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詠里庵ぶろぐ

詠里庵

予言者や占い師

2010-12-04 08:35:21 | サイエンス

は古代で力を持っていたようですが、科学的であるならば予知能力は現代でも、いや未来でも、それが自然科学だろうと社会科学だろうと最も重要な力でしょう。

予測力とともに重要なのは興味力-ものごとに興味を持つ能力-でしょう。この二つは裏でつながっていると思われますが、一方で相補的な面もあると思います。あまり頭が回って先が見えてしまうと、興味が失せて行動できなくなることがあります。大きな発見は既存の専門知識の足りない向こう見ずな研究者によって成されることがよくあります。電子の磁気モーメントをシコシコ測っていた実験家が「あなたはディラックの理論を知らんのか。そんなのeh/2πmcになるに決まってる」と言われて、「私は自分の目で確かめたいんだ」と実験を続けて異常磁気モーメントを発見したなど、枚挙にいとまがありません。

さて、こんな未来予測の科学番組を見つけました。いやこれはあまりに先のこと過ぎて、こんなこと考えても全く先を読む力にならないんじゃないかとも思えます。・・・でもこれおもしろいことはおもしろいと思いませんか?
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「反水素原子」を閉じ込め

2010-11-18 07:51:37 | サイエンス
というニュースが30分ほど前にありました。CERNと理研の共同研究だそうです。

水素と反水素が出くわしたらγ線を放出して対消滅しますが、これで思い出すのは手塚治虫の「鉄腕アトム」の「ミドロが沼」。50年前に読んだ漫画のセリフを結構覚えているのですが、アトムのセリフを紹介しましょう。「反陽子波(アンチ・プロトン・ウェーブ)だな。そんな恐ろしい武器は国連で禁止されているはずだ」(カッコの注も原文のママ)
これを開発した進化トカゲの返しセリフ:「ケケケ。人間どもが禁止してもトカゲは禁止しない」

50年前の漫画ですよ。手塚治虫のなんと偉大なことよ。

(まあ、この研究はとうてい恐ろしい武器にはなりませんが。もっと壮大なSFとしては、反物質でできたM87という銀河がありましたね。)
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上海での話題その2

2010-10-30 23:14:58 | サイエンス
です。中国の研究者達と中華料理を囲んだときのこと。中国側もこちらも大人数だったので大きめの円卓が3つにもなりました。よその円卓がやけに盛り上がっていたので、後で何の話題だったのか聞いたら、驚くべき話を聞きました。

なんでも、同じ大学内で教員の給料が5倍程度の差があるとのこと。教授の中でのことか助教から学長までの話かは聞きそびれましたが、後者だとしても相当な格差です。居たのは教授ばかりでしたから前者の話なのかもしれません。どうしてそんなことになっているのかということも聞きましたが、その主な原因は、海外からの帰国者には海外での給料を保証しているとのことでした。盛り上がっていたのは「おまえ洋行帰りだから5倍もらっているんだろう」などという話になっていたんだそうです。お酒が入っていたから険悪ではなく和気藹藹とやっていましたが。

それが事実と仮定すると、これで一つナゾが解けました。これまで中国から欧米へ(またそれより少数ですが日本にも)留学したり職を得たりした研究者はそのまま海外に居残るケースが非常に多かったのです。韓国もそうでしたが、戻った人は明らかにactivityが落ちていました。ところが、このところ中国の人が中国に戻るケースが目についていたのです。なんでかなと思っていました。

戻った人達は重要職に就いたりリーダーになったりして中国の研究を牽引しています。その研究環境も決して以前ほど悪くはありません。いまや中国の研究はすごい勢いで最先端に肉薄しつつあります。いや、少し先の時点でこの2010年時点のブログに来た人は「なに古い話してるんだ、中国の研究環境はトップじゃないか」ということになっているかもしれません。

さて、それなら日本もそのくらいメリハリつけたらいいのでは?

