ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

海上自衛隊 呉地方総監部 平成最後の観桜会

2019-04-04 | 自衛隊

3月の最終には恒例の呉地方総監部観桜会が行われました。
ご招待頂いて行ってまいりましたので、ご報告します。

今年は例年より早めの桜開花となった関東ですが、出発当日は
どんよりした曇り空で、コートが手放せない肌寒さ。

2年前の呉では氷雨(一部雪)が降ったことを考えても、
この時期のお天気と桜の咲き具合は予想できないものです。

さて、今年はどんな観桜会となるのでしょうか。

今回は広島空港からレンタカーを借りて呉までやってきました。
地方総監部に向かう道の手前、少し前まで自衛隊が使用していた
旧呉海軍下士官休憩所(青山クラブ)の横を通り過ぎようとしたら!

なんと、窓があったところに、おそらくは廃墟に入り込もうとする
不届き者対策だとは思いますが、ベニヤ板を貼る代わりに、
「この世界の片隅に」の登場人物が描かれているではありませんか。

観桜会が終わってから行きに撮り損ねた部分をなんとか撮影しました。
この絵をご覧になってお分かりだと思いますが、「この世界の〜」には、
下士官集会所とこの左側の鉄橋、美術館通りが登場します。

下士官集会所は1903(明治36)年に建設され、戦後もずっと
自衛隊が使用してきましたが、老朽化のため2017年に閉館しました。

江田島の昭和16年築の鉄筋校舎が「歴史的な意味はない」として
取り壊されるように、ここも解体が検討されていたのですが、
この映画がヒットしたことから、歴史的価値が見直され、
保存を求める署名が集められて市に提出され存続が決まりました。

おそらく耐震診断を済ませ、保存のための工事に入るまで
このような形で「予告」を行っていくのでしょう。

もし映画のヒットがなければ、ここは早々に取り壊され、
跡地は駐車場になっていたということです。
ちなみに横須賀の旧海軍下士官兵集会所は取り壊され、
その跡にメルキュールホテルやホールが入ったビルが建っています。

保存した建物は、呉の歴史や特産品のPRの場所となるようで、
それが観光のポイントになればいいなと思います。

1903年当時、これは超モダン建築だったと思われます。
この写真は写り込んでいる女性の服装を見ても、少なくとも
昭和になってから撮られたと思われますが。

復刻させるなら、当時と同じ壁の色にして欲しいなあ。

主人公のすずさん、白木リンさん、そしてすずのお舅さん、円太郎。

映画に不思議な色合いを与えていたすずの想像の産物?「ばけもん」、
そしてすずの夫周作の姉(顔がそっくり)径子とその娘晴美。

すずの姑、サン、幼馴染の水兵、水原哲、妹の浦野すみ。

水原哲はきっとこの建物の道の向かいにある呉海兵団
(現在の呉教育隊)で訓練を受けて水兵になったのでしょう。

映画でも、海軍の法務部に奉職しているすずさんの夫が、
一等兵曹になる前に海兵団で3ヶ月訓練を受ける、という台詞がありました。

 

沢村一樹さん主演の広告マンが主人公のテレビドラマで、
町おこしをするために映画の撮影を過疎化した街に呼ぶ、
という話がありましたが、「この世界の〜」は先に映画のヒットがあり、
すでに広島と呉にはこの映画の「聖地巡礼」に訪れるファンもいるとのこと。

映画の中で印象的だった下士官集会所がそのまま保存されれば、
「海軍の街」としての呉が次世代にかつての姿を伝えるために
大きな役割を果たすことになろうかと思われます。

会場時間少し過ぎてから呉地方総監部の「表玄関」たる海側に近い
通用門を、身分チェックを受けて通過し、坂を上っていくと

「黒のプリウス〇〇〇〇!」(今回はプリウス借りました)

という通信が下から上に伝達され、30m置きに立っている人に誘導されて
最終的には長官庁舎の高さにある駐車場まで案内されました。

 

受付を済ませると、案内の方が長官庁舎内の応接室に案内してくれました。
二階の部屋が待合室になっていたようですが、階段を上ろうとしたら
時間となって応接室で待っていた人たちが出てきてしまいました。

うーん、もう少し早く来ればよかった・・・・。

駐車場から受付に向かうまでの間、古い建物に異常な興味を持つわたし、
ここぞと赤煉瓦を写真に撮りまくります。

この建物もドアや窓を替えて呉地方警務隊の本部として使われています。
ドアのひさしにある赤いグローブランプがレトロな感じ。
このランプは現在も使われることがあるのでしょうか。

会場の手前では、呉地方総監が立って来客のお出迎えをしておられました。
ところで、この写真を見て何かに気づきませんか?

