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よこすかYYのりものフェスタ

2022-12-13 | 自衛隊

観艦式も終わって間もないある金曜日の夕方のこと、
先日外国艦艇の一般公開に声をかけてくれた方から電話がありました。

明日横須賀でのりものフェスタがあるから行きませんか、とのお誘いです。

外国艦艇公開で久々に上げた重い腰がそのおかげで軽くなっていたことと、
「当日はお天気もいいみたいです」という言葉に促されて参加を決めました。

前回と違って今回横須賀基地で公開されるのは海自艦艇だから、
そんなに朝早くから並ぶ必要はないはず、と、あまり気合を入れず、
開門に間に合う程度に現地に到着しました。



ヴェルニー公園では出店の準備が進んでいましたが、これにはびっくり。
JR職員のコスプレしたお店の人と思ったら、本物のJR職員でした。

鉄オタさんたちにはたまらない、その手のグッズを売っているようです。
電車や貴社のプラモとか、実際に使われたプレートとか。

国有時代ならいざ知らず、現在のJRってこういう「商売」もありなのね。
売るものなら、それこそ売るほど倉庫にあり余っていそうだし、
捨ててしまうくらいなら欲しい人に買っていただこうと。

One man's trash is another man's treasure.

つまりこういうことですね。



前日聴いていた時間より早く、横須賀基地は開門したようです。
もうすでに「いずも」の上には人の姿が見えています。



ヴェルニー公園を歩きながら抜かりなく米軍基地側もチェック。

ところで、いつの間にか海自の潜水艦隊は引っ越しをしたらしく、
今までいつも見えていた岸壁からはすっかり姿がなくなっていました。

あそこは何かと動向が人目につきやすかったからに違いない(断言)

で、これはアメリカ海軍の「ヴァリアント」級ハーバータグボート

「デファィアント」Defiant (YT-804)

ゴムボートかと思ったらちゃんと1隻ずつ名前がついていました。

「ヴァリアント」級タグは全部で6隻あり、タグボートとしてだけでなく
人員輸送、護衛任務もできるような設計になっています。

一応船室は4つあり、機関長とタグマスターがそのうち二部屋を、
残りの4人の乗員が二人で一部屋を使用します。

同級6隻の名前とそのネームシェイクは、それぞれ以下の通り。

「ヴァリアント」(勇敢)
「リライアント」(信頼)
「デファイアント」(反骨)
「セミノール」(Seminole族から)
「ピュアラップ」(Puyallup族から)
「メノミニー」(Menominee族から)


いうてはなんだが、相変わらず遠目にも錆が目立つDDG 52「バリー」



戦艦「陸奥」の主砲に、主砲弾がこめられ寸前ぽく置かれています。

こんな砲弾、前からあったっけ?と思って調べたところ、
元々海上自衛隊横須賀基地内に展示されていた41粍徹甲弾が無償貸与され、
追加で展示に加えられていたことがわかりました。

支援者たちは、横須賀海軍工廠で建造された戦艦「陸奥」に、
ここに主砲を置くことで「里帰り」させたかったそうです。



この後横須賀基地の門を入り、途中のテントでまず体温チェック。
並んでいる人は全くおらず、普通に歩く速さで通りすぎ、
岸壁に入るところで手荷物検査を受けて、これも一瞬で終了。

この日はとにかく呆気に取られるくらい人がいませんでした。

先日の「大河フリートウィークシリーズ」で写真をくださったKさんは、
観艦式で気力と体力をごっそり使い果たされたのか、
自衛艦だけの見学ならまいっか、とお休みになっていたそうですが、
他にもそういう人たちが多かったと見えます。

Kさんもですが、そんな人たちも、まさかこののりものフェスタで
米海軍の駆逐艦が内部公開をするとは思いもしなかったため、
後で知ってから途端に、行けばよかったと思われたようです。


■「こいずも」DDH1.83と「ちびしま」DDG1.74



観艦式でもどこかに展示されていたらしく、別の方から
「こいずも」「ちびしま」の写真をいただいていましたが、
この日は岸壁の、皆が通るところで脚光を浴びていました。

まずDDH 1.85の「こいずも」ですが、これがすごいんだ。



「こいずも」艦長は「いずもん」。

「艦内にヘリコプターを収納できるところを、
おなかに赤ちゃんや貝などを乗せるラッコに見立ててデザイン」

よく見ると制帽にヘリのローターがついているのがダメおし。


「艦内にヘリコプター”を”収納できる」

・・言い切ってはいけない。
収納できるのはヘリコプターだけじゃないだろ!


