、吉田のベテラン勢が目立ってすごかった。藤原ファンとしては、竜也くんだって、もっといろんなことができるのに、損な役回りだなあって思ったりもした。
もちろん、竜也くんの見どころがなかったわけじゃない。だって、どんな時も全力投球だもん。5人6脚だって一番はっちゃけていたし、殺陣も所作も素晴らしかった。なんて言ったらいいのだろう。静かだけど決してぶれない「ムサシ」が核として日々、存在していたからこそ、この芝居は成立した部分があるんじゃなかろうか。今回は、縁の下の力持ちだった。それをファンは理解しているよ。間もなく、27歳だもんね。これからはこういう役がらもやっていかなくちゃいけない。あのすごい、ハムレットの亡霊に打ち勝たなきゃいけないんだよね。それを、彼自身もよくわかっていて、「ムサシ」で新たに評価されたいなんてどこかの雑誌でぽろっと本音を語っていた。
う~ん、でもこの「ムサシ」、評価は分かれるだろうなあ。作品としても。今回は演劇初心者の若い層も観に来ることを見込んでか、ものすごくわかりやすかったけど、それがかえってあだにになり、物足りないという意見も聞こえてくる。いつもヘビーで難解なシェイクスピアやギリシャ悲劇を観せられていたものにとっては確かにそう思えるのも否めない。かくいう私もなんで、井上ひさし氏の新作だったんだろう。清水邦夫氏あたりの新作で見たかったなんて我がままなことを思ったりもしたもんだ。
でも、殺伐としたこの時代、“肩が凝らない”ことや笑えることがとても必要だし、その中に、実は井上氏の、憲法第9条とかテロとか現代社会に対する痛烈な風刺も込められている。孝行狸の能も馬鹿げてるようでとても意味深な気がする。殺すならなぶり殺しではなく一気にとか、最後、スパっと切られたウサギが鵜と鷺になって飛んでいくとか。ここで狸の復讐の連鎖は終わるわけよね。なんだかんだと、この「ムサシ」結果としてバランスよく成立した佳作になっていると思う。このメンバーで井上作品をやるというのも画期的なことだったし、贅沢な舞台だというのに変りはない。
さて、派手な蜷川組の千秋楽カーテンコールは、すでに2回めあたりからちらちらと紙吹雪が降ってきた。竜也君と旬君にエスコートされて、蜷川さんと井上さんもご登場。ここで、お二方が竜也君とだけ、がっちり握手をした。これ、何げに嬉しかったな。タイトルロールを背負いきった労をねぎらってくれたというか、舞台を束ねる存在だったことを理解してくれている様で。そのあと、銀の紙テープがドサ~ッと降りてきてキラキラと揺れる。そして、ムサシのテーマソングが流れてきた。おや?オープニングとアレンジが違くないかい?こっちの方がかっこいい。音楽もカテコバージョンを作ったのかとえらく感動してしまったよ。
大人になった、竜也君と旬君、笑顔だけど、紳士的態度のカテコだったなあ。それも感慨深い。蜷川さんもすっかり一人前の役者として扱っているんだなって。きっと舞台裏では小躍りしただろうけど。
まだまだ、大阪公演もある。きっと大阪の方がのりがいいからさらに盛り上がることだろう。どこまで行きつくのか、しかと見届けてやる~。