これは簡単な話ではありません。

日本の研究環境は既に結構いいのです。そんな中で若い研究者がこぞって欧米に行きたくなる仕組みを整えること、これは重要だと思います。欧米は研究環境がよくても、あたかも悪いかのごとくハングリー精神が失われない、という精神環境の良さがありますから。

しかし帰国後の5倍の給料格差というのは極端すぎます。好待遇とそれに付随する期待が過度だと、どういうことが起こるか? おおかたの人はその期待通りに活躍するかもしれませんが、中には「その期待にふさわしい力を持つ人物」を演じ始める人が出て来るかもしれません。「演ずる」とは、酷い場合は捏造に走ったりしたニュースもありましたね。

仕組み作りというのはすごく難しいことと思います。が、これが将来を決めるのでしょう。
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上海交通大学

2010-10-28 23:06:19 | サイエンス
に数日前まで出張していました。有名な大学ですが、一般にはあまり知られていないかもしれません。交通大学という名前は歴史的経緯の産物で、意味は工科大学です。

成田や関空ほど遠い空港はストックホルムのアーランダ空港くらいかと思ったら、上海の浦東(プートン)空港もけっこう遠いのですね。おかげでバスからの景色を長時間見ることができました。上海交通大学も、本部のある上海市街端キャンパスから教育研究中心の郊外キャンパスまで離れています。前者に宿泊し後者に通ったので、この経路も景色をジロジロと見ることができました。

感想は山ほどありますが、二つだけ。今日はそのうち一つだけ書きます。やはりセイタカアワダチソウがはびこっているのですね。いや何のことかと言うと、セイタカアワダチソウというのはアメリカから来た帰化植物です。見た目は悪くないのですが、ススキと生息地競合があってススキを押しのけつつある植物です。日本では郊外を歩いたり新幹線から見たりするとどこにでも見られます。ウチの大学の敷地内でも見られます。「この辺はまだススキががんばっているな」「ここはせめぎあっているな」「ここらは完全にやられたな」などと思いながら原っぱを見ると、なんでもない景色が少しは興味を持って見られます。せめぎあっている原っぱなどは、なにか押し相撲でも見るように手に汗を握ります(オーバーか)。 ちなみに、日本の光景だと思いますが、ウェブで見つけた写真をここに引用します。

そのセイタカアワダチソウを上海郊外でたくさん見かけたわけですが、ではススキと拮抗しているのかというと、そうでもありません。空港へ向かうバスからほんの1箇所だけ拮抗の場面が見られましたが、結構セイタカアワダチソウに囲まれていました。そこで見られたのはススキといっても、ベルヌーイの定理を思わせるシュッシュッと流れるような日本のススキと違って、穂の開き角度が大きく、背も高い感じです。月と団子とススキといった風情ではありません。写真を撮りたかったのですが、このご時世、へたに写真を撮って「そこは軍用地だ」と言われても困るのでカメラを持って行きませんでした。どのみちバスからの遠景はうまく撮れなかったと思いますが。

セイタカアワダチソウがはびこる前はこの上海ススキがはびこる原っぱだったのだろうかと想像しながら、上海を後にしました。
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いやあ、珍しいもの

2010-07-18 10:24:48 | サイエンス
を見ました。小石川植物園で育てられ、いま野外展示されているショクダイオオコンニャク(スマトラオオコンニャクとも呼ばれるサトイモ科の植物)の開花前の様子です。世界で最も大きな花はラフレシアと思っていましたが、花序としてはこれが最大なのだそうです(と言われてもよくわかりませんが)。この個体は小さい方ということですが、今日の状態でも1mは優に越していると思います。あと数日すると咲くということですが、いま日に日に状態が変わっているようです。咲くとこんな風になるそうです。飛来した虫を一度閉じ込めて花粉をたっぷり付着させ次の日に開放して別の花序で授粉させるという実に変わった花で、その二日で受粉が終わってしおれてしまうそうです。はかないところが魅力の桜よりはかないですね。こんな巨大なのに。

この奇妙で美しい植物が絶滅危惧種だそうです。何の変哲もない草だったら絶滅危惧種と言われてもピンと来ませんが、これは見ただけでインパクトがあります。絶滅しないで欲しいものです。
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ルテティア

