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バーキン片手に靖國神社

「雪風」進水!

2014-12-05 | つれづれなるままに


とある当ブログ読者の方に、東京模型ショーの入場券を、
例によって名前を明かさずにアドレスだけで物をやり取りできる 
便利な宅配を使って差し上げたことがあります。

今までのやり取りから模型がお好きなのだろうと思い、
それまで裏米でのお付き合いで知っていたメールアドレス宛に
送らせていただいたのですが、そのお礼に、なんと

組み立て前の模型が

送られてきたのです。
東京模型ショーで「たまごヒコーキ」シリーズに萌えまくり、
これが欲しいとお星さまにお願いしたところ、たまたま近くに
模型を作れるお星さまがいたので作っていただけることになった、

ということを模型ショー体験記に書いたら、ちびつながりで
こちらの方は「雪風」を下さったというわけです。



そしてある日我が家に届いた宅配便。
何も考えずにびりりと包装を破ってから気がつきました。
それが「要冷蔵」であることに。

宅配便は冷蔵扱いで配送されていなかったので、

「これはネタとして扱え、とそういう意味であるな」

と送り手の意図を鋭く察知したエリス中尉、カメラを持ってきて
その破いた包装の状態から記録することにしました。
「中山道宿本舗」が一体なんの会社であるかまでは
面倒なので調べませんでしたが、何しろこれも大事なネタです。



要冷蔵の包み紙の下からは、畏れ多くも軍艦旗が!
思わず台所の隅で冷凍庫の上に置かれたその物体に対し
威儀を正し海軍式敬礼をするエリス中尉。

というのは嘘ですが、心の中で敬意を表しつつ、
ついでに

「ネタのためにここまでやるか」

と心底呆れながら、中身を取り出したのでした。



ちび丸艦隊シリーズはフジミ模型というやはり静岡の会社が発売していて、

「大和」「金剛」「赤城」「榛名」「霧島」「武蔵」


という、超有名どころの種類があります。
(今見たら大和は売り切れてました)

ところで、模型の会社がどうして静岡に集中しているのかというと、

その理由らしきことを、先日模型ファンから伺いました。
模型会社というのは、大抵が学校教材の製作会社から出発していて、
今のような素材がなかった時代は、木を使っていたというのです。

静岡といえば、ヤマハ、カワイなどのピアノメーカーが、
ことごとく浜松にあるわけは、浜松が

「比較的木を扱うのに適した気候」

ということもありますが、なんといってもヤマハの創立者、
山葉寅楠が会社を構えたのがここだったという理由が大です。

カワイの創立者河合小市は11歳でヤマハの技術者だった人(!)
ですから、会社をその近所に作ったわけですしね。
ちなみに、戦時中、ヤマハもカワイも、ご時世柄ピアノを作れず、
その間木製のプロペラなんかを作っていた時期があって、わたしは
「河合」と名前の入った軍用機プロペラの写真を見たことがあります。


もひとつついでに、ヤマハの歴史のコピペを貼っておくと、

ヤマハの歴史 
・最初は輸入ピアノの修理→楽器関係作る 
・楽器やってた流れで電子楽器も作る→DSPも作る 
・DSPを他に利用しようとして→ルータ作る 
という流れで、楽器、電子機器、ネットワーク関係の製品を作るようになった。 

発動機・家具製造の歴史

・ピアノの修理で木工のノウハウが溜まる→家具を作る→住宅設備も作る 
・戦時中に軍から「家具作ってるんだから木製のプロペラ作れるだろ」
といわれて戦闘機のプロペラ作る→ついでにエンジンも作る 

・エンジン作ったから→バイクも作る 
・エンジン作ったから→船も作る→船体作るのにFRPを作る 
・FRPを利用して→ウォータスライダー→ついでにプールも作る

つまりこのような会社がひしめき合う浜松には木材が集まる

→小さな木材を使う教材制作会社は便利→そこで営業しているうち
模型が専門になる→教材をやめても会社はそのまま←イマココ

という理由なのだろうと思われます。
多分間違ってないと思いますが、違ってたら誰か訂正してください。

さて、届いた「ちび丸艦隊_雪風」ですが、蓋を開け中を見て、
瞬時にわたしには自分がこれを作る技術も時間も根気もないということを
悟ってしまったのです。
あまりにも絶望したせいで、部品の写真を撮るのを忘れましたが、
今ネタのためにも撮っておけばよかったと激しく後悔しています。

「もしかしたらこれは何かの嫌がらせだろうか」

お礼にもらっておいて、(しかも今改めて値段を見たら結構高い)
この言い草はなんだ、と思われそうですが、そのとき
脳裏をかすめたのがこんな考えでした。


ところで「たまごヒコーキ」を作ってもらえることになった方から
ちょうどそんな時に連絡が入りました。

「たまごヒコーキと普通のバージョンのブラックバードできました」



というわけでうちに嫁入りしてきたブラックバーズ。
たまごヒコーキの方はピトー管ありません(笑)