これとか。

というツッコミはともかく、この「いずもん」ですが、



こんな自衛官は実在する(断言)



「ちびしま」は以前もここでご紹介したことがあります。
その時にはキャラは居ませんでしたが。

だいぶ前だったはずだけど、ちゃんとメンテナンスしているらしく、
ピッカピカで、台座が新しくなっていました。



赤の艦長席でしどけなく横たわっている「ちびしま」艦長「きりまる」。
前回からいつの間に艦長に就任したのだろう。

「イージス艦の8角形のレーダーをアザラシの眼鏡に見立ててデザイン」

こんな自衛官もどこかにいそうな気がする。



甲板にはちゃんとハンドラーの姿もあり。
そうそう、この黄色い線、実際の「いずも」にもありましたよ。

ここで唐突に。

海上自衛隊護衛艦「いずも」F-35B発着艦試験映像(着艦~発艦まで)/U.S. Marine Corps F-35B Lands on JMSDF DDH Izumo

並行に移動してラインの上に降りるとき、つい
「UFOキャッチャー」という言葉がよぎりました。

で、飛行ボス?みたいな人とか、不思議なんですが、
「いずも」のワッペンをつけてるのに、アメリカ軍人なんです。

F-35Bでこの発着艦試験を行った行ったのは米海兵隊だそうですが、
これは、「いずも」がプラットフォームとしてOKかという試験ですかね。

YouTubeのコメントにもあるけど、75年前戦争していた両軍が、
今こうやって一つの艦に乗って同じことをしているって、色々と胸熱です。



「ちびしま」のチャフ・ランチャーの後ろには
トナカイとサンタと普通の人が。

ところで、最近「ざんねんないきものシリーズ」で知ったことですが、
クリスマスにツノを生やしているトナカイは全てメスなんですよ〜。

オスがツノを生やしているのは春先だけで、
その理由は「雌をめぐる争いをするため」ですって。



ところで、ある方から送っていただいたフリートウィークのときの
「こいずも」の甲板のようすをご覧ください。
展示してあった場所はどうも同じなのですが、
わたしは外国艦公開の時にこれは見なかったなあ・・・。

観艦式ではみごとに登舷礼が行われていました。



すごい(色んな意味で)

■岸壁の展示艦


最初の目的地はこの岸壁です。

岸壁に入るところで、入り口が三分割されており、行き先ごとに
「米艦ハワード」「うずしお」「海保船」と通路が分かれていました。


二人が歩いて行っている一番向こうが「ハワード」の通路です。

抱っこした子供に小さな旭日旗を持たせたお母さんが、
岸壁を左に行こうとして自衛官に分かりやすくストップされております。
(”Talk to the hand!"のお手本的な)