2010-07-16 01:24:20 | サイエンス

という小惑星の写真
欧州宇宙機関の探査機ロゼッタが撮ったというニュース。じゃがいもとはよく言ったものです。最大直径~130 kmほどだそうですが、写真じゃ大きさの感覚がつかめません。大阪-名古屋とか東京-富士山くらいと思えば、結構大きいですね。多少は引力があって降り立つことができるでしょう。ちょっと星の王子様気分ですが、重力弱くて地に足が着かない感じかもしれませんね。野球とかテニスをしたらボールは脱出速度越すでしょう。

ロゼッタの目的は太陽系生成の研究にあるわけですが、もう一つ、「ルテティアの質量を計測し、密度を算出することにある。地球と衝突の恐れのある軌道に小惑星が入った場合、衝突回避のためその軌道を変えるか、小惑星自体を爆破するかを判断する上で密度を知っておくことは重要」というのもあるそうです。アルマゲドンを思い出しますね。恐竜を絶滅させた隕石が直径10 kmと言われていますから、ルテティアなんかが当たったら・・・残るのはゴキブリくらいでしょうか。アルマゲドンではテキサス州大(直径800 kmくらい)の小惑星という想定でした。これに亀裂深く核弾頭を突っ込んで割るという話でしたが、割れますかね? ルテティアの写真を見ると、つるんとしていて、表面で核爆発起こしたくらいでは割れそうにありません。
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昨日は他大学

2010-07-09 07:55:42 | サイエンス
のGCOEに呼ばれて講演して来ました。その前に挨拶に立った代表者の言葉の中に、悩みがあります、というのがありました。それはいみじくも同じ悩み、いや悩みというより将来に向けての危惧というべきかもしれません。大学院生特に博士課程の院生達が外部での滞在研究になかなか行きたがらないというのです。これでは将来の指導層が、海外に知己がいるとか海外事情を肌で感じられるといったことなく、社会を率いることになってしまうわけです。どこも同じ悩みだなと思いましたが、これは大したことなくはありません。過去に攘夷とか戦争に進んで行ってしまったのもこれです。

原因は何なんでしょうね? 現在のいごごちがいいということなんでしょうか?
あるいは奨励するとかえって意欲がなくなるのでしょうか? 私の年代は「行かせてくれ」と言わないと行けなかったので、英会話がまだまだだけど大丈夫だろうかとか、自分の発表では「あれはダメ」とレッテルを貼られるのではという恐怖心があったところを、それを振り切って行ったものです。

と書いている目の前で「ドイツのフラウンホーファー研究所が大阪に拠点」というニュース。向こうからこういうのがやってくるというのは結構なことですね。これはどうなるんでしょう。ちょっと注目。
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はやぶさ

2010-06-17 23:51:15 | サイエンス
というと、いま話題が二つありますが、イトカワに行った方の話です。無事の帰還、感動をもって受けとめられているようですね。責任者のJAXA川口教授、前の大学にいたときの関係で書類上お名前はよく拝見しました。そうか、こんな仕事をされておられたのか。おそらくいま誰よりも感銘を覚えておられるのではないでしょうか。たぶん、自分を褒めたいというよりは自然に対する畏敬の念として。

この帰還物語、スター・トレックを思い出します。いや、往年のテレビ番組の方ではなくて映画の方ですね。なんでか知りたい人はあらすじをどうぞ。ただし結末まで書いてあるので注意。テレポーテーションの描写で有名なミーハー映画と思うかもしれませんが、コンセプトは2001年宇宙の旅とともにハイクォリティの宇宙映画だと思います。

さて、はやぶさ、早く中を見たいものですが、その前にトモグラフィーで丹念に内部を調べているとのこと。イトカワ上では試料の効率的採取のための打撃装置がうまく働かなかったそうですが、仮に、仮にですが何も入っていなかったとして、それが何だというのでしょう。そのことだけをもって計画続行とか縮小とか言うのでしょうか? 自然は我々の挑戦に応えることもあれば、もっとぶつかって来いよと立ちはだかることもあるのです。
え? 「2位」発言を修正? 遅いっ!