ピアノの黒の上に置くと、あんまりブラックバードの黒が映えませんね。どうも。



部隊マークや機体ナンバーは実在したものでしょうか。



ついでにこのとき遊びに来ていた、こちらはブラックキャット。

ところで、このブラックバードのやり取りをしている時に、
「ピコーン」と閃いた考えがありました。

「ついでに『雪風』も作って貰えばいいのではないか」

たかだかこんな小さな模型くらい、比較的器用なわたしにできないはずはない。
作ってみれば案外簡単かも?しかも失敗
したらしたでブログネタにもなるし。

という考えもあったのですが、面倒臭さがチャレンジ精神を凌駕しました。
その依頼を快く引き受けてくださった件の「お星様」は、
制作の途中経過として、

 

「あなどれません」

というメールを送ってきました。
それによると

「このフジミというメーカーはタミヤやハセガワに比べると、

パーツの合いが甘いのですが、ちび丸艦隊はなかなかしっかりしています。
デフォルメで武装や電探(レーダー)が強調されていて、
これらのパーツはもっと大きなスケールのキットよりメリハリがあり、
面白いキットです。侮れません。」

それはともかく、わたしはこの説明書に書いてあることを読んで

「自分でやろうなんて早まった考えを起こさなくてよかった」

と胸をなでおろしたのです。

「説明書の番号の部品をニッパーで丁寧に切り取ります」

こんな小さなニッパーなんてわたし持ってませんし。
さらには

「海面に苦労しています」

ということでした。
一応海面模型にもなるので、海面を作って下さろうとしたようです。



ちなみにこんな感じですね。
力作だ~!
思わずボートの中で中腰になっている要救助者もいいですが、
それよりこの湖面のような海面に立つ白い航跡がいいですわー。
こんな海面を作ってくれるのかな?
わくわく。



そして、製造元からは完成した「雪風」と製造元所有の「大和」を並べて
「最後の出撃!」と遊んでいる様子が送られてきました。
ちょっとアスペクト比がおかしいですが、実際の対比も
1キロくらい離れればこれくらいになったのではないかと思われます。
 


というわけで、「雪風」が届きました。
思わず白黒にしてしまったのですが、どうやら製造元では
海面の出来上がりに満足がいかず、妥協を許さない職人気質は
そういうものを人に渡すわけにいかん!ということで、
プラスチックの海面板を送ることにしたようでした。



画像をソフトで加工してみました。



他に海面らしいものはなにかないかと探したところ、「MIKIMOTO」の
ブルーの紙箱が
色といい波といい、ちょっといい感じだったので使ってみました。
ブラーで海面をぼかしたのが冒頭画像です。



ここでふと「水に浮かべられる!」というのを思い出し
ガラスボウルに水を張って浮かべてみました。
よく考えたらこれがこの「雪風」にとっての進水式です。
進水方法は海面に直接進水する「投げ込み式」です。

まっすぐ進まないのでよく見たらなんだか右舷側に傾いております。


 

よくよく見たら、ちゃんとパーツがはまっていませんでした。
それでも全く問題なく浮いているのでバランスとか大したものだと思いました。

武蔵だって進水式の時は最終的には左に触れましたよねー。(←覚えたての知識)

 

しばらく見ていたらだんだん沈んできたのでやめました。
「雪風」は決して沈まず。



他に何かないかと思って部屋を見回したら、昔息子が宿題で
ジオラマを作ることになったとき、その「予行演習」として
買ってきたジオラマキットがあったので、無理やり
川を航行させてみました。

川の真ん中に大きな岩があって、座礁しているところです。



ここまでやって来れたのが奇跡。
「雪風」が船頭多くて山に登るを体現しているの図。

ところで、この「雪風」のとき、わたしは厚かましくも、
別口でもらっていたけどどうしたらいいのかわからない
飛行機の模型がもう一点あったのを思い出し、これも
また託して作っていただいたのでした。



それがこれ。
滑走路がなく、道路に不時着したところです。

複葉機で「報国号」と機体にあることから、
戦時中の寄付で作られた飛行機であることだけわかりましたが、
これがなんであるかは作った方もわからないとのことでした。
ちなみに二枚羽は前後に少しずれている仕様です。

海軍機か陸軍機かもわかりません。

これ、なんだかご存知の方おられますか?



今から不時着するというこの飛行機が、山の頂上に
機体をこすりながら突っ込んでいく様子。

これ、「あゝ陸軍隼戦闘隊」の特撮よりはいい線いってないか?




なぜ墜落させたし。

というわけで、散々楽しませていただきました。
関係者の皆様、本当に有難うございました。
模型の世界って楽しいですね!

自分自身は何一つ作らずにこんなことを言うのもなんですが。