ペンギンの憂鬱

日々のうだうだ~読書と映画と酒と料理~

火花/又吉直樹

2016-01-22 | 読書
お笑い芸人二人。
奇想の天才である一方で人間味溢れる神谷、彼を師と慕う後輩徳永。
笑いの真髄について議論しながら、それぞれの道を歩んでいる。
神谷は徳永に「俺の伝記を書け」と命令した。
彼らの人生はどう変転していくのか。
人間存在の根本を見つめた真摯な筆致が感動を呼ぶ!
「文學界」を史上初の大増刷に導いた話題作。

=========================================================
うん、芥川賞っぽい作品だね!

いかにも太宰とか梶井とかの影響を受けているんだろうなーという、
うまく生きられない人間失格系の人の話!(
…というと身も蓋もないけど、でも純粋に、こんな文章書けてすごいなーと思う!

私たち一般人には分からない、人生をかけた「笑い」の追求。
又吉だからこそのテーマだし、考え方なんだろうな。
そういう意味でも面白かったです。

漫才コンビも色々でしょうが、次回からM-1とか見る時には
もっと居住まいを正して、コンビの裏側に潜む人間ドラマなども
透視しながら、真剣に見てみよう

ただ、ひとつ言わせてもらえるなら、あのラストは何だかなー。。
ちょっとエグかった。
個人的には、もっと他のやり方があったんじゃないかと思いましたが。
他の方の評価はどうなんでしょうね。


⭐︎⭐︎

死神の浮力/伊坂幸太郎

2016-01-22 | 読書
一年前、一人の少女が殺された。
犯人として逮捕されたのは近所に住む二十七歳の男性、本城崇。
彼は証拠不十分により一審で無罪判決を受けるが、
被害者の両親・山野辺夫妻は本城が犯人だということを知っていた---。
人生をかけて娘の仇を討つ決心をした山野辺夫妻の前に、死神の千葉が現れる。
(「BOOK」データベースより)

==========================================================
んー、いいね千葉さん、再び参上

7日間、対象の人間を観察し、その人間に死を与えることは
「可」であるか「見送り」であるかを判定。
その仕組みも何だかズレてる気がしないでもないけど、
今回は「寿命還元キャンペーン」ってのも笑えたね!
情報部(死神の情報部ってのもシュールだけど)が、早死にする若者を多く
出しすぎたので、バランスをとるためにちょっと手心加えて寿命延ばしても
いいよ、みたいな。

人はいずれ必ず死ぬ。誰も逃れられない。
当たり前のことを、伊坂ならではの軽快なテンポとユーモアのある会話で綴る、
死のおとぎ話って感じかなぁ。

それにしても、千葉さんのピントのずれた会話がツボです。(参覲交代とか!
あとちょっとで良い人になれそうなのになぁ~、千葉さん、残念。
でも、そこはやっぱり死神なのね。死を与えちゃうのね(笑

読後感も爽快!

人は死ぬんです。
でも、それをバッドエンドではなく、ハッピーエンドにすることこそが、
素晴らしい生き方なんだろうな。


⭐︎

ヘヴン/川上未映子

2016-01-22 | 読書
<わたしたちは仲間です>――十四歳のある日、同級生からの苛めに耐える<僕>は
差出人不明の手紙を受け取る。
苛められる者同士が育んだ密やかで無垢な関係はしかし、奇妙に変容していく。
葛藤の末に選んだ世界で、僕が見たものとは。
善悪や強弱といった価値観の根源を問い、圧倒的な反響を得た著者の新境地。
(文庫裏書きより)

=================================================
いじめと拷問のシーンは生理的にすごく嫌いなので、普段は選ばないんだけど
前回の川上さんの小説がすごく良かったので、2冊目を読んでしまった…
うーーん。どうかな。
百瀬が言うところの、いじめる側の理屈とかも、すごく理不尽ではあるけど
分からんでもない。
こんな人生達観した中学生いないでしょ、って感じだけど

僕とコジマの関係だけを見ていると、とても穏やかで優しく、
若くて脆くて純粋な2人って感じなんだけど
中学校という子供達にとって唯一の閉ざされた世界の中に置かれると
平和な時間は続かない。
苛めという罠にかかってしまっては、どうやっても抜け出せず、お互いを助け出せず
ただ崩壊を待つばかり。

コジマにとってのヘヴンは、一体どんな絵だったんでしょう。
それで彼女は救われることがあったんだろうか。

やっぱりこういう類の小説は読むのが辛いな、もうやめとこ。


⭐︎⭐︎