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護衛艦「てるづき」見学~"MAD"アバウト自衛隊

2014-06-24 | 自衛隊

「痩せ馬」に思わず食い付いてしまい(笑)1回に収まらなかった
護衛艦「てるづき」見学記、続きです。 

この3月に「あきづき」型の4番艦である「ふゆづき」を見学したばかりで
その2番艦である「てるづき」の内部を見ることが出来たのは
まことにタイミングがいいというか、なんといっても「ふゆづき」のときに
集めた資料がそのまま役に立つのがブログ主的に嬉しいです。

ところで、「あきづき」型3番艦の「すずつき」は、「ふゆづき」ほとんど
同時に完成したわけですが、引渡式が一日違いです。
こういう式典に海軍的こだわりというか、たとえば「仏滅にはやらない」
みたいなジンクスがあるのかどうかは分かりませんが、
わざわざ一日違いにしたのは、出席しなくてはいけない海幕長などが
同日に佐世保から岡山に移動することができないため、
3番艦である「すずつき」を一日早く就役させたということのようです。

 

 さて、甲板に出てきてまずCIWSにご挨拶。

「あたご」型や「たかなみ」型の一部は
BlockIBという、光学照準設備を装備した、
つまりバージョンアップされたものを搭載しているのですが、 
「あきづき」型のCIWSは従来型の、
対水上射撃能力のない
BlockIを搭載することになりました。

これも「痩せ馬」と同じ事情なんでしょうか。

ところで、このCIWSですが、射程距離の関係で、
たとえ目標を撃破することが出来てもその破片は艦を直撃する、
ともいわれているのだそうですね。

こればっかりは実戦通りに予行演習することもならず、
いざというときにはその破片でこちらが傷つく可能性もあると。

この辺りを現場の自衛官たちがどう考えているのか、
今度護衛艦見学の機会があったらぜひ聞いてみたいものです。



キャプスタンや揚鎖機が床にある部分はネットが張られ、
立ち入りが出来ないようになっています。
艦首旗部分にも行ってみたかったのですが、そこの人口密度が高く、
やる気満々な男性ばかりがひしめいており、気後れしたのでやめました。

後から、こんなに艦首旗の近くまで寄れる仕様の艦は初めてだったのに
惜しいことをしたと思いましたが後の祭り(笑)



はい、こんな感じ。
鎖が伸びていますが、脇から抑鎖機が伸びていて
動き回らないようにがっつりと留められています。

見学者が歩いている部分には滑り止めが施されていますが、
「あきづき」型の場合、「むらさめ」型のように戦闘通路として
白線で縁取りがされていない仕様になっています。



艦首部分から下を撮ってみました。
「てるづき」搭載機のSH−60が公開展示されています。

これから入って来る人の列は取りあえず解消した模様。



「あきづき」型の主砲はMk 45 5インチ砲で、現在のところ最新鋭型。
「あたご」型から初めて制式採用になったというもので、
勿論わたしにとっては見るのも初めてのものでした。

そのわりに近くで写真を撮るのをすっかり忘れていて、
写っていたのは辛うじてこの一枚だけでした。





ところで不思議なのは「5インチ砲」といわれる「51番砲」(5インチ・1番砲)
なのに、実際砲身は62口径なのです。
最新型のMod4は対地攻撃力を上げるために砲身を延長しているんですね。

名称を「6インチ砲」になぜ変えないのでしょう。

とにかく6インチにかえたことで、射程は今までの24kmから37kmに
飛躍的に伸びました。

「ここから撃ったらどこそこまで届きます」

と言っていたような気がしますが、どこだっけ。
距離的に羽田空港くらいかも。っていうか国内で撃たないでね。


砲の代わりに展示してあった砲弾と砲殻だけ撮ってきました。

砲殻には「教練」砲弾には「試」が記載されています。
砲殻の先を見れば傷がついているのが分かりますが、
これは勿論床にばらまかれたときのものだろうと思われます。

「素材はなんですか」

と近くにいた隊員に聞いたところ「真鍮です」とのこと。

「やっぱりこれも甲板に散らばると傷がつくんですか」

と妙な質問をする見学者。(わたし)
やはり普通の軍オタとは目の付け所が(全く)違うわね。

「付きますね。その度に塗り替えますが」

それを横で聞いていた男性の見学者が床を指して

「あ、ここに傷跡がある」

指差す方を見ると、ペンキの下にかすかに
細い三日月状の凹みが見て取れました。

「あー、これですね」

納得とちょっとした連帯感に包まれる周りの見学者たち(笑)
声をかけてきてくれたおじさんもそうですが、こういう
同好のよしみの触れ合いというのがあると、艦艇見学が
また一層楽しいものになると思った瞬間でした。



