長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

在りし日の名曲アルバムextra  鬼束ちひろ『シングル BOX』

2015年07月09日 21時48分12秒 | すきなひとたち
鬼束ちひろ『シングル BOX』(2004年3月17日リリース 東芝EMI )

 『シングル BOX(シングルボックス)』は、鬼束ちひろ(当時23歳)のシングル CDをまとめた、CDボックスパッケージセット。
 デビューシングル『シャイン』から東芝EMI 在籍最後のシングル『私とワルツを』までを一括パッケージ化して再発売した作品。品番が違うことと帯が付属していないこと以外はオリジナル盤と変更はない。
 初回生産の限定購入特典として、オリジナル CDキャリングケースが付属する店舗もあり、「鬼束ちひろスプリングキャンペーン」の一環として発売された。
 もともとこの時期には、オリジナル4thアルバムと、7thシングル『 Sign』から10thシングル『私とワルツを』までのプロモーションビデオに8thシングル『 Beautiful Fighter』のライブ『 UNPLUGGED SHOW '03』での歌唱映像(後にベストアルバム『 SINGLES 2000-2003』の初回限定盤 DVDに収録)を収録した DVDソフトの同時リリースを予定していたが、制作上の都合により発売が中止され、代わりに差し替えられての発売となった。本作は、本人の意思と全く関係なく発売されたため、東芝EMI 傘下の Virgin TOKYOのレーベルサイトや自身のオフィシャルサイト上で、本人の意向による発売ではないとの声明文が掲載された。なお、のちの2008年におけるインタビュー記事で鬼束は、「当時のレコード会社との契約上の問題で発売したもので、発売に関して異論があった訳ではなくただ単に関与しなかっただけ」と語っている。
 なお、本作はボックス仕様のためオリコンではシングルチャートではなくアルバムチャートで扱われ、オリコンウィークリーチャート最高106位を記録した。


収録曲
※()内の楽曲はカップリング曲
1st『シャイン( BACK DOOR)』
2nd『月光( Arrow of Pain)』
3rd『 Cage( Ash on this road)』
4th『眩暈 / edge』
5th『 infection / LITTLE BEAT RIFLE』
6th『流星群( Fly to me)』
7th『 Sign(ダイニングチキン)』
8th『 Beautiful Fighter(嵐ヶ丘)』
9th『いい日旅立ち・西へ(月光2002年ライブバージョン)』
10th『私とワルツを( Rebel Luck)』

≪当時の時点でアルバム収録されていなかった楽曲≫
『シャイン(シングルバージョン)』、『 BACK DOOR(シングルバージョン)』、『 Ash on this road』、『 Fly to me』、『 Sign』、『ダイニングチキン』、『 Beautiful Fighter』、『嵐ヶ丘』、『いい日旅立ち・西へ』、『月光(2002年ライブバージョン)』、『私とワルツを』


 ……これ、感想をうんぬんする必要、ないよね!?
 だって、まごうことなき、「単なる再発売セット」なんですもんねぇ。特別、新録特典があるとかいうわけでもないし。
 デビューから20年くらい経ってる大ベテランが、入手困難になりつつあるデビュー当時のシングルをまとめて再発! とかだったら多少の需要もあるのでしょうが、たかだか3~4年前からのシングル集なんて、ファンならたいてい揃えてるでしょ!
 これをもって「鬼束ちひろスプリングキャンペーン」とするとは大した商魂であるわけなんですが、売り手側の、「だって新作ができないんだもん……!」という怨念のこもった声が聞こえてくるようです。

 事情を全く知らないファンからすれば、名曲『 Sign』と『私とワルツを』を収録した4thアルバムを早くリリースしてよ~! とじりじりしているタイミングでこれなんですから、どこからどう見ても、鬼束さんと周辺の人々との間でなにやら良からぬ暗雲がたちこめていることは明白なのでありました。
 上記のように、後年の鬼束さんは「どうしてもあの時期になにか商品をリリースしなければならなかったからそうしただけ。」という当たり障りのない発言をしていますが、2004年3月の時点で鬼束さんに4thアルバムを世に出す意思がなかったという状況は、いかにも異常ですよね。だいたい1年に1枚という勤勉なペースでフルアルバムをリリースできていたお人がピタッと制作を止めちゃうんだもんね。
 確かに声帯結節という不測の事態はあったわけなのですが、手術後に『私とワルツを』も無事録音してリリースしているわけなんだし、2004年の前半に新アルバムをリリースできておかしくはなかったはずなのですが……

 私は別に音楽業界の事情通でもないし、ましてや鬼束さんの半生をドキュメンタリーチックに調べ上げたいわけでもないので、ここらへんの経緯を詳しく知る必要もないのですが、やっぱり、当時ノリにノッて円熟の域に達していた鬼束さんのオリジナルアルバムが世に出なかったのは、日本歌謡史上の大いなる損失ですよね。のちのちいくらベストアルバムが出て『 Sign』や『私とワルツを』が拾われたのだとしても、覆水盆に返らずなんだよなぁ!

