ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

戦艦「伊勢」慰霊祭~「陸の男の艦隊勤務」

2015-01-25 | 自衛隊

「伊勢」の慰霊祭はこうして終わりました。

あれ、慰霊祭の様子ってアップされたっけ?読んでないが?と思った方、あなたは正しい。
慰霊祭の様子は本シリーズの最後に持ってくることにして、今日は慰霊祭の後、
着岸作業をしている間に見学した
甲板と、作業の様子をお伝えしたいと思います。

このとき、すでに艦尾には自衛艦旗が掲揚されていたのですが、
ふと、どうして出航の時に降納したのだろうと考えました。
自衛隊法によると、自衛艦旗は

(1) 停泊中にあつては午前8時から日没までの時間。
ただし、自衛艦が外国港湾に停泊中の場合においては、必要に応じ何時でも掲揚するものとする。

(2) 航海中にあっては常時掲揚する。

となっているはずなのですが。
もしかしたら荒天の航行時は例外という規則でもあるのかな?

それとも降納していたのはわたしの見間違いで艦首旗だった?





ちなみに艦尾に立てる旗を「軍用船舶旗/Ensign」と称しますが、
このEnsignをメインマストに掲揚するとそれは


「武力行使する場合」

つまり戦いの合図となります。
外国の港に入るときにには「戦いに来たのではありません」
ということをわかりやすく表明するため&相手国に敬意を表するため、
他国の港に入るときはその国の旗をマストの一番上に揚げ、自国旗はその下にします。

ちなみに、これは横須賀港に入港した韓国海軍の補給艦デーチョンの写真なのですが、



メインマストに自国の国旗をあげつつ他国に入港した稀有な例です。

上がっているのが国旗、つまり「Jack」と呼ばれる所属国旗なので、

これが「戦闘態勢」なのかどうかはわたしにはわからないのですが、
とにかく、日本国旗を揚げるべきところに彼らは自国の旗を揚げちゃったわけです。

わかりませんが、彼らの山より高いプライドがきっとそれを許さなかったのでしょう。

日本に現場が銃弾を貸してくれと頼んで自衛隊が貸してあげたら、
韓国政府がお礼を言うどころか、突っかかってきたという話や、
古くはIMF入りして日本が援助したとき、後からもっと先に貸してくれればとか、
日本の援助は迷惑だと言い放ったという話を思い出しますね。

理由はおそらく同じようなところにあるに違いありません。

万が一本当に戦う気だったとしても補給艦なのにそれは良かったのか。

ちなみにこの話にはドリフのコントのようなオチ?があって、




その直後、デーチョン号は変速機から漏れたオイルに引火し、爆発を起こしてしまいました。
このときにもなぜか韓国国旗らしきものが二竿見えているのにご注目。(外せよ)
手前には民間の警戒船が心配そうにうろうろしていますね。

自衛隊側がデーチョンに「悪いことは言わんから再接岸しれ」と(たぶん)言ったのですが、
誇り高い()彼らはそれをきっぱりと拒み、
そのまま出航していったということです(TT)



Ensignからついいきなり脱線してしまいましたが、
着岸作業の間、私たちは三々五々外に出て甲板を歩きました。

観艦式で「ひゅうが」に乗った時には柵が巡らされていましたが、
基本的にヘリ搭載型護衛艦に「手すり柵」はないのですね。
なんだかすごく新鮮な眺めでした。
「夜は甲板に出るな」とされているわけがよくわかります。
洋上で満月でもない限り、すたすたと歩いていると急に甲板がなくなり、
そのまま海にというような事故もたまには起こるに違いありません。 



Mk 41 VLS(垂直発射システム)
これを見ていると近くの男性が

「VLA(Vector Launch ASROC)ね」

と言ったのですが、言下に隣の女性が(わたしではない)

「いえ、これはVLSです」

と訂正したのでなんだかおかしかったです。



広大な甲板。
どう見てもヘリ空母ですありがとうございます。

しかし、実際に「ホーネット」の甲板に上がったこともあるわたしに言わせると、
ヘリ搭載型はこんなに小さくていいのね、
という印象でした。

見学者もいますが、何をするでもなく自衛官も出てきています。
(見張り?)