う・・・・・美しい。
舫索をこのように置くのは世界共通の慣習なんですか?
きっちりと編まれたかのように並べられた索はもはや工芸作品の域。



VLS 発展型シースパローミサイル

アスロック、つまりアンタイ・サブマリン・ロケットが
発射可能な垂直発射装置です。

この写真は腕を思いっきり上に上げて撮りました。
一番低い部分から撮ってもこんな感じです。

Mk.41VLS垂直発射機のセル面は艦首に向かって低くなっているように見えます。
水平に対しても少し前傾しているように見えますが、なにしろ
「垂直発射」だから、実際はどうなんでしょうか。


なお画面右に少しだけ写っているのはセルにアクセスするための
短いラッタルです。



左舷側の舷梯は降ろされていましたが、通行できないようになっていました。

舷梯の踊り場のようなところが中央一点留めですが、
ここを支点として角度を調整することが出来ます。
地上の自衛官がみんなで力を合わせて引っ張るのですが、
場合によっては陸自隊員のお力を借りることも・・・。

「きりしま」仙台港に入港の様子

こうして見ると、全くの手動なので結構力が必要な作業みたいです。



出口近くに
HOS−303、Mk.32

この名称の意味は

H=発射管

O=水上艇用

S=短魚雷

さらに300番台は3連装を意味します。
この303は「ひゅうが」と、それ以降の護衛艦に搭載されています。

先日ハイラインの話をしましたが、この魚雷も、
補給艦から移送することがあります。

その際、精密機器である魚雷は専用のキャニスターに収められ、
そのまま運搬され搭載されます。



そういえば砲雷長が菊地という人だったフネがあったことを思い出しました。

右側のツマミは「管体部ヒーター」のスイッチのようですが、
魚雷ってヒーターであっためなくてはいけないんでしょうか。

二昔前くらいまでは、車の運転をする前にエンジンを温める作業が必要で、
特に寒冷地や冬期にはエンジンに負荷を与える前の必須事項だったそうですが、
それと同じようなことをしているのかも。

わたしが免許を取った頃はすでに暖機運転、とくに停車してのアイドリングは
推奨されていなかった記憶がありますが、それというのも環境問題が
クローズアップされてきたためで、最近は不要な排気ガスの排出を抑えるため、
低負荷や回転数を抑えた走行による走行暖機が推奨されているのだそうです。

というか、暖機運転って今の車にも必要だったんですか?
わたしは免許を取ってこの方一度もしたことありませんけど(笑)



ちゃんと発射管には艦番号が書かれていました。



何を意味するのか分かりませんが、
丸いものは「てるづき」の「月」ではないでしょうか。



魚雷を前から。
「あきづき」型は発射管はステルスシールド内に収められており、
使用するときだけ舷側のシールドを開き、そののち
発射管を底から斜め45度に指向して発射を行いますが、
このときはステルスシールドは開けられています。

展示のために開けてみせていたということでしょうか。



そのステルスシールド部分を外から見るとこうなります。

二つのシールドの間に丸く穴があいているように見えますが、
これは(確認できませんが)舷窓かもしれません。
シールドを閉じているときの確認用、かな? 




黄色と黒のテープを貼っていたにもかかわらず、つまずいた謎の物体。



というわけで「てるづき」見学終了。
ラッタルを降りてきました。

右側がこれから見学しようとする人たち。



岸壁から海面を覗き込む人がいるかもしれないので
(わたしも制限されていなければ覗いていたと思う)
必ず見張りが立って警備をしています。



さて、それではヘリコプターの見学に向かいますか。
近くに行けるどころか、コクピットに座らせてもらえる模様。

このヘリはローターの先端がまっすぐなので、SH−60Jですね。
先が折れているように波打っているのが「K」です。



とりあえず外側を一周してみました。
こちらは後部座席で、レドームのような「下を覗ける」ガラス窓から
子供が外を見ています。



アップにしてみてあらためて思うけど、航空機って近寄ってみると結構汚れてます。
「排気に注意」と書かれていますが、ここから後部に向かって噴出するのでしょうか。



この四角いハッチはどうやら給油口らしい。
皆が触るので真っ黒です。

四角く空いている窓は通風口と説明があります。

ヘリコプターもアースを取るのは必須らしく、
ここにアースがあると示されています。



尾翼のフラップはさらに風を終止受けるせいか真っ黒。
なぜか「ハンドホールド」と書かれた穴があいていて、
それに手を入れて自分で写真を撮っていた人がいたので
わたしもついでに撮らせてもらいました。

