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映画「パール・ハーバー」間違い探し第二次攻撃

2012-05-08 | 映画

さて、第二次攻撃に移る前に、前回のおさらいです。
冒頭写真が、日本人どころか世界の教養ある人たちにとっても、最もこの映画で印象的、というか
衝撃的であったシーンなのですが、ちゃんと写真が撮れたので、もう一度突っ込んでみます。

映画を観ているだけは、あまりにもそのショッキングな構図に細かいところを見逃しがちですが、
こうやって写真に撮ってみると、さらにいろんな奇々怪々な表現があるのが判りますね。

鳥居を見てください。
いきなり、コンクリートの上に屹立する妙な形の鳥居。
そもそも、鳥居とは神域と人間が住む俗界を区画するものであり、神域への入口を示すもの。
一種の「門」で、結界を意味するものです。

こいつらにとっては、鳥居など、しょせんチャイニーズ・デリの紙パッケージの模様くらいにしか
意味を為さないものなのでありましょう。
コンクリートの上に、当然どこにも通じていない場所に、旭日旗をただ干すために鳥居を立てる。
他文化(しかも神事)への冒涜としかいえない愚かな仕業です。
おまけに、鳥居の上部からは、よく見ると

転倒防止のためのワイヤーが四本張られているのが見えます。

さて、映画のときもしかしたら皆さんは見逃していませんでしか?
この軍極秘軍司令部会議海上の向こうには、聯合艦隊の艦船が大集合していることを。
いや、これはまた、港でもないのに随分沿岸近くを航行するものですなあ。

そして、軍極秘の会議会場に、なぜ事業服を着た下っ端がこんなにたくさんいるのか。
手前の事業服三人トリオは、いったいどんな役目のためにそこにいるのか。
鳥居の下の三人は、鳥居が倒れてきたら支える係なのか。
見れば見るほど、いろんな発見があって味わい深い一シーンですね。



これは、何か?
わざわざプールに模型を浮かべないと艦隊の動きが想像できないようなトーシローが、
日本海軍の上層部であるとでも言いたかったのか?
また、この爺さんたちも、真剣に模型見て考え込んでるんじゃない!

因みに、この三人、まん中のマコは日系ですが、二人ともいかにも中国人な顔をしています。
右の軍人は、日本語吹き替えで、全く口と台詞が合っておりません。
マコは一応吹き替えなしですが、吹き替えにした方が良かったと思います。
思わず「日本語でOK」と肩を叩いてやりたくなる山本五十六です。

「真珠湾の 朝もやが晴れるときに 総攻撃だー」

って、山本司令はポエム爺さんだったのか。



スパイが撮ってきた写真を、なぜか竹の床几に並べる司令部。
小さな茶碗は、中国茶用のものですね。中国人スタッフが置いたんでしょうけど。



これが日本帝国海軍の使用していたチャート(海図)だ!
アートです。
きっと、棟方志功に彫らせた版画に違いありません。
あんたら、日本の文明とか近代化について、完璧に見くびってますね。



はい、搭乗員のブリーフィングは、地べたにチョークで図を描いて行います。
おまけにこの小学生みたいな字と、幼稚園児の描いたような図は何なんでしょうか。

「空母」「破壊船」「船艦隊」「零式艦」「フォド島」

空母以外は全く意味不明。図の表すところの意図も、意味不明。



九一式航空魚雷の仕様を、この海軍のお偉いさん達はこれまで見たことが無かったようです。
確かに真珠湾攻撃で使われたのはこの九一式航空魚雷(二型)で
この型が大日本帝国におけるほぼ唯一の航空魚雷であったわけです。
1941年には二型が改良されてテストを済ませたところだったので、確かにこの
世界から絶賛された航空魚雷がデビューするシーンがあるのは納得します。
しかし、91型2のスペックをさらに良く見ると、

全長5メートル?