もしかしたらパパがこの向こうにいたりするのかな。

わたしはとりあえず今日の最大目標である「ハワード」の通路を選択し、
たっぷりと時間をかけてアメリカ海軍の駆逐艦を堪能しました。



観艦式でパキスタン海軍の「ナスル」らが係留されていた岸壁には
DD110「たかなみ」と同型艦(たぶんDD111『おおなみ』)の姿。

両艦は第6護衛隊の4隻のうち2隻です。



これは「ハワード」の甲板から見た両「なみ」。
こうしてみると結構な擦り傷やペンキのムラがありますね。

「おおなみ」は、この夏、「やまぎり」とともに、沖縄で
米海軍の「ロナルド・レーガン」らと日米共同訓練を実施しています。


この日はシャッタースピードを確認したので、
ほとんど失敗はありませんでした。

風に綺麗に靡く旭日旗。



「ハワード」艦橋ウィングから岸壁を臨む。

これを撮っていてちょっと苦労したのが逆光。
いくらちゃんと使い方を勉強しても、しばらく使わなければ
全てはすっかり脳内から消えてしまっているのだった。

この問題は、「ハワード」を降りて合流した二人のカメオタ友人に
解決してもらいましたが、人任せだからまたすぐ忘れるんだよな。

でも反省なんてするもんか。


■のりものフェスタならでは!「ジェミニ・ディンギー」体験乗艇



この高さから見事に波を一直線に立てて疾走する警備隊のゴムボート。
ボートに乗っているのは水中処分員(EOD)の資格を持つ隊員です。

ボートは処分艇「ジェミニ・ディンギー」が正式名。

ところでですね。


疾走していた処分艇はともかく、この日、
頻繁に海上を行き来していたこのディンギー、
よくよく見ると乗っている人が一般人ぽくない?


なんと、自衛官の他に一般人の親子連れが乗ってるではありませんか。



親同伴の子供に限り、という条件で、
(そらそうだ、もし年齢制限がなかったら、オサーンばかりになっちゃう)
今日はなんと処分艇体験ができたようなんです。

さすがYYのりものフェスタ。
いろんな乗り物に乗れるイベントとはいえ、海自がここまでするとは。



「あしたか」の待ち時間が長かったので、並びながら何組も
家族が乗ったボートが通るのを見ましたが、湾を小回りに一周し、
「あしたか」の横に来たら自衛艦旗を下ろして退出、
というコースは厳密に決まっていた模様。

この日は波もなく、さぞ楽しかろう、と思ったのですが、
写真を撮っていて、ボートの上の人たちが、
親はもちろん、子供ですら、全く笑っていないのに気がつきました。

「あしたか」の近くを通る頃には、皆一様に、なんというか
魂の抜けたような無表情にすらなっていたのは、なぜ?

ボートには水中処分員と自衛官が付き添い、
救命胴衣もつけて万全の体制ですし、何かあっても
人命救助はEODの本業ですから何も心配することはないはずですが、
これはよっぽど乗り心地が悪いんだとみた。

加えておそらく、カメラやスマホでの撮影は禁じられていたため、
大人は手持ち無沙汰だったのかもしれんね。

■ 陸空自装備展示



この日は近くの武山駐屯地から陸自の装備が出張していました。
偵察用バイクに乗る男の子、これぞのりものフェスタならではの光景。


82式式通信車

陸上自衛隊で初めての国産装輪装甲車で、
3軸6輪駆動による装輪式を採用しており、
水深1m程度の渡河能力を有します。


1 1/2t 救急車

中型車両の後部を負傷者等後送用に改造した負傷者搬送車両で、
負傷者などを担架に乗せたまま乗せることができ、
大4名の横臥の状態での搬送をすることができます。

救急車の「アンビュランス」を省略して「アンビ」と呼ばれます。


高機動車

4輪駆動の中型トラック、10名が乗車可。
一般道路での高速走行性能に加え、車体全高は低く、高い最低地上高を持ち、
また前後左右のタイヤ間が広くとられた車体バランスと、
タイヤ空気圧の調整機能を持つことによる悪路での高い走行性能が特徴。
装備しているランフラットタイヤは被弾時も走行性能を保ちます。

わたしの連れは二人で、

「どうですかこれ、普通に欲しくない?高速走れますよ」

「オフロードにはいいでしょうねー」

と真面目に話しあっていました。
こんなもの置くところあるのか。


ペトリオットミサイル

空自からはPAC3がきていました。
ペトリオットミサイルを輸送し、最大16発ミサイルを発射する装置です。



わたしたちが通りかかったとき、横にいて質問に答える係が
PAC-3の整備をしているという可愛らしい女性隊員だったものだから、
おじさん二人は大喜び。

ミリオタ知識を得意になって彼女に開陳し、隊員さんからは、

「よくご存知ですね!」

とか言われてご満悦です。
わたしが彼女に、整備を最初から志望して配属されたんですか、と聞くと、

「空自には飛行機に乗ろうと思って入ったつもりですが、
いつの間にか落とされる側じゃなくて落とす側に・・」

(誰うま)


