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朝霞駐屯地訪問記~コブラ・シミュレータ

2014-07-18 | 博物館・資料館・テーマパーク

さすがにご指摘のようなサブタイトルに変えるほどでないにしろ、
最近すっかり陸自づいている当ブログです。

「遊びにきて下さい」


という言葉を真に受け、朝霞の職場まで本当に行ってしまったのですが、
こういう「物見遊山の訪問者」にも、自衛隊幹部というのは
国民への周知理解を深めるためにわざわざ時間を作ってくれるのです。

しかも、広報館を一緒に回って案内し、ガイドも努めて下さるという
破格のサービスぶり。

K1佐と一緒に館内を歩いていたら、広報館の係をしている
自衛官が、わたしたちに向かって

「元パイロットに案内してもらえばもうバッチリ詳しく聴けますね」

と声をかけてきました。
K1佐はCHのパイロット出身で、ヘリ航空隊の隊長をしていたのです。




(洗濯したての香りのする)迷彩ジャケットを羽織ったわたしたちは
そのK1佐に誘われてシミュレータの前に来ました。

なんと、ここにはコブラのフライトシミュレータがあり、
2人ずつヘリの滑空の疑似体験が出来るのです!

シミュレータは事故防止のため周りを金網で囲まれています。
自分で乗っただけなので外から動いているのを見ることはありませんでしたが、
おそらくかなりコクピット部分が大きく動くのでしょう。

乗る前に、荷物を乗降口の脇にあるテーブルに置きます。
手にカメラを持ったまま何となく乗ろうとしたら、
ここの係員である自衛官とK1佐が同時に 

「カメラは持ち込めません」

これは防諜のためとかそういうことではなく、
結構振動が激しいので、カメラを持っていて事故になっては、
という事なのだと思います。
 
シミュレータの動きは岩国の海兵隊基地で、
F−15パイロットのブラッド大尉に特別体験させてもらった
レガシーホーネットのように、非常にリアルに感じられました。
圧力までは再現できないので、こちらのヘリの動きの方が
もしかしたら現物には近いものなのかもしれません。

映像は、基地を飛び立って上空を飛び、適当なところで  
どーーーんと対戦車砲をぶちかまし、帰ってきます。

その瞬間、大変な衝撃を感じました。

このAH−1Sは、ベトナム戦争に多数投入された攻撃ヘリで、
対戦車ミサイル、ガトリング砲、ロケット弾の三種類の武器を搭載しています。

何の説明もなかったので、衝撃が実はそのどれか分からなかったのですが、
一度の大きな揺れだったのでミサイルだということにしました。

シミュレータは横並びに座るもので、操縦席という設定です。

実際の機体は幅が狭く、両手を伸ばせないくらい薄いのですが、
これはステルス性のためです。



中央に展示しているコブラのガトリング砲。

ところで、シミュレータに乗ったとき、映像の前方には

前席に座っている射手の後頭部が写っていたわけですが、
そのヘルメットから上に向かって長く細いパイプが出ているのに気づきました。

何なんだろうなー、と降りてからしばらくK1佐の説明を聞いていると、

「コブラの機銃は、射手のヘルメットとリンクしているので、
射手が攻撃目標を向いただけでそこに弾が飛ぶようになっています」


つまり、あのヘルメットから出ていたパイプは、そのためのもの?

「そちらを向くだけでいいんですか」

「射程目標に厳密に中てなくてはいけないというものではなく、
だいたいの方角にさえ飛べばじゅうぶんなんです」

これは驚いたなあ。
ベトナム戦争の時代からこんな仕組みだったのかしら。

残念なことに、この「ヘルメットとリンクしている武器」が
三つの搭載武器のうちどれか確かめるのを忘れました(笑)

でも、「だいたいそっちに飛べばOK」ってことから考えると、
対戦車ミサイルではなく、ロケット弾かガトリング砲だと思う。


これは、もしかしたら一方で戦車を狙いつつ、
横手から敵が来たらそちらをむきさえすれば同時に攻撃できる、
ってことでいいのでしょうか。



ハイドラ70ロケットランチャー

やっぱりというか、wikiのページにはこの武器について

「ハイドラ70は、無誘導のロケット弾であり、
一度に多数発射して一部が目標に当たれば良いという使い方をされてきた」

と書いてあります。
そちらを向いただけで発射されるのはこのロケット弾のようですね。
(違ったらごめんなさい)

しかし、そのとき取り立てて疑問は感じずK1佐に聴くのを忘れましたが、
こういういい加減な方法でロケット弾を撃ちまくって、問題はないのでしょうか。

たとえば、戦闘中にふとそこを見たら非戦闘員がいたとか民家があったとか。

と思ったら案の定、それは懸念されていたようです。

しかも、wikiによると

「目標が遠距離になるほど命中率は低下する」

「搭載量の少ないヘリの携行弾の無駄な使用に繋がり、
トータルでの運用コストの増加を招いた」

やっぱり・・・。

いかにもアメリカ人らしい、

その辺りに撒いときゃいいんだよ!

