ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

自衛官の女房~護衛艦「さみだれ」乗艦記

2012-06-28 | 自衛隊

怒涛の呉海軍紀行、愈々クライマックスです。
護衛艦に乗ってまいりました~!

最近は陸軍やメディア、政治など、気の向くまま書き散らし、ファッションタグの記事は全く更新されず、
しばらくブログ主が女性であることに気づかなかったという方すら(あなたですよ、あなた)いる
当ブログですが、原点はやはり、海軍ですよ。
タイトルにもある通り、たまにはネイビーブルーへの憧れを熱くただ語りたい。

一般に、興味を持ち続けていれば、機会はおのずとやってきてくれるものです。
今回も「軍艦に乗ってみたいなあ」と一言呟くと、あら不思議、実現してしまいました。

これというのも今回呉の案内をして下さった元自衛官の「艦長氏」のおかげなのですが、
もともと艦長氏は、TOの仕事関係の親族の方。
もしわたしがこういうことに興味が無ければ、一生お会いする可能性の無かった方です。

それを思うと、人との出会いは全く縁だなあ、と思わずにいられません。


さて、写真がたくさんあるのでいつものように淡々と写真を貼りながら参りたいと思います。
まず冒頭写真ですが、この灰色の空とグレイの自衛艦の取り合わせ、美しいですね。
真っ青な空、青い海に浮かぶのもいいけど、こちらは物々しくって、かっこいいではないですか。

本日乗船するのは106のナンバーの付いた「さみだれ」。
なぜに仲良く二隻が並んでいるのかというと、ドックに留められる艦数に限りがあるので、
こうやって場所を節約しているのです。
さみだれに行くには、手前の105の艦から乗艦し、両艦をつなぐ通路を通り抜けします。


さて、見学当日、ホテルに車で自衛隊元艦長夫妻が迎えに来てくれ、呉地方隊に到着しました。
これがその門の様子。



うわー、なんだか刑務所の塀みたいだわ。
刑務所と違うのは、この鉄条網が「外から侵入する者が無いように」貼られていること。
アメリカ軍もこの隣の敷地を利用しているので、厳重警備であるのも当然かと。



このゲートをくぐって停泊している護衛艦に乗り込むわけですが、その前に。
この「呉造修補給所 工作部、資材部」というものについて説明しておくと、



ここがその工作部、資材部の建物。
これは自衛隊呉地方隊(昔の鎮守府?)の一部門。
先日ご報告した「呉教育隊」も、この呉地方隊の編成の一部です。
教育隊の敷地内に「陸警隊」という看板もありましたが、それも地方隊に含まれます。

艦船の中にはあらゆる機材が積み込まれますが、とくに電化製品などは、
主に揺れであっという間に壊れるのだそうです。
ここは、そういう備品の整備をしたりする部門ということです。

ここで案内の士官と待ち合わせる予定だったのですが、元艦長氏が「海軍五分前」の体現者、
そしてわたしも、及ばずながらその精神を順守する者として「五分前の五分前」を厳守したため、
約束の時間より20分も早く現地についてしまいました。

ここは、呉で泊ったホテルからは車で行くとわずか10分少々で着いてしまうのです。

呼び出してもらうと、門番の隊員が、ピンク色のママチャリをこいで聞きに行ってくれました。
わたしと艦長夫人、「かわいい~!」(自転車が)と大喜び。



案内の士官さん。
長身のイケメンで、この方を見るなり艦長夫人、わたしにこっそり
「いやー、この人かっこいいわー」

「娘の相手にどうやろか・・・なんて」

艦長夫妻にはお子様が二人、一人は東京の建築会社勤務、お嬢さんは海外留学を経て、
現在関西の大学で教鞭を取っており、まだ独身とのことです。
「自衛官の女房」というと必ず驚愕されるという、華やかな雰囲気をお持ちの夫人、
初対面の我々に
「こんなこと言ったらあんなこと言って、それでいつもケンカですわ」
と、「喧嘩ばかりの夫婦生活」を笑いながら話して下さいました。


それにしても、自衛官の奥様という立場って、どんなもんなんだろうなあ。
海自は何と言っても「船乗り」ですから、一旦任務に着くと、何カ月も帰ってこないのが普通。
しかも危険な任務に日々就いている夫を連れ合いに持つ人は、どんな毎日を送っているのか・・。