頼まれて陸自さんの写真を撮ってあげる人。
これを見ながらわたしが案内の自衛官に

「たまに陸自の人が護衛艦に乗り組むと大変なんですってね」

とふと聞くと、

「ええ、大変です。
時化ると皆部屋から出てこなくて、ドアを開けると
中で皆が倒れていて・・・・ガス室みたいに」

海自の人でも最初は

「自分の吐いたものを飲み込んで船酔いに耐える」

というような修羅場での錬成を経て一人前の海の男(女も)になるわけですが、
陸の人はいきなり任務が修羅場と化してしまうとそういうことですね。

「それでは陸自の医官は大忙しですね」

「いや、陸の医官も一緒になって倒れてますから・・。
それに艦内を歩いていると時々・・・踏んじゃうんですよ」

「ああ~・・・踏んじゃいますか~・・・」

「もはやそれを人に報告するレベルじゃないんですね」

これだけ取ってもあの派遣で現地に赴いた陸自医療チームの労苦には頭が下がる思いです。m(_ _)m



CIWSはもちろんですが「ひゅうが」と同じ位置にあります。

日本では「シウス」とこれを呼びますが、本家アメリカでは
「シーアイダブリューエス」といちいち言っている模様。

商品名ではなく、これはそういう兵器の「総称」なので。
例えばこれはレイセオン社のファランクスという「火器」であって、
「ゴールキーパー」とか「シーガード」とか、
他の製品名を持つシウスはいくつもあるわけです。



こうして人が立っているのと比べると大きさがわかりやすいですね。
どうも白いオバケのQ太郎(知ってます?)部分は男性の身長と同じくらい?

床面からの全高は4.7m。
これを作動するのに必要なのはたった一人。
監視員だけでいいんです。
システムの軌道から目標撃破に至るまでの軌道修正は
全自動で行われるのですから。

なんかすごいよね。フィードバックもしてしまうなんて。



航海灯・・・・でしたっけ。



当たり前すぎて今までなんとなく意識したことはなかったのですが、
海上自衛官の正帽って、年中白なんですね。
確かにこれが白だから垢抜けて見えるし、グレイの護衛艦で
白い帽子は大変目立つので人が見分けやすい。

全て戦後のアメリカ海軍のスタイルを踏襲しているようですが、
これはなかなか良く考えられているのではないでしょうか。



ところで、このときのお天気を見て気がつかれませんか?
一瞬とはいえこのときには晴れたんですねえ。ええ。
朝からずっと降りっぱなしなのに、接岸してから嫌味のように・・。

「どんな天候の変化にも動じず任務を行う」

これを目標として海軍軍人の初等教育は行われると聞きましたが、
まさにそれを絵に描いたような本日の航海でした。



まるで構造物のように見えているのは接岸している岩壁のクレーン。
出航した岩壁とは違う、JMUのドックに着岸したからです。
このあと「いせ」はドック入りの予定があったんですね。



甲板からふと下をみると、民間のタグボートが押していました。
キャビンの人たちの顔がはっきり見えるくらい近くです。



わーいと喜んで甲板から手を振ると、船長さんらしき人が手を振り返してくれました。
笑っていらっしゃるように見えるのはその直後だから。
どれどれ、と中の船員さんが外を覗いています。

このあたりでもう一度艦橋に戻って着岸を見ることにしました。


続く。



最新の画像もっと見る

13 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
雨あがりの甲板 (お節介船屋)
2015-01-25 13:52:00
上甲板は普通水捌けのためキャンバーと言って中央部分を凸型にしてあり、両舷へ水が流れるようにしています。
写真ではヘリ発着艦のためと思いますが板厚の変化もなく平甲板となっているようで水溜りが所々ありますね。
ヘリ係止金物の穴部分も多く乗員の清掃泣かせではと思います。
甲板ペイントも普通のペイントではなくどうも米海軍の空母と同じような滑り止めペイントのようですね。
普通では分からない事もこのように掲載して頂くと分ってありがたい事です。
艦旗 (雷蔵)
2015-01-25 16:44:09
の取扱は、ミリミリやります。

艦旗掲揚前に出港する場合は、最後のもやいを離した瞬間に「出港用意」が下令され、船は停泊状態から航海状態になりますが、きっちりその瞬間に艦尾旗ざおに掲揚します。その後、哨戒配備が下令されない限り、降ろしません。

哨戒配備になる際にも、艦尾旗ざおとメインマスト(艦橋後部)で電話連絡を取りながら、艦尾の艦旗を降ろす瞬間にメインマストに艦旗を掲揚(戦闘旗)し、揚げ降ろしにはかなり神経を使っています。

VLA(Vertical Launch ASROC)はミサイルで、VLS(Vertical Launch System)は発射装置です。いせのVLSはVLAも積んでいるので、あながち間違いとも言えないのではと思います。