そう、桜が全くといっていいほど咲いていないのです。観桜会なのに。

この会場の様子を見ていただければお分かりのように、去年の観桜会では
満開となって目を楽しませてくれた桜が、今年は全く咲いておりません。

関東であれだけ咲いていたのだから、こちらはさぞかし、と
勝手に予想して楽しみにしていただけに残念です。

三年連続で呉の観桜会に参加してつくづく、満開の桜の日を
前もって予測するのは難しいことだと思い知りました。
自衛隊では例年各基地の観桜会は週で決まっているため、
当たり外れがあるわけで、逆にいうと毎年満開はありえないのです。

 テーブルに置かれた自分の名前を確認して、開演を待ちます。

同じテーブルには政治家や自衛官の他に、陸自の制服も。
先日ご挨拶に伺った駐屯地に置かれた第13旅団長たる陸将補殿です。
(ここはやっぱり陸自なので『殿』をつけるのがよろしいかと)

陸将補殿に伺ったところ、陸自は海自の「観桜会」的な花見はせず、
「桜祭り」とかいう名称で、駐屯地を一般公開し、その際
外部の業者が花火をあげたり屋台を並べたりするのだそうです。

「花見の会」というようなものは内輪でひっそり?するのだとか。

観桜会が始まりました。
まずは呉地方総監のご挨拶から。

4月1日に新元号が「令和」(まだ変換できない(´・ω・`))と発表されましたが、
このときに、総監はいきなり

「先ほど内々に新元号を聞きましたが」

といい、皆を驚かせてからそれが冗談であること、そして

「笑っていただいてありがとうございます」

と皆を和ませました。

「わたしもこの歳になり、自分の役目は何だろうと考えたとき、
やはりそれは後進の教育ではないかと思います」

という言葉が心に残る素晴らしい挨拶でした。

お馴染み寺田稔先生。
わたしと同じく本日の飛行機で羽田から来られたらしく、

「東京は結構咲いていたのですが・・・」

と桜の咲き具合に言及した後、またしても新元号について
知っておられたことを匂わせ、次の瞬間打ち消すというワザを・・・。

これって、国会議員の先生方はすでにご存知で、地方総監も
実は寺田議員からこっそり聞いて知っておられたのでは?
という意味だったのでは、とわたしは勘ぐっております。

まあ、前もって多少漏れたとしても、じきに何の問題もなくなるわけですし。

続いて呉市長新原よしあけ氏。

テーブルのお料理にあしらわれた造花の桜がせめても咲き誇って・・・。

いつも思いますが、素晴らしいといわれる海上自衛隊の料理でも、
「はしだて」は別格としても練習艦隊旗艦「かしま」と呉地方隊は
特にこの舟盛りが最高です。

刺身の種類もさることながら、このボリュームと飾り付けが素晴らしい。

これはすでに乾杯が行われた後ですが、ここは大阪ではないので、
料理にラップはかけられておらず、さらには人々が舟盛りに殺到、
というような現象は起こりません。

もちろん、海老の胴体の前に陣取って、直箸で中の身をせせって
食べ続けるような人もここにはおりません。

パーティというものは人と話をするための機会であり、
食べ物は目的ではない、むしろパーティでものを食べているようじゃダメ、
というビジネス界の鉄則を聞いたことがありますが、
自衛隊の宴会でも、このように地方総監の前に列ができるのが普通。