(写真ははやぶさと無関係ですが東京臨海高速鉄道「東京テレポート駅」。最近ここに出張しました。早くテレポーテーションでどこでも出張できるようになればいいのですが)
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「米民間企業の商業ロケット

2010-06-08 21:36:47 | サイエンス
初の打ち上げ試験に成功」だそうです。宇宙もいよいよ官から民へ?・・・将来宇宙探査は民間に丸投げしてNASAやJAXAは成果を挙げたことにするのでは、なんて思った人もいるかもしれません。

そういう危険性は全くゼロとは言い切れませんが、私は産官学の連携がうまく行くことを期待したいと思います。

学生の頃、レーザーは買ってくるものではなく、作るものでした(*下記注)。
今やレーザーは買ってくるものです。下手に「作製する」なんて研究計画を立てようものなら、「そんなヒマがあったら、あなたが作るよりよほどいいものが売られているから、買って来て、その先をやりなさい」と言われるでしょう。で、そういう時代になって光の研究はレーザー製造会社に丸投げということになっているかというと、全然そんなことはありません。「その先」をやるわけです。

研究者が工作室に出入りして新しい機器を作りあげるなんてことは、段々過去の話になりつつあります。今日、とある研究所に出張しましたが、そこはまだ「工作室」というものがありました。大学でも研究所でも工作室が減って来ています。そんなことで大丈夫かと思う一方、進歩と複雑化のもたらす必然という面もあります。これはうまくやらないと研究者は「発注手配師」機器納入者は「業者意識」に陥りやすいかもしれません。

ハイテク機器製造販売者と研究は互いに刺激してうまく絡み合ってこそ科学技術は発展します。これは古くからある話で、そもそもグラスゴー大学相手に実験器具販売修理を営んでいたジェームズ・ワットがいます。彼がいなかったら後年カルノーも熱力学の端緒を切り開くことはできなかったでしょう。ワットの名は電力の単位にもなっています。「業者」の名が重要単位の名前として残ったのです。昔だからこそとはいえ、すごいものです。

ーーーーー
*もちろん当時製品もありました。「Spectra Physics社でしょう?」という声が聞こえてきそうです。もちろんそうですが、日本にもありましたよ。私が使ったのは波長1.15μmのヘリウムネオンレーザー。ヘリウムネオンレーザーといえば当時から赤と思われていましたが、この1.15μmは赤外です。どこの会社かと言えば、NEC。他にもレーザー作っている日本の会社はありました。
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トリノのワークショップ

2010-05-29 01:26:56 | サイエンス
から帰って来ました。今回のワークショップ、講演をinviteされたわりには道案内や宿の手配など不親切で、それと風邪が治りきっていなかったので、往きはなかなか苦労しました。まず宿がトリノ中心部の高いホテルしか残っていなく、結構自腹で足が出てしまいました。ホテルで調べてもらったら会議場はバスで30分と言われ、街で道を訊いても英語が通じない上に、教えてくれる情報は誰もかもすごくいい加減。駅のiだけはまともでしたが、トリノは大きな街のわりにバスセンターがないのでバス丁が複雑に散在していて、当のバスは駅から10分くらい離れた所から出ることまではわかったけれど、iの人はきちんとした場所までは知らない。これは諦めてタクシーしかないかと思われましたが、どんなに高くつくことか。毎日通うことを考えたら絶対バスで行くぞと決心しましたが、切符を売っているというキオスクがどれかわからない。それでもキオスクもバス丁もやっとのことで見つけて、7時半にホテルを出たのにやっと9時半に到着。まるで最小の情報でどこそこへ行けという新入社員訓練さながらのスリルと疲労を味わいました。

しかし会議自体は和気あいあいとして非常にいい雰囲気で、講演した反応もよく、短い滞在期間の割に情報交換もしっかりやって手応え十分の出張となりました。風邪を治す出張にもなりました。

ところでホテルの前の通りは「ラグランジュ通り」。なんでフランス人の名前?と思いましたが、北西イタリアはフランス的な雰囲気もあります。他にはイタリア学者の名前を冠する通りがいろいろありました。ガリレオ通りやフビニ通りやフェラーリ通りなどなど。フェラーリは四次方程式を解いた人でなく車の方かもしれませんが。そういえば新しいマックス・プランク研究所開所式に呼ばれたドイツのエアランゲンにはベートーベン通りやシューベルト通りがあったっけ。「エアランゲンにベートーベン住んだことありましたっけ?」と研究所長に訊いたら「さあ、2時間くらい滞在したかも。いや、関係なく付けてるかも」と言ってました。