防人の夫を持つこの奥様は、一人の時間をフルに使い、パワフルに自家菜園、ハーブ教室、
編み物教室、料理教室、と、趣味というよりいつでも自活できるような生活設計を立てて
毎日を楽しんで来られたようです。

昔、お子さんのの担任の先生が「自衛隊など日本に必要ない」と子供の前で語ったことに激怒し、
「父親を誇りに思えなくなるようなことを先生が行ってどうする」と抗議したことがある、と
奥様が話したとたん、そういった問題にはあまり発言しない男性陣を尻目に、
日教組の問題点について舌鋒鋭く盛り上がる女性陣。

「呉の学校の先生が日教組なんですか?クラスに自衛官の子供がいるでしょうに」
「そのときもお父さんが自衛官という子が3人いたんよ、クラスには」
「許せませんね!」

我がことのように憤るエリス中尉。

「いやー、あんた、話し合うねえ!」

思わず肩を叩きあいたくなる連帯感が女同士の間に生まれました(苦笑)



車の中で聞くお二人の会話もなかなかで、
「お父さん、自衛官の服てどこになおしてあるのか、教えといてね」
「押し入れの中にあるわ」
「お父さん死んだらどこにあるかわからんようになるし。
棺桶に入れるときに着せたげんとあかんから

ちょ・・・奥さん・・・。

でも、ちらっとおっしゃっていましたが、結婚したのも
「もう、最初に会ったとき、自衛官の制服がそれはかっこよかったんですよ」
「そうでしょうねー!」
「で、騙されたんですわ」
「・・・・・・・・・・・・」



そんなヒロシ(艦長氏の名前)の後姿(右)。
皆さん、この後姿、72歳に見えます?
艦長氏の趣味はテニス。
悠々自適の退官後、テニスを始めた(!)艦長氏、毎日のトレーニングの末、
2年前はねんりんピックシニア大会の広島県代表で全国大会まで行ったんですよ。

わたしたちが行った日に雨だったことは
この方と我々にとって非常にラッキーでした。
毎日朝からコートに出て、朝食はステーキでもOK、という方ですから、
きっと晴れていたら「ああああこんなことしてないでコートに立ちたい!」
とうずうずしてしまっていたであろうからです。

ねんりんピックは60歳から参加資格が得られるので、艦長氏は
「もう最近はどうしても勝てなくなった。若いもんがどんどん出てくるから」
と実に悔しそうにおっしゃっておられました。
若い。身体も若いけど気も若い。

「テニステニスで、たまに孫が来ても知らん顔なんです」

「もう男の子には厳しくてね。
子供が三歳のとき予防注射で泣いたら『男がそんなことで泣くな!』って叱りつけて、
人前で喧嘩ですよ」

夫人は、ここぞとわれわれに艦長氏との結婚生活の不満をぶちまけ、一度などは
「こんな人と結婚したのを後悔したことが何度も・・・・」みたいな激しいお言葉もありましたが、
案内のイケメン士官のことを、冗談でも「娘の婿に」と言っていたということから見ても、
日教組の先生と戦った話から考えても、
夫が自衛官であることそのものについては、きっと誇りにしていたのだと思います。

日本の、特にこの世代の夫婦って、相手の愚痴を言うのが愛情表現だったりしますよね。
・・・・そうですよね?

  

ドックには計5隻の護衛艦が泊っていました。
朝一で見学に向かう我々と、何人かの「上陸組」がすれ違いました。
週末の「勤務明け」ですね。
当たり前のことですが、護衛艦の乗員は護衛艦の中での勤務が仕事。
朝、軍艦旗(って言ってもいいよね)掲揚する儀式も、昔と全く変わらず行われます。


左の写真は、輸送艦「おおすみ」。
この「おおすみ」、サイズは超巨大で、海外派遣のときに活躍します。
医療システムが充実していて、手術室も備えているのだそうです。

これは非常用の救命ボート?
バーのような吊り具が外に倒れ、そこから海面に降ろされる仕組みですね。
万が一電源喪失をした際は、手動でも降ろせるのでしょうか。



停泊中フネはしょっちゅう外壁のメンテナンスをしていなくてはいけない、と聞いたことがあります。
すぐに牡蠣や海藻などがくっついてしまうのだそうです。
まさか見学者に写真を撮られているとは夢にも思っていない整備員。
整備員の向こうにみえているのが魚雷です。



