ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

令和元年 海上自衛隊 阪神基地隊 第67周年開隊記念行事 後半

2019-06-04 | 自衛隊

 6月1日に阪神基地隊で行われた第67回開隊記念行事についてです。

前回、長くなりそうなので一旦切ったところが、この来賓の挨拶だったので、
つい思わせぶりな書き方をしてしまいましたが、そう書いたのにも
少しだけ理由があって、

政府代表 関西代表 特命全権大使 山本条太氏

はて、大使と言いながらなぜ日本人なのか、と奇異に思ったわけです。
何度か阪基の行事で挨拶を聞いていますが、こういう肩書きを聞くのも初めて。

特命全権大使とは外交使節団の長で最上級の階級である。
接受国の元首に対して派遣され、外交交渉、全権代表としての条約の
調印・署名、滞在する自国民の保護などの任務を行う。
国際連合などの国際機関の政府代表部に対しても派遣される。wiki

その最上級の大使が、なぜ日本におられるのか。

調べてみたところ、山本さんの前職「在フィンランド全権大使」
「在ボツワナ全権大使」「在フィリピン以下略」などと並んで、
「関西担当大使」という配置が本当にあるのです。

まさかとは思うけど関西という地域は政府にとって外国なのか。
よく「大阪民国」というけど、公的にも関西は別の国扱いなのか。

とまあ、いろんなことを考えてしまいました。
(どなたかなぜこんな配置が関西だけにあるのかご存知でしたら以下略)

とにかくその大使で一番偉い山本氏の挨拶から推察するに、
氏はかつて2年間、防衛省で防衛政策局次長であったこと、そして
いっときとはいえ「自衛官」であったその経歴から、大変自衛隊に対して
こういってよければ「思い入れ」を持っておられるようでした。

阪基は行事に関西担当全権大使をいつも招待しているらしいのですが、
今までの山本氏の前任はまず来たことがなかったということです。

すきあらば人の集まるところには出て行って顔を売りたい政治家と違い、
官僚は不特定多数に愛想したところでなんの得にもなりませんから、
自衛隊から招待されていても欠席を決め込む人も多いのでしょうけど、
山本氏の場合は、わざわざお休みの日を割いて出席されたということで、
独断的感想ながら、そこにお人柄の一端を見る思いがしました。

関西担当全権大使には今年赴任されたばかりなので、もしかしたら
また別の自衛隊行事でお姿をお見かけすることになるかもしれません。

阪神基地隊のちょっとしたサプライズはこんなところにも仕掛けられていました。
誰でもが無条件で楽しめるようなアミューズメント企画というわけではありませんが、
ある種の人たちには大変興味深い、イタリア領事のスピーチです。

壇上に上がったのは在大阪イタリア領事、ルイージ・ディオダーティ氏。

ただの、開隊おめでとうございますという挨拶かと思ったらとんでもない、
イタリアの軍の歴史から現代の日本とイタリアの軍事交流に至るまで、
ミニ講演会といっていいほどの演説が始まりました。

しかし、英語で行われたスピーチは、絶妙のタイミングでセンテンスごとに
日本語の通訳が入り、わかりやすい上に、その内容の面白さも相まって、
全ての人が熱心に聞き入っていたようでした。

もちろんわたしもその一人です。

ただし、最初の挨拶が終わった時、背の高いイタリア領事、マイクの位置が低くて
喋りにくそうにしていたので、慌てて自衛官が高さを調整しに来ました(笑)

この時の話を録音しておけばよかったと思うのですが、覚えている限りでは、
まず、イタリアも日本も海に囲まれた海洋国家であり、海の護りという点では
非常に共通点を持って発展してきたということ、
1800年代にイタリアに海軍が生まれ、その発展についての概略などです。

ただ、近代戦争のところに差し掛かった途端、
「その話は今日はしないことにする」
とかいう言い方でスルーしてしまいました。

今度はドイツ抜きでとかの話になるのを避けたのだと思います(ゲス顔)

また、近年のイタリアと自衛隊の交流については、士官候補生の交換留学、
P-1が2機、イタリアの基地を訪れたこと、イタリア海軍のジラルデッリ大将
自衛隊の招きにより6度も日本を訪れており、その際、P-1に体験搭乗したり、
「いずも」を見学したりした、という例を挙げて、

「海洋国家として同じ価値観を持つ両国同士」

絆を深めていくべきだ、ということを語りました。

海上自衛隊のHPより、平成30年の横須賀基地訪問での記念写真。

真ん中がイタリア海軍参謀長、ヴァルテル・ジラルデッリ大将ですが、
なんか可愛いじいちゃんだー。(あれ?もしかしてまだ50代?)
というか、村川海幕長始め、全員ニコニコして和気藹々ですね。

ちなみに、今回初めて知ったことですが、イタリア海軍の正式名称は、
(英海軍の正式名称が”ロイヤル・ネイビー”というような)なんと

マリーナ・ミリターレ・イタリアーナ(イタリア軍事海軍)

というものでした。
ぜひ、声に出して言ってみてください。
(ついアンドレア・ボッチェリの声で再現された)

続いて多数おいでの政治家の先生方が壇上で一言ずつご挨拶。
マイクの前は自民党の兵庫1区選出議員盛山正仁氏。
灘高東大官僚と絵に描いたような関西の「できる子」コースです。