■ のりものフェスタ



海保からも出店があり、海自と並んで制服お試しコーナーや
キャラクターとの触れ合いコーナーなどで頑張っていました。

オレンジのスーツを着ているのは海保の「海猿」かしら。
海猿なのに猿ではない(シロクマ?)のはこれいかに。



SH-60Kがヘリポートに駐機していました。
操縦席に乗せるなどのサービスはしてなかったようです。

もし見学者を近づけるなら、ヘリのローターは畳みますよね。



横須賀音楽隊の演奏は次の日に行われたようです。



ヴェルニー公園ののりものフェスタは、この時間佳境に入っていました。

なんと運転手の制服を着てバスの運転席に乗れるコーナーまである!
横須賀の少年たちは幸せ者だなあ。


というわけで、艦艇見学以外ののりものフェスタはこんな感じでした。
次回はアメリカ海軍の駆逐艦「ハワード」乗艦報告です。


続く。




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2 Comments

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ガラガラ (Unknown)
2022-12-13 07:48:09
皆さん、観艦式フリートウィークで燃え尽きたから、乗り物フェスタはガラガラだったんでしょう。ゆっくり見られて、よかったのではないでしょうか。

乗り物フェスタに来ていた陸自と海保は、観艦式より前にあった田浦の第二術科学校の開放日とまんま同じ内容(車両と「あしたか」)でした。

巡視船は見学したことがないので見に行きましたが、護衛艦とは全く違う内部に驚きました。調理室には、そこらへんの電気屋さんで売っている冷蔵庫や炊飯器があり、航海は三日間が限度とのことで、一泊以上の出港の前には食材を買いに行くそうです。緊急出港と言われたらどうするんだー。

水中処分隊の高速ボートは、かなり早いので、帰って来る時には、皆さん、気が抜けた顔になると思います。港内なので、最大速力(40ノット=時速70キロ)までは出さないと思いますが、クルマでも地面にスレスレのクルマに乗るとスピード感があるように、海面がすぐなので、かなりのスピード感があります。

高機動車にも乗せてもらったことがあります。うしろの荷台で、一応、座席扱いですが、単に板が張ってあるだけ。わずかの時間でしたが、お尻が痛くなりました。あれで何時間も掛けて、移動するとなると大変です。
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長浦港N-1岸壁 (お節介船屋)
2022-12-14 10:40:30
>ところで、いつの間にか海自の潜水艦隊は引っ越しをしたらしく、

船越岸壁の対岸の市営桟橋を取得し、N-1岸壁が潜水艦用桟橋として整備され、本年から使用されています。観艦式でオーストラリア潜水艦と韓国補給艦が係留使用した岸壁。

参照文献によれば増勢用であり、米軍基地内1号バース近傍に潜水艦乗員待機所がありますので1号バースと共に4,5号ドックの先の5号バースは今後も使用するのではないでしょうか。
潜水医学実験隊を久里浜地区から田浦地区に移転し。久里浜地区を横須賀市に返還した代替として市営桟橋を取得し、浚渫、岸壁整備をしたとあります。今後潜水艦用支援施設が整備される予定と記述されています。
15年を掛けて横須賀地区は重点施策として基地整理統合が実施され、特に船越、田浦地区の変遷は激しく変貌しておりますが、戦後の旧軍港市転換法により、米軍が使用している部分を除き売却等多くの用途に使用され、残った地区の一部が海上自衛隊施設とされたため船越、田浦、比与宇、新井、長浦、逸見、吾妻島、楠ヶ浦、泊地区に分散されています。なお吾妻島、楠ヶ浦、泊地区は米軍基地内の一部で共同使用地区です。

https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/0535/kithitai/gunten/index.html

参照海人社「世界の艦船」No888
 
陸自の高機動車の市販車はトヨタ メガクルーザーの名称で1990年代から2000年初めまで販売されましたが130台余りしか売れませんでした。それもほぼ公官庁や自治体が販売先でした。グレードで約1,000万円前後でした。
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