皆さんご存じですね?
護衛艦というものは、国民の税金で賄われているわけです。
つまり、どの護衛艦も、我々国民のものでもあるのです。
ですから、国民の義務としてこういうものがあることを知らなくてはいけないし、
自衛隊が国民に護衛艦を公開しているこのような機会に、一度は見学をすべきでしょう。

・・・・と、初めて観に行ったくせにやたら偉そうに言ってしまいましたが、
向こうはむしろ、ぜひ国民の皆様に見学をしていただきたい!
と、オープンにその場を設けてくれているのですから、これを利用しない手はありませんよね。




これも、「見学者大歓迎」の印。
何のためにこんなに大々的に名前を掲げているかというと、この日は日曜日で、
ここ呉地方隊では朝10時半に護衛艦を一般公開しているからです。

この日はお天気があまり良くなかったので、人影は我々以外にありませんでしたが、
もし、見学をしたいと思ったら、皆さんは、ただ時間までにここに来ればいいのです。
この階段を上った舷門には、受付係と思われる自衛官が二人、待機していました。



少し見にくいですが、「さざなみ」にも「いなづま」にも、艦のマークがありますね。
「いなづま」はカミナリ様というか、風神の意匠で、なかなかかっこいマークをお持ちでした。

ところで・・・タイプしながら、やはり「漣」「稲妻」「五月雨」「大隅」がいいなあ、とふと思いました。
護衛艦の漢字表記復活を、国民の一人として熱望します。


もし、この稿を見て「護衛艦見学、行ってみようかな」と思われた方。
見学に行けば個別に案内してくれるのか、それとも皆一緒に回るのか、わかりません。
なぜ分からないのかって?

それはわたしたちは一般とは違う

特別見学者だったからです。(大威張り)

というわけで、それではいよいよ、「さみだれ」に入っていくわけですが、
前置きが長くなってしまったので次にします(爆)


乗艦記と言いながら、乗らずに終わってしまった・・・・・。






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2 Comments

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自衛官の女房 (ミルママ中尉☆☆)
2012-06-28 09:43:52
いや~、「特別見学」ですか、羨ましいなあ。。。
本編が楽しみです♪

ところで、わが父は陸自でしたので小さいころ陸自のヘリに乗せてもらった記憶があります(エッヘン)いや、それはどうでもよいのですが・・・

自衛官のお給料はそんなに高くありません(当社比較)ですので、母なども不測の事態に備えて編み物や華道を人様にお教えしていました。
カッコいい制服姿に騙されたというのは、母にも言えることでして・・・カッコイイが為にモテモテの
父を持った母は心配の種が尽きなかったようです。
そして、「騙された」という台詞も自衛官の妻の常套句かと・・・(^_^;)

一方、子供たちは父が時々持ち帰る缶入りミリメシを楽しみにしておりました。(あれ、意外と美味しいのですよ)

今日のブログの副題「自衛官の女房」につられて、
またノコノコ出てきてしましました。お許しあれ。







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自衛官の身内 (エリス中尉)
2012-06-28 23:45:15
なんと!
ブログにおじゃました時にミルママ中尉殿のお爺様か大伯父様が陸軍軍人だった、という記述を見たような覚えがあるのですが、お父様も自衛官でいらしたのですね。
「自衛官の女房」の実態を知っているどころか間近に実例があったと。

ヘリ、ミリ飯、身内ならではの特権もいろいろあるようで、これに比べるとエリス中尉の「知り合いが元海自」なんて特権は、はっきりいって特権の内に入りません。
お見それしました。

ところで、「制服マジック」について。
「騙された」は自衛官の妻の常套句。
これ、名言ですね。
他の制服職業、例えば
「騙された、はフライトアテンダントの夫の常套句」
なんて応用ができそう。

しかし、かっこよすぎてお母様の心配が絶えない、そんな制服の似合う素敵なお父様なら、ミルママ中尉もさぞお父様を誇りにしておられるのでしょうね。

うーん、羨ましいぞ。
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