 とは言いつつも! このシングル BOXは、個人的には私がこのような誰に読んでもらうでもない記事企画を立ち上げた直接のきっかけとなった作品でありますので、さすがにそれを無視するわけにはいかんだろうと。
 つっても、いちおう曲がりなりにも、10枚の歴代シングルについてはぜんぶ語っちゃったしなぁ。どうしましょうかね。

 とりあえず、10枚のシングルに収録された20曲の中での、個人的ベスト10を選んでみましょうか。これぞまさしく、傍若無人な個人ブログの愉悦!!

≪凡庸企画! そうだいが勝手に選ぶ初期鬼束さんの楽曲ベストテン!!≫
第1位 『 Sign』 ……やっぱ、唄ってる本人が楽しそうなのがいちばんよね。
第2位 『ダイニングチキン』 …… 冬の夜空を思わせる凍える世界。だが、そこがいい!!
第3位 『 infection』 …… 内なる壮絶な闘いの具現化! ひとり『プライベート・ライアン』!!
第4位 『私とワルツを』 …… 優しいからこそ、泣いてしまう。これが人間の謎。
第5位 『月光』 …… なんだかんだ言っても、やっぱりここに帰ってきてしまう。
第6位 『 Fly to me』 …… 平穏な中に一滴の薄墨のように忍び込む不安が。
第7位 『 Rebel Luck』 …… 一歩一歩前に進もうとする強さが伝わる名曲。
第8位 『 Beautiful Fighter』 …… 発音はなんかヘンだけど、本人はノリノリだから、いっか。
第9位 『 Arrow of Pain』 …… 「なんで射ったあたしが痛いの!?」って血だらけで言われても、ねぇ。
第10位 『流星群』 …… 非常にまろやかな名曲。

 『嵐ヶ丘』は歌詞は本当に大好きなんですけれどね。ケルティックサウンドのクセがちょっぴり悪目立ち、というか。
 私のベスト10はこんな感じです。そこのあなたは、どんなランキングになりますか?
 さぁ、このランキングにこれ以降の鬼束さんの楽曲の数々がどう食い込んでいくのでしょうかね~。楽しみではありますが、最後の作品の記事の完成は、いったいいつのことになるのやら~!?

 あと、そうだな……あっ、じゃあ、シングルジャケットの鬼束さんの変遷もまとめてみましょうか、せっかくだし。

≪需要が無いとは言わないが……初期鬼束さんのシングルジャケットビジュアル史≫
1st …… 金髪、顔は真っ青でやや上方を見ている。
2nd …… 紫ワンピでもたれかかり、真正面に目線。
3rd …… 茶髪で階段に座り、真正面に目線。
4th …… ピンクのサマーセーターで屋外にいる。横顔。
5th …… モノクロで風に髪を巻きあげられ、表情は見えない。
6th …… 茶髪ゆるやかソバージュで上方を見ている。
7th …… ボブカットにピンクのシャツでやや顔を横向きにして、真正面に流し目
8th …… 茶髪セミロングで黒のジャケット。真正面を見ているようで微妙に目線を上に。
9th …… 花と顔アップのイラスト
10th …… 紫の薄手ドレスに茨の冠をして、真正面に目線。

 まぁ、やっぱりきれいなお方ですよね。目力があるある。でもだからこそ、何気なくふっと視線を横にそらした瞬間をとらえたような4th『眩暈』のジャケット写真がいちばんステキな気がします。目をそらしたぞ、今だ逃げろ!! みたいな。ヒグマ並みの眼光ですから。
 こう見てみるとやっぱり、アルバム『 Sugar High』もそうなんですが、『 Sign』での異様に冷たい鬼束さんの視線が、作品の内容とミスマッチになっているようで不思議です。それはまぁ一部のファンにはたまらない表情ではあるのでしょうが、なんでそんな方向性なの? この齟齬はなんなんでしょうかね。まさか作品ができてないうちに撮っちゃった、ってわけでもないだろうし。

 でも、大ヒット曲『月光』で「 I AM GOD'S CHILD」って唄っていた鬼束さんが、初期最後のシングル『私とワルツを』のジャケットで茨の冠をかぶっているというのは、実に暗示的ですよね。結果的にそうなっただけとは言うけれども、『私とワルツを』には、単なる節目では片付けられない重要な何かが含まれていますよ。なにかしらの予兆は感じていたんだろうか。

 そんなこんなで、唐突ともいえる形で羽毛田丈史プロデュース体制での新曲制作を突然ストップさせてしまった鬼束さん。いったい、4thアルバムは出るのか、出ないのか? 『 Sign』とか『私とワルツを』はシングルリリースしかされないのか!?
 シングル BOXという「 THE お茶にごし」ではなんの解決にもならず……多くのファンの不安を引き延ばしにしたまま、2004年の春は過ぎてゆくのでありました。このままでは済まされないぞ……いったいどうなっちゃうの!?

 その先にあったのは……鬼束ちひろという活火山、古今未曽有の大・爆・発だった!!
 逃げろ皆の衆! 村はもうおしまいじゃぁあ!!

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