地方長官が交代して初めての観桜会となったこともあって、
この日は特に長蛇の列となっておりました。

わたしもここではできるだけ色んな方とお話しすることを心掛けましたが、
旧知の自衛官の何人かは、

「4月1日から新しい配置に行きます」

といい、新しい名刺を下さった方もおられました。

海上自衛隊の観桜会が桜の咲いている確率の高い4月始めではなく、
なぜ3月の終わりに行われるのか、わたしは初めてわかった気がしました。

転勤になる自衛官にとって、3月末の観桜会は旧任地最後の任務であり、
お別れ会をも兼ねることになるのです。
もっと実質的なことを言えば、年度末の打ち上げの意味もあるかもしれません。

呉地方隊でのイベントには、必ず呉音楽隊の精鋭メンバーが
『マリーン・ナイツ』というバンド名で演奏を聴かせてくれます。


彼らの後ろの桜の木を見ていただければ、今年の観桜会が
開花という一点ではかなり残念なものだったことがおわかりいただけるでしょう。

この日の夕日が呉港の水平線に落ちる時間が近づいてきました。
自衛隊的にはそろそろ海上自衛隊旗降下が行われるわけですが、
この日の観桜会の招待客には、あっと驚くサプライズ(重言(´・ω・`))
が用意されていたのでございます。

 

続く。

 

 

 


最新の画像もっと見る

3 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
ビックリ (Unknown)
2019-04-04 21:12:44
海上自衛隊の地方総監は、格から言うと陸上自衛隊の地方総監と同じ(はず)なのですが、実はその差は歴然としています。

海上自衛隊の場合、総監は所在地の市長に表敬訪問に行くのが精々ですが、陸上自衛隊の総監は市長レベルには表敬訪問はせず県知事です。陸上自衛隊の総監は偉いんです(笑)

ただ、面白いのは、海上自衛隊の場合、艦船の修理は各総監部と管内の造船所の契約になるので、各総監部は百億円規模の予算を動かしますが、陸上自衛隊の総監部は糧食や消耗品の購入があるだけで、さほどの予算はありません。

世の中やっぱりお金があるところに人が集まるので、海上自衛隊は大々的に観桜会を催せますが、陸上自衛隊では、こんなに大勢は集まらないのではないかと思います。生臭い話で失礼しました(汗)
返信する
Unknown (tekkaojous)
2019-04-08 06:49:08
憧れの呉の観桜会に友達のお陰でデビューできましたが、初のお席でやや緊張して入って行ったら、いるわいるわ知った顔が…………
unknownさんのコメントを読んで、総監の前に名刺交換に並ぶ長蛇の列の理由を納得いたしました(笑)私なども長蛇のやっと途切れた辺りでソロソロと近寄ってご挨拶しましたが、前猫艦長さまから同期でいらっしゃると伺いましたと言うと、モジモジ(((UωU` *)(* ´UωU)))されて、なぜだと(笑)
返信する
みなさま (エリス中尉)
2019-04-18 12:38:27
unknownさん

陸上自衛隊の総監は偉い・・・そうだったのか(笑)
海自も最近は宴会を会費制にするところが増えていますね。
聞いたところによると、今年度からそういうことにしよう、と
海自全体で決まったとかなんとか。
参加する方にとっても、会費を直接徴収してくれた方が気が楽な面はあります。

鉄火お嬢さん
呉観桜会初めてでしたか。去年と違い桜の咲き具合は残念でしたけど、それを補ってあまりある盛会ぶりでしたね。

ところで、自衛隊にご縁ができてから今日までに学んだことはいくつもありますが、
そのうちの一つは「自衛官に他の自衛官の話をしない」ということです。
人間社会の縮図である自衛隊は、それこそいろんな人がいて、
人の数だけ人間模様もあるわけで、こちらが知っている二人の自衛官が
どういう関係なのかについて知らないうちは迂闊に話題にしない方がいいと。

同期だったり同じところにいたからといって「知っている」だけかもしれませんし、
そういう人の話題を振られても何もコメントしようがないですし、
運悪くお互い犬猿の仲だったりすることだって可能性としてはありますから。

杉本海将はパイロットですし、同期でも艦艇一筋だったような方とは
何年も顔を合わせたこともないという可能性の方が高いです。

あ、それから蛇足ですが、自衛官との話題で避けた方がいいのが家庭の話。
下手に奥さんとかお子さんは?と聞いて地雷を踏む可能性は高いです(涙)
返信する

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。