わざわざつかむための穴が穿ってあるというのは、力を入れて
このフラップを手動で上げたり降ろしたりすることが
しょっちゅうあるということなんでしょうか。



近くにいた女の子が

「魚雷積んでる、魚雷~!」

と盛り上がっていましたが、残念ながらこれは魚雷ではありません。
これは

AN/ASQ-81 磁気探知装置(MAD)

MADバード、ともいうようですが、このミサイル状のものは潜水艦を発見するために
ワイヤーで長く伸ばして曳航するものです。

SH−60は「対潜哨戒機」で、だからこそ護衛艦に艦載されているのです。

このセンサーは、機体の金属部分や電気機材の干渉を減らすために、
このような機外にできるだけ機体と離すようにして保持し、
使用時も空中に曳航されなくてはなりません。

しかしそれでもなお、地磁気の乱れや変化を探知するには、
潜水艦が海面の近くにいて、かつ航空機も非常に近い位置にいる必要があります。

もちろん潜水艦の大きさや船体の材質によって発見可能範囲も変わってきます。





二列ができていて、コクピットに座る列、後部座席の列でした。
後部座席の列は比較的短いものでしたが、コクピットはかなりの長さ。

わたしはこの日午前中一杯を見学に費やすことに決めていたので、
迷うことなくコクピットの列に並びましたが、これは日頃から

「並ぶの大嫌い」

なわたしには画期的な行動と言えます。
カレーグランプリのときに並ばなかったのも、
護衛艦見学と秤にかけて護衛艦を選んだからだし、
つまりわたしの「自衛隊装備好き」は食い気を凌駕するだけでなく、
行動の基準まで左右しているらしいことがわかりました(笑)

これが本当の”MAD about~”ってやつですか。



続く。



 



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9 Comments

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艦違い・・もとい、勘違い? (あれ×3)
2014-06-24 19:59:17
♪5インチ砲」といわれる~実際砲身は62口径なのです。なぜ「6インチ砲」と言わないのか?♪
との事ですが、もしや、この表記の意味を勘違いしているのでは?
62口径の「62」というのは大砲の口径(直径)を指しているのではありません。砲身の長さを表わす表記です。砲の先端から砲尾(お尻)までの長さだったかな?(この考え方で、そうは間違って無いと思いますが)
つまり62口径だと、だいたいで、
125mm×62=7.750mm=7.75mでしょうかね?
この「口径」という言い方は警察モノのドラマなどでも「何口径の拳銃」なんて言い方で出てきますが、同じ意味ですね。
大砲が同じ「直径」でも、この口径の数字が大きければ大きい程、射程距離や威力も大きくなると考えて間違い有りません。
そろそろ、詳しい解説が入り始める頃でしょうから(^^)、楽しみにそちらをお待ち頂き、こちらは内密に、前菜程度に読んで頂ければと。
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いつも感心します (雷蔵)
2014-06-24 21:47:23
エリス中尉の注意力にはいつも感心します。

CIWS Block IB。いろいろな意見がありますが、水上射撃能力はなくていいという人も多いです。

20mmを撃って撃退出来るのは精々、海賊か某国工作船で、それ以上の船なら主砲を使います。海賊か某国工作船は戦闘艦艇ではないので、20mmで木っ端微塵にすると、国際法上は過剰防衛(Overkill)です。やはり、射手が狙って撃つ12.7mm M2重機関銃くらいが適当だと(私は)思います。船体に穴は開けられても、木っ端微塵にはなりません。

ちなみに米海軍は小型船を撃つのにもっと強力な25mmを装備しています。気持ちは分かりますが、さすが「ターミネータ」の国だなと思います。

CIWSでミサイルを撃破したら、自らも傷付く可能性があることに関しても、いろいろな意見があると思います。ヨーロッパや韓国の船はもっと口径が大きく、ミサイルを撃破しても自らは傷付くことはない機材を積んでいます。

発射管。あれは魚雷防御用MOD(MObile Decoy)発射機です。短魚雷発射管は三連装です。

前回のエントリで統合電気推進が「あきづき」型で見送られたことに触れられていましたが、これは現在建造中の25DDに盛り込まれています。

面白いことなのですが、実は「あきづき」型より統合電気推進を取り入れた25DDの方が安く付くのです。要するに、統合電気推進を見送ったことで「あきづき」型はかえって高くつくのです。