日本にも歴史的な著作や人物の名を冠する通りの名前があったらいいのに、と思いませんか? 北斎通りとか源氏物語通りとか。私が知らないだけかな。
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さっきNHK教育テレビ

2010-05-18 23:39:00 | サイエンス
でやっていた視点・論点で桜美林大学副学長のブルース・バートン氏が面白いことを言っていました。日本の大学生が留学しなくなって来たというのです。2001年4万6千人だったのが2008年は2万9千人と大幅な減少です。この影響は深刻で、将来の日本の指導層が外国の物の考え方をせず日本のことばかり考えるようになると。これでは日本はジリ貧を免れないというのです。で、減ってきた理由についてですが、いろいろ風説を挙げては覆し、彼が言うには主に二つあるといいます。すなわち、日本の居心地がいいのでわざわざ留学して苦労したいと思う人が減って来たのと、学生の学力特に英語力が落ちて来て留学の審査で落ちるということを挙げていました。対策として、留学に力を入れている大学に国はもっと助成を、というのが結論で、この辺に若干立場が見え隠れしましたが、流暢な日本語とともに言っていることは説得力があり、思わず拍手を送りたくなるプレゼンテーションでした。

しかーし・・・

頭を冷やして考えると、気持ちはわかるものの全部納得というわけでもありません。

一つは、学部時代に留学することがそれほどいいことなのか?
学問をきちんと理解するには日本語の方が良いという段階があり、私の考えではそれは学部1~3年生です。基礎はこの段階で終わるので、4年生は留学してもいいと思います。ところが4年生は大学院入試の準備もありますし、海外の受入大学の事情としても、欧米大学は卒業研究というのがなく目一杯授業をしているので、あまり都合よくありません。だからやるなら1~4年の全部がいいと思いますが、これでは基礎力は日本にいる学生の方が有利でしょうし、外国での生活や習慣への理解は深まるにしても、ホームステイのような感じで終わるのではないでしょうか。

中学高校から欧米というのもいいですが、家族から離れてまでというのもあります。

だから留学するなら早くてもマスターかなと思います。ドクターならもちろんいいですし、ポスドクはなおのこといいでしょう。その方が生活面だけでなく学問的にも社会的にもハイレベルな面で外国人の感覚を身につけることができるでしょう。将来の日本の指導層がインターナショナルな感覚を身につけないと困るという観点で言うなら、学部生で留学よりもその後で、の方がいいように思います。
(ただし理科系の話で、文科系は学部からでもいいように思います。文科系の人たち自身が言うには日本はまだ自立してないらしいのです。)
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シャガ

2010-05-06 00:48:50 | サイエンス
の群生地が近所にあります。この花の造形美はいつになったらゲノムから数式で説明されるのだろう。群生もいいですけど至近距離で見ると一層感嘆ものなので、真上から失礼してパチリ。色といい形といい模様といい、感嘆を通り越してしまいます。なんでもこれが一日しかもたない花なのだそうです(出典はここ)。明日はもう会えない一期一会なんですね。ほうほう、学名をIris japonicaというのですか。
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アルマ望遠鏡

2010-04-27 23:41:26 | サイエンス
ってご存じでしょうか? 南米チリに建設中の天文観測用巨大電波望遠鏡です。

というと高原に1基の巨大なパラボラアンテナが空を向いている様を思い浮かべるかもしれませんが、これは点在する多数の電波望遠鏡で受けた電波の位相差を利用する干渉計方式の望遠鏡群です。もっとも一つひとつが直径7メートルとか12メートルなので巨大は巨大ですが。詳しくはアルマ望遠鏡のサイトをどうぞ。

分解能はというと、直径18.5キロメートルに点在するので直径18.5キロメートルの超巨大パラボラアンテナと同じだそうで、すばる望遠鏡ハッブル望遠鏡の10倍の分解能だそうです。これで何を見るかというと、宇宙誕生まもない銀河や、星や太陽系のような惑星系の誕生、有機分子などの生命に関連した物質など、光の望遠鏡では見えないものを電波で見るわけです。

ちょうどアルマ望遠鏡に関するテレビ番組が5月1日(土)夜9時からTBSの「世界ふしぎ発見!」(第1142回目)で放送されるようです。
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光子の裁判

