アヴァターラ・神のまにまに

精神世界の研究試論です。テーマは、瞑想、冥想、人間の進化、七つの身体。このブログは、いかなる団体とも関係ありません。

道教の三つのレベル

2023-06-30 03:54:16 | 無限の見方・無限の可能性

◎ジョン・ブロフェルドの事績

 

ジョン・ブロフェルドは、日中戦争の最中に7年間中国大陸を放浪して後、母校ケンブリッジ大学に戻り道教・仏教の研究者になった。当時は、道教の地位低下は既に著しかったが、彼の出会ったさびれた道観の道士は、どうも道を承知していたらしい気配がある。

 

その道観の道士談。

『「あなたが友人の卞道士から見せてもらった『参同契』などの、錬丹術に関する解説書は、よく次の三つのレベルに関連していると解釈されます。

「第一が、丹砂と鉛を不老不死の奇蹟の霊薬に錬成すること。

第二が、自分の身体内のるつぼに黄金の秘薬もしくは胎児ともいうべきものを作り出し、これで年齢と死を克服すること。

そして第三が、性交から得られる成分にもとづいた、やはり内丹の一形態。

 

「このうち第二、第三は、『道』に根ざした同様の原理によって支配されており、政治活動、軍事戦略、個人的なレベルでの平和の達成にも適用できます。というのも、ことの大小にかかわらず、これらはすべて同じパターンやリズムに従って機能するものであるからです。

「わが中国の不思議な古典、『易経』("変化の書"の意)は、まさしくこの基礎の上に立脚して います。つまり、未来は――といっても、特定されているわけではありませんが、――一連の出来事を、未来が所属しているサイクルに関連づけることによって占うことができる、と見るわけです。』

(道教の神秘と魔術/ジョン・ブロフェルド/ABC出版P259-260から引用)

 

第一のレベルは、外丹。西洋錬金術でいう賢者の石。

第二のレベルは、内丹。

第三のレベルは、男女双修、房中術、カーマ・ヨーガ。

 

道経の経典は、無数にあるが、多くは以上の三つのレベルが区分されず混然となっていたり、究極を得ていない段階の修行者が書き残したものであったり、またそれにより間違いを書いていたりということがあるのだろうと思う。それはやはり無数にある西洋錬金術書も事情は似たり寄ったりであって、信頼するに足るテキストは、道教においても西洋錬金術においても極く一握りなのだろうと思う。

 

この道士は、その混乱ぶりを指摘し、真相が那辺にあるかをわかっているところが凄い。ブロフェルド自身の境涯もいい線行ってないとこういう話は引き出せない。

コメント
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