現代の護衛艦はガスタービン推進です。従来の方式だと推進用ガスタービンエンジンが4基。ガスタービン発電機が2基、必要になります。

統合電気推進だとガスタービン発電機で発電し、その電力で推進器(プロペラ)を回すので、ガスタービン発電機5基で推進用と発電用を賄え、ガスタービンの数は少なくて済み、燃費も安くなります。

「あきづき」型で統合電気推進が見送られたのは防衛商社事案(「あきづき」型のエンジンの候補機種の採用を某防衛商社が事務次官に働き掛けていた)の捜査でかき回されて、新機軸を導入する余裕がなかったのです。これもやせ馬ではありません。
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暖機運転 (佳太郎)
2014-06-24 23:26:01
昔の車だと特に冬の場合はエンジンがかかりにくいのでチョークレバーを引いて燃料の噴射を濃くしてエンジンをかかりやすくし、アイドリングが安定してきたらチョークを戻すという操作をしていたようですね。今はエンジンのコンピューターがあるので何もしなくても問題ないですね。今の機械でも田植え機についていて叔父が操作してました、バイクにもまだついているかもです(乗らないので知らないんです…)
魚雷発射管のヒーターは凍結防止のためとかですかね?もしくは温めておくと性能が発揮できるとかでしょうか?
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暖機運転 (雷蔵)
2014-06-25 06:01:08
発射管の写真は短魚雷発射管とMOD発射管が混ざっているようですね。短魚雷はおそらくMk-46だと思いますが、オットー燃料駆動です。この燃料は低温では燃焼しないので、発射前に暖機する必要があります。同じように、商船が使うC重油も常温では粘性が高く、エンジンに噴射出来ないので、温めて使っています。
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おそロシア (エリス中尉)
2014-06-25 19:57:55
妙なところに食い付きますが、サヨたちに「血に飢えた自衛隊の海外派兵予行演習」といわれていた
海外派遣。
自衛隊は海賊であっても基本威嚇だけにとどめ攻撃はしないということですが、
ロシア海軍に見つかったが最後、迫撃砲撃ちまくりでオーバーキルだそうで・・。
https://www.youtube.com/watch?v=ecZwgUXsWhg

また、生け捕りにした海賊も

「拘束した海賊10人をゴムボートに放置し、死に至らせたとみられることが明らかになった。
国防省が「海賊を裁く国際法の不備」を理由に“漂流刑”を正当化したのに対し、
専門家からは「法的にも人道的にも問題だった」と反論が出ている。
ソマリアの海賊が国際的な脅威となり、各国艦船が取り締まりを強化している中で
議論を呼ぶ事例となりそうだ」

だそうで・・・・ちなみに、リリースする際水と食料は与えたと言い張っていますが、
ボートのGPSは取り外したそうです。
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暖めるのは燃料 (エリス中尉)
2014-06-25 20:00:11
あ、写真混じってました?
おかしいな。撮影順に掲載しているのに。

暖めるのは重油なんですね。
エンジンを温めるというより理にかなっていて納得しました。
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ゆきなみ型のあれです (エリス中尉)
2014-06-25 20:07:15
さすがみね姉さん、そこに注目しますか(笑)
ところで、「みらい」が消費したオトーメララの弾薬と破壊された127ミリ砲身は、
帝国海軍に仕様を伝え、再生に成功した、とありますね。
その際、機構まで再生できれば、きっとミッドウェーで勝てたに違いありません。
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余計ですが (雷蔵)
2014-06-25 20:31:36
帝国海軍の89式127ミリ連装砲は発射速度14発毎分ですが、オットーの127ミリ砲は42発毎分です。太平洋戦争中の製鋼技術では砲身製造は難しそうです。

海上自衛隊の使用する砲弾はエアコンでお馴染のダイキン(元々は、大阪特殊金属という砲弾メーカーで、戦後、砲弾からエアコンに転換)製で、オットーは砲メーカーです。
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やっぱり (エリス中尉)
2014-07-02 01:04:58
言われているだけでなく、現場の自衛官たちの間でもそのような認識なんですね。
にしても合掌って・・・・・。不謹慎だけど笑ってしまいました。

彼らが「海賊になる理由」については、2年前に「パイレーツ・オブ・ソマリア」というエントリで
詳しく述べています。
まあ要するに、「放射性廃棄物」を投棄した業者(まあ、国ですよね)と、
自衛隊派遣を検討していた頃、気前よく身代金を払っていた日本に残念ながら
かなりの根本的な責任があるわけですが、
彼らが海賊家業に身を投じても仕方がない部分はいやっと言うほどあるわけでして。

今読んでみたら、我ながらいいことを書いているような気がするので、
もし興味がおありでしたら目を通してみて下さい。
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