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能ある鷹

2012年08月24日 | 命の生き方
「能ある鷹は爪隠す」という諺があります。言わずと知れたことです。優れた能力の持ち主は、それを他人にひけらかしたりはしないという意味に使われます。鷹が爪をむき出しにしていたのでは、獲物から警戒されてしまいますから、本当に狩りの上手な賢い鷹はあたかも自分にはそんな爪は持たないかのような顔をしておいて、ここぞという時にいかんなく本領を発揮するというものです。

一方、現代では、かのホンダの本田宗一郎氏が「能ある鷹は爪を隠さず」と言われたとか。本田氏が言うのには、実際に手腕を示さなければ、本当に能力があるということが人に伝わりません。出来るなら実際にやってその結果を見せよというものです。本田氏は「人生は『得手に帆を上げて』生きるのが最上。」だとも語っておられます。自分が何が得意かということを、上司にアピールすべきだという事で、確かに現代を生きる知恵かもしれません。

ただ、本田氏は敢えて「能ある鷹は爪隠す」という有名な諺のパロディーとして、インパクトを強めたかっただけで、本来の意味とご本人が言わんとしておられることの違いはしっかりと押さえておられたと思います。才はいかんなく発揮すべきです。仕事では、結果が全てなのですから。それと「爪」とは別次元です。仕事には絶対の自信を持ってバリバリとこなしていたとしても、「俺は仕事ができるぞ」的な傲慢さを微塵も見せず、謙虚にふるまう人は魅力的です。

能力は本人の持つ力ですが、評価は他人がするものです。真に力を発揮している人は、いやでも他人がその能力を認めますから、自分で吹聴する必要など生じません。自らの力を誇示して見せなければ、他人に認めてもらえないと思う人が、必要以上に自己アピールを繰り返し、それは傍から見ていると、とても格好が悪いものです。哀しいかな、当の本人は、自分の力が足りないことにも、自分を誇示してみせることが更に自分の値打ちを下げていることにも、気づいていないのが大抵です。



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