詠里庵ぶろぐ

詠里庵

とある文科省系の人

2005-06-09 22:54:47 | サイエンス
と仕事の打合せ。雑談時に次のようなことを言われました。「あなたは物理を情報通信に応用する研究をやっておられるようだが、あまりテクノロジーが早く進歩しても困るんですよね。昔の巻物に書かれた文字は今でも誰でも読めますが、重要文書を収めた8インチのフロッピー読める機械、もうないですよ。永久に読めなくなったらどうします」云々。単に科学や技術のことだけでなく、社会への影響を考えることも大事だという意見でした。

実は同様な問題意識を持っていました。たとえば「ショパンの手紙」「ジョルジュ・サンドの手紙」などを通じてショパンやサンドの生活の一端に触れることができます。当時は離れていたら手紙しかなかったのですから、かしこまった書簡だけでなく結構人間的なやりとりまで残っているわけです。でも今や全てメールで済ませる時代。将来の歴史的人物がいま直筆あるいはサインしたワープロ文書など普段使っていません。メールやケータイ交信記録が残ったとしても、本人のものだと死後は誰が証明できるんでしょう? ひょっとすると昔の人の交信記録は残るけど、これからの人の交信記録は(確かな史料としては)大部分残らない、ということになるかも。テクノロジーの進歩が文化・人類史のあり方を変えてしまうかもしれません。

ま、文化・人類史まで壮大な話に行かなくとも、卑近なところでも問題は起きています。私なぞ、長らくVHSに抵抗してβビデオテープをわんさか持っているのをどうしてくれる、という感じです。自演紹介コーナーもオープンリールデッキが錆び付いていて難航しています。撮り貯めた8ミリを(8ミリビデオも8ミリフィルムも)今どうやって再生したらいいのか? もし子供や親戚の子が将来大人物になってマスコミが赤ん坊の頃の動画を見せろと言って来ても困りますよね。(なんとおめでたい想像)

初めは無責任なテクノロジー開発をたしなめられるはずの雑談が、いつの間にか意気投合していました。

(三日坊主返上!)
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