CIWSは、米海軍ではスィウ~ズのような発音をすることが多いようです。ゴールキーパーのように他の近接防御火器と比べる場合は通称のファランクス(ローマ時代の重装歩兵)というようです。

エリス中尉がおっしゃるように全自動で、発砲前は定位(前方の砲台は正艦首方向)を向いていますが、目標を捕捉したら、警報ブザーが鳴って発砲し、目標を撃破したら、発砲を止め、定位に戻ります。脇目も振らず淡々と動作するその姿は、不謹慎に取られるかもしれませんが、とても健気に見えます。

https://www.youtube.com/watch?v=NitQS8oJV7w
陸自の苦労 (佳太郎)
2015-01-25 16:50:01
宮嶋茂樹氏の著書「ああ、堂々の自衛隊」にやはりカンボジアへ派遣される陸自の隊員が苦労している様子が描かれてますね。この時氏が乗った船は老朽艦の「みうら」であり小さいせいもあってよく揺れたそうです。
後に宮嶋氏が「おおすみ」でトルコへの派遣へ同行し取材をしたそうですが、「みうら」と「おおすみ」では大違いだったようです。
しかしそれでも揺れますか…私なんかとんでもないことになりそうです…沖の方に出た船に乗ったのは沖縄のホエールウォッチングの時くらいですね、その時は穏やかで何ともなかったですが荒れてたら…
乗り物酔いはしたことないですが自信はないですね…
ファランクス? (婆裟羅大将)
2015-01-25 23:32:10
雷蔵さん こんにちは いつも「中の人」コメント興味深く
拝見しております。

さてレイセオンのCIWSの商品名 ファランクスですがローマ時代の重装歩兵と言ってしまうと、少し言葉の意味が変わってしまうように思います。
つまりホプリテスと呼ばれた重装歩兵は古代ギリシア発祥でその当時はファランクスと呼ばれる密集陣形をとって戦うことが多かったようですが、
ローマ時代になると初期には重装歩兵もいたのですが、密集陣形の弱点、陣形を崩されると総崩れになるのを補うために散開戦術に移行したといわれます。

そしてレギオン、ローマ軍団が成立するわけですが 密集陣形で名を上げたのは古代ギリシア、マケドニアなどですから、
ファランクスと言ったら古代ギリシアと言った方が無難ではないかと思うのです。

もちろん私とて見てきたわけではなく、本の受け売りです、お気に触ったらごめんなさい。

藤沢にファランクスの仕事をしてる会社があって、以前はそこの営業さんがときどき遊びに来てたんですが
今年はこちらが転勤してしまい もう会うこともないんですが。



http://plaza.rakuten.co.jp/vajra33/diary/201501240000/
大丈夫なんでしょうか (昭南島太郎)
2015-01-26 10:38:49
エリス中尉

韓国の補給艦、爆発起こしてあんなに煙をモクモク出しながら出航って大丈夫なんでしょうか。
以前読んだ何かの記事の受け売りですが、通常軍装備は自国の置かれた安全保障環境や財政状況などで決まるが、「お隣の韓国軍は自衛隊を見て決める」とあったのを記憶しております。
財政が苦しく、緊急性・必要性がなくとも自衛隊と同レベルの装備を配備すると。。。

立派な装備を持っても運用がなってないと、とんでもないことになるのでしょうね。。。
デーチョン号は無事に母国へ帰れたのでしょうか。。。
でも、ある意味煙出しながら出航って度胸ありますよね。乗組員が可哀想になってきました。

昭南島太郎
甲板の水たまり (エリス中尉)
2015-01-26 12:24:48
やはり気付かれましたか。
実はわたしも実際に甲板に立ったときに「あちらこちらに水たまりがあるなあ」
と少し違和感を感じていたのです。
何しろ最新鋭艦なのに、なんか変だなと。
今改めて見てみると、探照灯など構造物の下も水が溜まりまくり。
この理由が「ヘリ発着」のためだったとは・・。

甲板の素材は特殊なものでしょうし、もちろんこういうのも自衛隊のことだから
即座にモップで掃除してしまうのでしょうが、いちいち大変そうですね。


ミリミリ(笑) (エリス中尉)
2015-01-26 12:39:18
ミリミリって自衛隊用語ですか?
今回旗の扱いについては信号旗も含めかなり注意していたのでいろんなシーンが見られました。