その右、少し前に防衛大臣政務官だった石川博崇氏。
公明スマイルがトレードマーク。

ちらも公明党の三浦のぶひろ氏。
東京工大で博士号を取ったあと、防衛大学校で准教授を務めたことから、
自衛隊への思いを語りました。

マイクの後ろは、尖閣諸島中国漁船衝突事件をきっかけに
政治家を志したという自民党の山田賢司議員。

乾杯に先立ち、主賓の方々が壇上で鏡割りをすることになりました。
スーツが汚れないように(と雰囲気を出すため)全員が
法被をきて壇上に上がるのですが、今や阪基専属と言っても過言ではない
ご当地アイドルグループ、コウベリーズの皆さんが法被を着るお手伝いを。

おじさまたちも同じ着せてもらうなら男性より女性の方が嬉しいでしょうし、
見た目もなんというか和やかでよろしい気がします。

そして、セクとかパワとかの「ハラ関係」が何かと提起され、
こういう役目を当女性職員に命じることすら微妙になってきている昨今、
普通の女の子をセールスポイントにしたアマチュア的アイドルならば、
こういうシチュエーションに普通にはまるので、自衛隊としても
使い勝手がいいというかありがたい存在となっているようです。

しかも彼女らの宣伝にもなるので、みんながハッピー、法被だけに(中の人談)
誰が上手いこと言えと。

「せーの」の合図で木槌を振るい鏡割り。

大関、櫻政宗、いずれも灘の銘酒である西宮の酒造会社です。
阪神基地隊の周りにも、実にたくさんの酒造会社があります。

乾杯のご発声を行なった議員さんは名札が法被に隠れて誰かわかりません。

この日の人での様子がわかる全体写真。
会費制にしたことで若干人数が減ったとのことですが、
そのおかげで皆余裕のあるスペースでの飲食を楽しんでいます。

基地隊司令が挨拶でも告知した、潜水艦カレーの一つ「じんりゅう」。
桜をバックに刀を抜く侍のシンボルがかっこいいですね。

乾杯発声とともにカレーの前には長蛇の列ができました。
「じんりゅう」の乗員が、オリジナル法被着用で配ってくれます。

「そうりゅう」からもカレーが出品されているということで
味を比べたかったので、まずご飯を少なめにし、

「少なめでお願いします。あ、でも具は多めに」

と注文をつけてよそってもらいました。
まずは「じんりゅうカレー」を制覇。
甘みが勝ったコクのあるまろやか系カレー、
たくさんよそってもらった具に残念ながら肉は含まれず、
それだけが心残りでしたが、次行きます。

「そうりゅうカレー」は「じんりゅう」の反対側でお店を出しています。

カレーコーナーの上にはしっかり存在を主張する旗が。

カレーの説明の下に「そうりゅう」そのものの解説も。
航空母艦だった2代目「蒼龍」に触れているのがいいですね。

「そうりゅうカレー」は「じんりゅう」より甘みを感じましたが、
それがペースト状にした桃とパイナップル、すりおろした人参という
隠し味にあることがわかりました。

今度カレーを作るときに試してみたい組み合わせです。

「そうりゅう」の隣になんと阪神基地隊のカレーも出品していました。
なんと、三種カレーの食べ比べができるという特別企画です。

これがある意味今回の行事のメインイベントだったってことですね。

わたしが食べ比べたところ、甘さの点だけでいうと、

阪基>じんりゅう>そうりゅう

の順。
味の複雑さ(色々入っている感じ)はその逆。
海自のカレーにしては三つとも甘さが勝っていて、
甘いカレーが好きなわたしには甲乙丙つけ難いカレー対決でした。

カレーを待つ列はいきなり体育館の端まで伸びてしまい、皆は
カレーの列に並びながら途中のテーブルにあるものを取り、
食べながら待つという光景が展開されていました。

これは緑にきゅうりをセレクトしたうどん。

専用機材で黙々と天ぷらを揚げていました。
わたしは三種カレーに挑戦するのがやっとで、うどんも天ぷらもトライできませんでした。

周りを女性に囲まれていた「じんりゅう」艦長。
潜水艦長は一般的に二佐職です。

また、今回ご挨拶させていただいた中に、あの!
横須賀音楽隊からこの度東京音楽隊に転勤された、海自の歌手、
中川真梨子三曹のお父上がいて、しかもわたしの所属する
防衛団体のうちの一つのメンバーだったのがちょっとしたニュースでした。

いつもステージの上の歌手としてしか存じ上げない彼女の父上から、
彼女が元々はフルートをやっていたこと、大阪出身(夕陽丘)であることなど
興味津々で根掘り葉掘り聞いてしまいました。

前回の観艦式で、わたしは彼女の歌を「むらさめ」艦上で聴いたのですが、
伺ってみると、父ちゃんもすぐ近くで聴いていたことが判明。

「あの時は『坂の上の雲』のテーマソングとか歌ってらっしゃいましたね」

「いや・・・わたし全然覚えてなくて」

それから、今回の三宅三曹とのトレードですが、期間限定で
何ヶ月かしたら二人ともまた元に戻るらしいことを聞きました。

これってすごい内部情報だと思いません?

会を〆る乾杯の音頭を取ったのは、阪神基地隊先任伍長、寺越海曹長。
経歴をチェックしたところ、前職は「かしま」先任伍長でした。

というわけで、無事盛会のうちに終了した開隊記念行事。

地域の政治家たち、ご当地アイドル、そして自衛隊を応援する人々。
この小さな、地域会場防衛の要である基地を支えていくための
コミニュティと、支援に心を尽くして恩返ししようとする自衛官たちの姿を
確認した週末となりました。

 

最後になりましたが、今回の行事参加をお取り計らいくださった
関係者の皆様にあらためてお礼を申し上げます。

どうもありがとうございました。