演出:蜷川幸雄 主演:大竹しのぶ 生瀬勝久 ギリシャ悲劇王女メディアを観てきました
舞台から2列目の席 客席に水を被る可能性がある・・とのことで透明なビニールが置いてある
あんまり前過ぎて 舞台設定がわからなかったけれど なんと このたびも意表をつく舞台
舞台上に30cmほど水が湛えられていた 舞台の三方は石の城壁で囲まれている
休憩なし2時間弱の物語中 役者達は水の中を激情に駆られてバシャバシャ歩き
厳かにためらいがちにひっそり歩く 客席は確かに水しぶきを浴びました
水中から大きな睡蓮が何本も生えている 重々しい城壁に囲まれて すでに弔いの予感
腰の曲がった背中に乳飲み子を負ぶっている15人の白髪の老女達が群唱して嘆く
橙色のボロ衣はなんとも禍々しい色の衣服に見える 声も表情も張りがあって力強い
主役も老女達も幕が下りる頃には半身濡れている 視覚的に迫力を感じてしまう
ものがたり・・・
イオルコスの王子イアソンは 王位を簒奪した叔父ペリアスをコルキスの王女メディアの魔術に
助けられて殺す 国を追われた2人はコリントスで子どもも生まれ質素に暮らしていた
ある日 コリントスの王がイアソンを女婿にと望む
王位と財産 花嫁の若さに目がくらんだ彼は縁談を承諾する
イアソンの心変わりを嘆くメディアは復讐を誓う
子煩悩のイアソンへの復讐はその子どもを殺すこととして 我が子を殺害してしまう
イアソンの言い分 「お前達の生活の安泰のために子の教育のために 王の地位がほしいのだ」
生瀬の張りのある声 存在感のある動きを見ていると一理ある・・と思ってしまう
それに比してメディアの裏切られたと深く嘆くさま
大竹は体の中から悲しみを搾り出すように身もだえ嘆く 女としての激情 母としての慈愛
二つの感情の間で揺れ動く迷いを全身で演じる
愛と憎しみは表裏一体なのかもしれない でも 我が子を殺さなくたっていいじゃない と思う
その後 メディアはどこかの清々しい王子の国への逃亡の段取りをつけている
男にも言い分があり女にも言い分がある そして男と女の間には深い川が流れている・・のだろう
人を愛すると言うとき それは自分の中のある部分を愛するのと同義なのではないかと思う
他人は自分自身を映す鏡のような存在なのではないかとも思う
愛を裏切られたと嘆く気持ち 復讐を思う気持ち 自尊心 ジェラシー
それにしても強く 重い物語
メディアは自分の情熱 激情 強さ 実行力・・ 自分自身で持て余してなかっただろうか
わたしはメディアに感情移入できなかったなぁ
日々 ぬるま湯チックに生きているわたしには オロオロしてしまう物語だった
むしろ イアソンに男としての責任感 父性愛を見出したくなってしまった
ラストの演出は嫌い 蛇足 変! 違和感ばっかり感じてしまう
それでも 演出家蜷川幸雄氏の大きな強い情熱に ただただ感嘆します
舞台から2列目の席 客席に水を被る可能性がある・・とのことで透明なビニールが置いてある
あんまり前過ぎて 舞台設定がわからなかったけれど なんと このたびも意表をつく舞台
舞台上に30cmほど水が湛えられていた 舞台の三方は石の城壁で囲まれている
休憩なし2時間弱の物語中 役者達は水の中を激情に駆られてバシャバシャ歩き
厳かにためらいがちにひっそり歩く 客席は確かに水しぶきを浴びました
水中から大きな睡蓮が何本も生えている 重々しい城壁に囲まれて すでに弔いの予感
腰の曲がった背中に乳飲み子を負ぶっている15人の白髪の老女達が群唱して嘆く
橙色のボロ衣はなんとも禍々しい色の衣服に見える 声も表情も張りがあって力強い
主役も老女達も幕が下りる頃には半身濡れている 視覚的に迫力を感じてしまう
ものがたり・・・
イオルコスの王子イアソンは 王位を簒奪した叔父ペリアスをコルキスの王女メディアの魔術に
助けられて殺す 国を追われた2人はコリントスで子どもも生まれ質素に暮らしていた
ある日 コリントスの王がイアソンを女婿にと望む
王位と財産 花嫁の若さに目がくらんだ彼は縁談を承諾する
イアソンの心変わりを嘆くメディアは復讐を誓う
子煩悩のイアソンへの復讐はその子どもを殺すこととして 我が子を殺害してしまう
イアソンの言い分 「お前達の生活の安泰のために子の教育のために 王の地位がほしいのだ」
生瀬の張りのある声 存在感のある動きを見ていると一理ある・・と思ってしまう
それに比してメディアの裏切られたと深く嘆くさま
大竹は体の中から悲しみを搾り出すように身もだえ嘆く 女としての激情 母としての慈愛
二つの感情の間で揺れ動く迷いを全身で演じる
愛と憎しみは表裏一体なのかもしれない でも 我が子を殺さなくたっていいじゃない と思う
その後 メディアはどこかの清々しい王子の国への逃亡の段取りをつけている
男にも言い分があり女にも言い分がある そして男と女の間には深い川が流れている・・のだろう
人を愛すると言うとき それは自分の中のある部分を愛するのと同義なのではないかと思う
他人は自分自身を映す鏡のような存在なのではないかとも思う
愛を裏切られたと嘆く気持ち 復讐を思う気持ち 自尊心 ジェラシー
それにしても強く 重い物語
メディアは自分の情熱 激情 強さ 実行力・・ 自分自身で持て余してなかっただろうか
わたしはメディアに感情移入できなかったなぁ
日々 ぬるま湯チックに生きているわたしには オロオロしてしまう物語だった
むしろ イアソンに男としての責任感 父性愛を見出したくなってしまった
ラストの演出は嫌い 蛇足 変! 違和感ばっかり感じてしまう
それでも 演出家蜷川幸雄氏の大きな強い情熱に ただただ感嘆します