あ、やっぱり「シウス」って言っちゃうんですね。
「アメリカではアルファベット読みをする」ってwikiに書いてあったので、
「アメリカ人の割には律儀に呼ぶんだな」
とちょっと驚いてわざわざ記事にしたのですが。
日本人には負けますけどアメリカ人も省略するの好きですもんね。
そうなんですね! (雷蔵)
2015-01-26 12:46:44
CIWSの通称はファランクスで、ローマの重装歩兵のことだと教わったのを疑いもしませんでした。全自動なだけになかなか難しい装置で、勉強だけで一杯一杯で、ファランクスの意味なんか考えても見ませんでした。ありがとうございます。

1981年就役の「くらま」から導入されたので、もう30年以上使われています。映画のスターウォーズの頃で、あの姿はオバQというよりR2D2という言い方を、日米共にしていました。

1996年に、護衛艦ゆうぎりは、米海軍の標的機をCIWSで誤射し、撃墜しています。パイロットは生還したので、大きな問題にはなりませんでしたが、もし、殺していたら、かなりの問題になっていたと思います。関係者ももう多くが定年で現場を去りました。

鉄人28号みたいに、ちゃんと使えばいい結果が出ますが、気を付けないと恐ろしい機械です。あれでもかわいい奴なんですよ。撃ち終ったら、何事もなかったように定位に戻るあの姿が健気に思えます。

ミリミリって、普通は言いませんか(汗)
大丈夫だったんじゃないでしょうか(棒) (エリス中尉)
2015-01-26 12:48:15
わたしもこの後デーチョンがどうなったのか幾つものサイトを検索して探してみたのですが、
「帰って行った」ということしかわかっていないので、多分何とか鎮火して帰れたんじゃないでしょうか。
このサイトで現在位置を確認したところ生きてるみたいですし。
http://www.marinetraffic.com/jp/ais/details/ships/440004570/vessel:TAECHONG_NO_2?lang=jp

爆発時砲撃のような爆音がしたので、ヴェルニー公園にいた人々も含めてびっくり、
散歩中の犬が腰を抜かしたという話も伝わっています。(未確認情報)
腐食について (お節介船屋)
2015-01-26 13:42:49
甲板の素材は特殊なものではないと思います。
鋼板で錆止め塗料を塗付した後、仕上げ塗装を数回、滑り止めの必要な個所は滑り止め塗装を実施となります。

日本海軍艦艇(特に軽艦艇)は船体重量を出来るだけ軽減して武器を多く搭載するために腐食代は考慮していなかったと思います。
可能な限り板厚、骨も削ぎ落として「友鶴」転覆、第4艦隊事件となり、その対策で溶接採用が後退したようですが、戦争中は事故がなかったようです。
米海軍艦艇が転覆、船体切断がありました。

現代は腐食代を考えて、板厚を必要強度に加味して、少し厚くしてあると思います。
塩水、潮風が相手ですので、日頃の手入れによって寿命が決まってきます。
遠洋航海等で、日本の艦艇が高評価を得るのは艦艇乗員の弛まぬ手入れ整備のおかげと思います。
 
ちょっとでも塗料が剥げたりしていれば点食と言って一部深く腐食し、穴があきます。
航海中は水洗いはなかなか出来ないと思いますが(水は貴重)、水洗いして、剥げている塗装をこまめに補修となると思います。

「いせ」は大きな船なのに雷蔵さんが書いておられるように乗員が少ないので手入れ等大変と推察します。

近年艦齢延伸が防衛予算の中に出てきますが、余り大きな額ではないので、寿命は考慮して代替した方がベターと思います。

ベターと言うよりそうすべきと思います。
30年使用すれば電子機器の発達に見るように革命的な進化です。
近代化を必ずやらねば武器等は全く陳腐化しています。
(過去に近代化した護衛艦「たかつき」「きくづき」「はるな」「ひえい」のみ)

商船は使いに使います(ドックは数日から1週間くらい)が、大手海運会社は10年未満で売り払いますので、20年以上使用しているのは言い方が悪いですが3流海運会社です。
客船で50年くらい使用している船もありますが、豪華さ、安さもあったりですが、転売、転売が多いと思います。

腐食は十分考慮しておかねば、海は容赦しません。
破孔、亀裂、浸水、沈没との結果となります。
特に船は適正設計だから大丈夫とならないので、
現代のように気象海象の観測が十分出来ていても思わぬ事故があります。

強度を十二分にすれば荷物が思うように積めないともなり、復元性能を過分にすれば、乗り心地が悪くなる等船は色々な事を検討し、加味する必要があります。
コンピューターが万能の時代ですが過去の経験、船も参考にしなければなりません。
その意味からも楽しいし、面白いし、怖い女性です。

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。