蒼ざめた馬の “一人ブラブラ、儚く、はてしなく”

山とスキー、車と旅、そして一人の生活

梅雨どきの芸術家

2019-07-12 12:39:33 | 信州安曇野での出来事

長野も日照時間が平年の半分以下だそうで、陽が射さないので、朝夕はとても涼しく、隣人Mさん宅はまだ炬燵を出しているとか。

ワタクシにとっては、これぞ信州の夏、アリガタイと思うのだが、近々信州もフツーに暑い夏になるハズ。
昔、信州で一番暑かったのは上田だったそうだが、最近は「穂高になりましたヨ、ホント暑い」と、Mさんの奥さんは、雑草を抜きながら嘆いている。

カッと陽が射さないので、切株の処理は進まず、庭に出ることも少なく、気付けばウチの庭も草木がボウボウ。そろそろ抜かないといけない。

 しかしチョットの時間では大して片付かない。それ以上時間を掛けてやろうとすると、数分でヤブ蚊の猛攻に遭ってしまう。雑草抜きはヤブの中なので、ヤブ蚊の猛攻は仕方ない。
ジックリやるには、顔と首に虫除けをスプレーし、手袋を嵌め、汗だくになってもイイ恰好に着替え、それなりに準備が必要だ。

今にも降り出しそうな雰囲気、さて今日はどうするか。

と、言ったどうでもイイ様な思案をしていたら、ガス検針のオバサンがやって来た。

このオバサンを正面から見たことはない。いつもスゥ~ッとやって来て、検針票をポストに入れ帰っていく。
オバサンはこの日もポストに向かおうとしたので、「ここで貰いますワ」と言った。オバサンは「すぐ出てこないンですよ」と、タスキ掛けした端末機(?)を、ジ~ンと操作しながら応えた。
そして庭に転がしている切株を眺めながら、どんな“作品”が出来るのか、と訊いてきた。

作品?、色々話すとオバサンは、ワタクシが株を削って、何かのオブジェを制作している芸術家だと思った様子。
そう言えば以前も、ここで絵でも描いているンですか、と言われたコトもあった。
周囲には、画家、芸術家のアトリエ、ギャラリーを兼ねた住居が点在していて、秋には各宅で“作品”を展示し、それらを観て廻るイベントをやっている。

ワタクシは髪の毛はボサボサ、髭を剃るとかの手入れをしていない。それを神戸の口の悪い友人は、ホームレスの様だ、と言った。
しかし信州・安曇野の“良識”人は、芸術家と言う。当然、悪い気はしない。とは言え、ホームレスも芸術家も無産階級、そしてワタクシも今は無産階級、上等だ。

「イヤ、この小屋を建てる時に伐採した株を、処分するには別に金がかかる、と言われ、自分で解体し燃やしてるンですよ、全部で24個あって、あれが最後です」と、オバサンには説明した。
オバサンは「でも全部片付いちゃったら、チョット寂しいですね」、と言って帰った。 

 解体途中のクヌギの切り株、雨続きで2週間程放置したまま。オブジェだと言われればそういう気もする。そしてこれが燃えて無くなれば、確かにチョット寂しいかも。