これ、全く5mの長さに見えないんですけど。
第一、真珠湾攻撃についての会議で、わざわざ石板に魚雷のスペックを彫り込んで、
それを軍司令部が総出でうち眺めなくてはいけない理由が、わたしには全く分かりません。






ちなみにこれが91式魚雷ヒット寸前の図。
・・・・なんですが、これもどう見ても小さすぎるでしょう。せいぜい1mに見えません?
・・・ってことは、これ、もしかして、艦艇用の酸素魚雷、93式じゃないですか?
このペンキ塗りをしている水兵の真下に直撃。
哀れ彼らは木っ端みじんこ、というわけです。




さて、このへんでレイフの出征した欧州戦線に目を転じ・・・。
血のべっとり防風ガラスに付いたままの飛行機を
「これ、あんたの乗機の予定だから」
と得々として他国から来た新人パイロットに見せるような無神経なのが即ちイギリス人だと、
まあ、要はこう言いたいわけですね。

それはいいんですが(よくないけど)このスピットファイア―に書かれたRF、これは何か?
これは、バトル・オブ・ブリテンで名をあげた第303コシチュンコ戦闘機中隊
が使用していたマーカーだそうです。
ポーランド人ばかりのこの戦闘機隊は、10機以上の撃墜エースを多く抱え、まさに
「ポーランドの英雄」でしたが、連合国のポーランド人に対する偏見に悩まされたそうです。

この部隊にアメリカ人がいたという記録は無いそうですが、
なぜこの部隊をレイフの転任先に選んだのかは、謎です。
というか、どうせ「何か適当にアルファベット付けておけばいいんじゃね?」
ってな態度で、調べもせずに適当に字を書いたとわたしは踏んでいるのですが。



フェイム・オブ・プレーンから引っ張り出してきた御自慢の実機でしょうか。
やはり経年劣化はごまかしがたく、翼などボコボコしているのが判ります。
だから、52型はまだこの時できていないと何度言えば(略)



こういう、カウリングに被せる座布団状のカバーを、帝国陸海軍の飛行機の写真で
今まで一度も見たことが無いんですが・・・・。
それから、全体的にこの映画に映る日本兵は態度が悪い。
指を伸ばして歩かないと殴られる世界なのに、肩にカバンがけしてデレデレ歩くとは。
まあ、アメリカ人スタッフや中国人のエキストラには、未来永劫わからないだろうな。
日本の軍人の(とくにこの時の)佇まいや、緊張感など。



99式艦爆。めずらしく、これは間違っていない気がしますが(ですよね?)、甲板がなぜ
白いペンキで塗装され、さらに真っ赤なラインを引いているのかは謎です。



隊員の集団写真。
これも、出撃前に必ず写真を撮る海軍を表わすに正しい描写で、見たところ
わりと日本人ぽい顔の青年たちが搭乗員になっている気がします。
ただし、椅子に座っているのが大尉で、中尉がが一番前の地べたに座っているのはヘン。
そして、一番前の搭乗員、歯を出して笑うな。



艦内でラジオ(変な形)を聴く将官たち。
・・・で、このデスクの上のまるでお茶の間にあるような木の小引き出しには何が入ってるの?
薬?重要書類?爪切りと耳かきとか?
ちょっと時化たら、みんな転がり落ちちゃいますが、いいんでしょうか。
この妙に安定の悪いラジオは、時化でなくても倒れそうですねえ。



さて、このへんで、この映画にチョイ役で出てくる人たちをご紹介。
この男前は、キンメル准将。
うふふ、真珠湾攻撃のときに59歳だった、比較的醜男のキンメルとはとても思えないわ。
真珠湾攻撃のときに57歳だった山本五十六を、69歳の怪しいジジイに演じさせておいて、
これは無いんじゃない?

ところでこのキンメルさん、ファーストネームがハズバンド。
「マイ・ハズバンズ・ネーム・イズ・ハズバンド」と奥さんは生涯言い続けたんだろうなあ。
真珠湾の責任を全て被せられたキンメルのために、戦後遺族が、
名誉回復の運動を起こしているようですが、クリントンもブッシュも署名を拒否したんだそうで。
なんだかいろんな意味で真珠湾って言うのは、アメリカ人の中に禍根を残してるんですねえ。
キンメルとその遺族には可哀そうだけど、まあ、戦争だったんだから。
と、人事だと思って軽く言ってみる。



ドゥーリトル少佐。
アレック・ボールドウィンが演じています。
もう、すっかりデブってるけど、一応二枚目俳優を使っています。
東京空襲前、レイフとダニーを(戦闘機パイロットなのに)スカウトしますが、その際、
「もし機がやられたら、捕虜にならず適当なターゲットを見つけて自爆する」
と適当なことを言って笑わせてくれます。

ドゥーリトル隊の何人かは捕虜になっちゃったみたいですけど?
わざわざ、自分はとっとと中国大陸に逃げて助かった隊長に
「カミカゼアタック」をするつもりだということを、なぜ言わせたのか?
完全にアラ探しモードに入っているエリス中尉の耳には、
この言葉が何かの冗談のようににか聴こえませんでした。

そういえば「トラ!トラ!トラ!」では描かれていた飯田房太大尉の自爆シーンも、
この映画にはありませんでしたねえ。
実は、特攻って、口では「クレイジー」とか言いながら、彼らにとっては内心「英雄的行為」
として捉えられており、日本軍を英雄的に見せる自爆シーンを描くことをあえて避けたとか?