どれか一つは目標に当たるって!
え?誤射?こまけえことはいいんだよ!(AA略)

みたいなノリですか。


言っては何ですが、この辺り実にアバウトですなあ。
この後誘導装置を開発したのも、主にその理由はコスト削減のためだったかも。

ちなみにこの「腕」状のものをパイロンといいます。
♪ ああ我ダンテの奇才なく♪ってやつですね。

それパイロンちゃうバイロンや。(←自分つっこみ) 

このパイロンにコブラは武器を搭載するのですが、
蜂の巣状のロケットランチャーの左、
パイロンの外側に装着されているのがTOWランチャー。
TOWとは対戦車ミサイルのことで、

 Tube‐launched, Optically‐tracked, Wire‐guided


の頭文字。

発射筒で発射され  光学的に追跡され  有線で誘導される、

という、機能の説明をそのまま省略します。

アメリカで駐車違反車をレッカー移動することをtow といいますが
こちらとは全く関係ありません。 

パイロンにどちらを外側に付けるかは厳密に決まっていないらしく、
ここのコブラはこういう配列ですが、外側にミサイル、内側に
TOWという配置をしているコブラを見たことがあります。 




コブラの操縦席(前席なので射手席でもある)。
操縦席の幅は99センチ。
人間の身長は両手を広げただけというのが平均。
つまり両手をひろげることもできない、大変幅の狭いコクピットです。

黒い検眼器みたいなものは、TOWの照準器だそうです。

シートカバーは官品でしょうか。
黄緑色をしていますが、これは外側の塗装とコーディネイトしてあります。
右と左に、肘を置くためのクッションを仕込んであるのが気配りです。



K1佐によると、これは防弾ガラスではないそうです。
その代わり?コクピットの両脇は防弾板ががっつり塡まっています。

こんなちょっとで防御できるのだろうか・・・。



「ところで、ヘリの操縦の仕方は基本的に同じなんですか?
たとえば、このコブラ、K1佐は操縦することは・・?」

それに対するK1佐の返事は、

「私はAHの資格(免許と言ったかも)は持っていませんが・・・
もし今、操縦しろといわれたら・・・・(一呼吸置いて)できますね」

おお、現役を離れて何年にもなるのに、この自信と挟持に満ちた
力強い?断言。
そういえばホーネットドライバーのブラッドも言っていたなあ。

「自転車や自動車の運転みたいなものだから、
たとえしばらく遠ざかったとしても体が覚えている」

って。




固定武装であるガトリング砲の弾薬。
そういえば零式艦上戦闘機も20ミリを搭載していたなあ、
と思い出しながらこれを見ていました。



続く。

 



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1 Comments

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しつこくて済みません (雷蔵)
2014-07-18 16:45:45
コブラの搭載武器で対戦車のものはTOWミサイルだけです。シミュレータで発射の衝撃があったのは、おそらくTOWミサイルでしょう。

20mm機関砲と70mmロケットは、K1佐がおっしゃる通り、大体の方向に向けて撃って、その方向にいる敵を牽制するための武器です。

20mm弾や70mmロケットでは戦車の装甲は抜けません。戦車は自分の主砲の衝撃に耐え得る装甲を持つのがコンセプトです。

ゼロ戦の20mm弾は初速720m/sと遅いのですが、コブラや戦闘機、CIWSの20mm弾は初速1,050m/sで、かなり威力があります。初速が1.4倍に向上しているので、威力は二乗の2倍になります。

ゼロ戦は敵機の後ろ数百mまで迫らないと落とせなかったんじゃないでしょうか。今の20mm弾だと対戦闘機で射距離1,000mでも落とせます。

ただ、敵機がバラバラに飛散した場合には、破片が自機に向かって来る場合があるので、落とした。バンザ~イだけでは済まないようです。

普通、Mach 1くらいで空中戦するので、破片の相対速度はMach 2になります。戦闘機は軽く作ってあるので、小さくても当たれば致命傷でしょう。CIWSで対艦ミサイルを撃破しても、自艦もミサイルの破片で傷付く可能性があるのは同じ理由です。
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