11月になって、今年も庭に"落ち葉の絨毯"が、敷き詰められた。
見上げると黄葉が眩しい。ホッとする秋景色。
リクライニングシートにカラダを沈め、眺めていると、このまま死んでもイイか、とも思う。
今はもう税金も年金も払っていない、"お上"にとっては、何の価値もないニンゲンなンだろう。しかしシブトク生きている。
ふと気づくと、窓枠の端を横切る"頭"が二つ。よく見ると、作業服姿の若い男女。庭を横切り南側の私道から、ススキが茂った空き地へ入っていく。
「ナンヤ、アイツら?」、表に出ると、北側の公道に安曇野市のライトバンが止まっている。要するに市役所の職員らしい。
ヤツらは、東側の私有地の庭を巡り、戻って来た。
「スイマセン、直ぐ動かします」、確かにそこに停められると、隣のМさんもお出かけ出来ない。
「いや今はジャマにはならンけど、でもこの辺、柵や門はないけど、ヒトの敷地やから勝手にズカズカ入るのはマズいよぅ」
「スイマセン、松枯れの木ぃ、調べてましてぇ、住民から連絡があってぇ」、と地図を見せた。
ウチの北側と東側の2本は判ったそうだが、南側の空き地の外れにある木が判らないらしい。
何もすることがないヒマなワタクシ、頼まれもしなかったが、一緒に探した。
「多分、アレだと思うンですけど」、それは南側の別荘の南端にあった。
しかし私有地にある木を、他人からの連絡で市役所が処理できるンだろうか。
まぁ、ウチの北側の1本が枯れ朽ちて、この小屋に倒れてきても、屋根の端が一部ヘコムむだけなので、気にしないことにする。
木に囲まれて生きていくというのは、そう言う事なのだ。
ここは別荘地、普段は人がいない。ほとんど会話はない。よってこの市職員の訪問は、久しぶりの会話になった。
現役時代は営業であり、客と喋らないとモノは売れない。要は喋るのが仕事、しかしベラベラ喋るのは好きではなかった。
独り暮らしは20年近くなり、仕事を辞めて10年程、その間ほとんど会話はしていない。よってこの時の会話はホントに久しぶりだった。
ワタクシが神戸から5年前、ここに移住したと言うと、女性の職員は、昨年、兵庫県から来たと言う。
「豊岡にいました」、オネエチャンとの会話も久しぶりだ。ナンカ楽しい。
まぁなんとか、楽しく世間と会話は出来るらしい。
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