わざわざドゥーリトルに特攻賛美させた、その理由とは?



イヴリンの同僚看護婦。
うーん、どう見てもコスプレしている「プレイボーイ」のピンナップガールです。
あのチャラチャラしたイヴリンも、あるアメリカ人(御用)映画評論家に言わせると、
「絵にかいたような看護婦タイプ」なんだそうですが、いやー。
そりゃ、本職の看護婦のイメージじゃなくて、あくまでもプレイボーイの(略)
何が言いたいかというと、「男が勝手に思い描く看護婦像をそのまま映画にするな」ということです。
はい。



情報収集官を演じるのは、聞いて驚け、ダン・エイクロイド。
ゴーストバスターズです。
でも、この人が実は一番まともな役をしていたように思います。
「こんな動きがある」というのを軍司令部に「君の直感を信じて艦隊を動かせと言うのか」
なんて言われて、懊悩する小心な(情報収集力はありそうですが)人間を演じています。



赤城艦内で家族への手紙をしたためる搭乗員。
あれ?どこかで見たことあるぞ、このお兄ちゃん。
はっ。
この間感想を書いた「リメンバー・エイプリル」で、日本の水兵マツオを演じた、
ユウジ・オクモトではないですかー!

日本語がほとんどしゃべれないくせに、こういうのにはちゃんと出してもらっているのね。
それはいいけど、艦内でろうそく3本も手許に置くな!
何か?
日本の艦船には、電気が通じていなかったとでも言いたいのか?



さて、わたしがどうしても許せなかったこのマコの演技の一つ。
薄暗い艦長室で、このしわだらけの醜い顔がさらに醜悪に見えるライトを当て、
なぜか肘をついたまま上目づかいで

「皇国の興廃この一戦にあり」

と呟く(呟くな)山本五十六。
ここまでは百歩譲ってまあ許せるとして、問題はこの後です。
写真を見ていただければわかりますが、マコのこの視線、ヘンじゃないですか?
なんで、大決断をした直後の長官に、こんな落ち着きの無い表情をさせるのでしょう。

このシーンをご覧になった方は、お気づきだったかと思いますが、「一戦に在り」
といった後、この山本司令は、わざと視線をきょろきょろと彷徨わせます。

あたかもこの攻撃が、後ろ暗い疾しいものであるということを、
山本長官自ら認めているような


演技なのです。

表面的に見て「なんだか日本を貶め過ぎだなあ」と何となく感じる人は、
日本人のみならず世界中にいたものと思いますが、実はその貶め方も「ついうっかり」とか、
「資料を調べていなくて」とかいうものではなく、普通の人なら見逃してしまいそうなこういう細部も、
実に微に入り際に入り、執念すら感じる計画的細かさで印象操作を行っているのです。

どうよこの卑怯さ。

ところで、お詫びと訂正がございます。
前々回の「山本長官が第三次攻撃を中止させた」のは、全くの過ちでした。


同じような貧相な爺さんを南雲長官にするもので、マコ岩松と見分けがつかず、
つい失礼しました。
2度目に見たら、別の爺さんでした(笑)
で、その理由が
「第三次攻撃は奇襲になりえないからだ」
これは説明しましたね。
しかし、これは「日本が最初から奇襲を計画していた」という大前提でないと、
全く意味の無い台詞になってしまいます。

というわけで、ここもあからさまに創作です。

マイケル・ベイはこの後の世界中からのバッシングによっぽど懲りたのか、この次の作品、
「トランスフォーマー2」では、一転して日本にすり寄り、劇中でも何かと日本をヨイショして、
罪滅ぼしにこれ努めていましたが・・・・・、全く日本人があっさりした民族でよかったねえ。
他の国なら、多分入国禁止ですよ、この侮辱映画を撮った監督ということで。


というわけでまたもや真珠湾攻撃までたどり着けなかったので、南雲長官には悪いが、次回、

第三次攻撃を行う。


このエリス中尉がとどめをさしてくれるわ。パール・ハーバー。






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