2010-04-18 23:58:43 | サイエンス
という話をご存じでしょうか? 「こうしのさいばん」とも「みつこのさいばん」とも読めます。これは朝永振一郎の著作「量子力学的世界像」に含まれる科学エッセイで、ヤングの二重スリット実験で光子がどちらの穴を通ったかを結局決められないんだということを裁判劇に仕立てたものです。

原作は読み物として書かれているので実際にそのまま台本として使って劇になるわけではありませんが、これを本当に劇にしてしまった人たちがいます。もちろん台本はそれなりに変えて。去る4月15日夜、日本大学理工学部駿河台校舎で行われたのですが、詳細は演出を行った渡辺美帆子さんの事務所のホームページまたは日本大学量子科学研究所公開講座のページを参照してください。

私は原作に余計なストーリーやエピソードがごてごてくっついた仕上がりを予想して行ったのですが、逆で、エッセンスだけ劇に仕立てていました。楽器を持ち込むなどの工夫はありましたが、音楽もシンプルで良かったと思います。なかなか感激しました。

ところでこれを監修したのは日本大学量子科学研究所の島田一平氏です。前からこれを劇にしたいと暖めていたそうで、貴重な初演に立ち会うことができて良かったと思います。

ホームページにあるように今日19日(月)も王子で公演するようです。是非行かれてはいかがでしょう?
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僅かにミーハー

2010-04-11 02:50:15 | サイエンス
ですが、十日ほど前長距離移動の待ち時間に本屋で「スティーブ・ジョブス vs ビル・ゲイツ」という本を見かけ、パラパラ見たら2人それぞれのエピソードをそこそこ面白く書いてあるので、買って移動時間中に読んでしまいました。(斜め読みは得意です。和書に限りますが)

ところでこの本で一番重要なこと(と私には思われること)が最後の2ページに書いてありますが、それは学から産への技術移転にも関連してこのところ考えさせられていることと通じているのですが、端的に言えば、日本ではなぜベンチャーを立ち上げる彼らのような人が少ないのかということです。もちろんその答えは「アメリカ人の方が冒険心が強く勇気がある」ではなく、日本が「起業しやすい社会システムにない」点にあります。こういう話題は全く専門外なのですが、それでも「起業しやすい社会システムでない」点が二つはあると思うのですが、その一つが書いてあったわけです。

それは「日本では失敗した起業者が被るリスクが大きすぎるが、アメリカではそうではない」ということです。ではなぜそうなのかということが書いてないのですが、これは具体的には代表者個人保証とか連帯保証人などの制度です。勇気があるないの民族的気質じゃないですね。尤も、こんな制度になっていること自体が民族的気質かもしれませんが。俗に言う「私財をなげうって」を美談にしてはいけないと思います。もちろんそういう人は偉大ですが、美談にする→今後の起業家にも要求するという面がありますから。それでは起業できないのが当たり前です。

もう一つは、その本には書いてないのですが(本の目的が違うから仕方ないのですが)どうも投資家がヘタクソなんだと思います。ジョブスやゲイツのような人が持ってくる企画を見抜けず、リスク分散のため他のどうでもいい起業家にも投資を分散させているみたいなんですね。日本の投資家は。

さて一番目の問題点に戻ると、代表者個人保証とか連帯保証人などやめたら?と日本の銀行に言っても社会の仕組みはすぐに変わらないでしょう。しかし事は急を要するので、この際国がそういう投資家になるのがいいと思われます。その際重要となるのは、「見抜く力」でしょう。これを育てる必要があります。つまりベンチャーを育てるにはベンチャーを見抜く・評価する人材を育てなければいけないわけです。何事もそうで、音楽家を育てるには才能を見抜く・評価する人がいるかいないかが大きいのと同じです。ショパンやドビュッシーの才能が花開いたのはもちろん彼ら自身に才能があったことが第一ですが、それを見抜いて、見抜いただけでなくプロモートする力を持った人々が近くにいて、受け皿となる制度もあったからです。同時代の日本に生まれていたらああはならなかったでしょう。さてベンチャーを見抜きプロモートする人を育てるにはどうするか?・・・と、眠くなったので今日はこんなところで・・・
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