蒼ざめた馬の “一人ブラブラ、儚く、はてしなく”

山とスキー、車と旅、そして一人の生活

春から夏の復活、と言うか3つの修理記録-その2

2013-08-11 09:50:29 | 朽ちゆく草の想い

レコードプレーヤーは、10年以上、イヤもっと前からかも知れないが、動かせずにいた。
ターンテーブルのベルトが延びていて、交換したいがもう廃番。時代はCD、このメーカーのレコードプレーヤーの関係は全て廃番になっていた。

しかし、LPにはまだまだ聴きたいノがある。
プレーヤー自体を買い替えれば、それで済むのだが、針は今でも手に入るし、ベルトも何とかならないものかと、以前からネットで調べていた。
そして、昨年秋やっと見付けてプレーヤーは復活した。

当然LPも復活、ほとんどが50年程前に20歳代の黒人が演奏しているモノ。ほとんどの人はもう亡くなっている。しかしやはりイイ。

5月頃からほぼ毎日、数時間ジャズ喫茶状態だったが、6月半ば頃にオカシクになった。

テナーサックスの音が、ブォ~からブォ~ォ~と聴こえるようになり、その後、全ての音が間延びした様になった。杏里チャンの澄んだソプラノも、風邪を引いた様なアルトに聴こえる。

エエッ、またベルトが伸びたの?1年も経ってヘンのに。イヤ、モーターの音もヘンにおかしい。

このプレーヤーは、40年程前のモノ。
針、ベルトは何度も替え、ターンテーブルのシャフトもかなり前だが一度替えた。
モーターの軸関係がもう寿命なのか。
しかし、毎日ズッと2時間/日廻して40年でも、3万時間弱だから、まだまだ寿命ではないはず。

そして、ベルト以外に延びると言うか、劣化するゴム部品があることを思い出した。それはモーターの取り付け部にあった。

052 この灰色の部分、モーターの固定用プレートが本体天板から延びたロッドに3ヶ所、スポンジ状のブロック、ワッシャを介しスナップリングで付けられている。

048 劣化してプヨブヨになっていた。

053 1ヶ所は朽ち果てチギレ落ちていた。

つまりモーターは水平に取り付いておらず、軸はターンテーブル側に傾いていたようだ。

057 とりあえず全てを取り外した。しかし、どうしましょ。

モーターの取り付けプレート(1.2t)には11Φの穴があいている。プレーヤー本体(天板)からは4Φのロッドが延びていて、先端6.5mmは5.5Φになっている。
要は、プレートを6.5mm程持ち上げ、11Φと5.5Φの隙間を埋めるスポンジゴムの塊があればイイようだ。

色々調べると、この部分もグロメットと呼ばれているらしく、今でもベルトドライブのプレーヤーを作っているメーカーの部品はあるらしい。しかし、当然サイズが合わない。
一般的な配線用のグロメットも探して見たが、近いサイズのものすらない。

グロメットと言う事は、3つのパイプ状プロックの貼り合わせでも作れるハズだ。
長田や兵庫のゴム屋サンで作ってもらえないか、ゴム工業会に訊いてみた。しかし、そんな少量のテマに対応してくれるゴム屋サンなど、もう一軒もないとの事。さて、どうしましょ。

もう廃棄するしかないか。
今でもベルトドライブにこだわって作り続けているメーカーが、スイスにあるらしい。ベルトドライブは、モーターの振動がターンテーブルに伝わらない、と言う利点があるそうだ。そのメーカーのハイエンドは自動車が買える程の価格らしい。
それに買い替えるか。一瞬その気になった。

そう言えば、アンプもチューナーも健全ではない。
アンプのパイロットランプは点かないままだし、ミュート機能は効かないし、チューナーのバックライトは消えたまま、AMはいつのまにか受信しなくなった。
40年以上前のモノだから仕方ない。

順次新替えするか。かなりその気になった。

しかし、もう一人のワタクシがツッコミをいれてきた。「順次モノ棄てていかンといかン歳になったオヤジが、ナニ考えトンねん、ドアホッ!」

取りあえず、プレートを6.5mm程持ち上げてみることにした。

ホームセンターを数10分ウロウロして、水栓こまパッキン(4t)と滑り止めクッション(2t)を見付け、それを重ねることにした。
作業はこまパッキンの穴(5Φ)を5.5Φに丸ヤスリで広げるだけ。滑り止めクッションは十字に切り込みを入れただけ。

063 これでモーターは適正な高さに水平に取り付いたハズだ。しかし、ロッドとプレート穴の隙間は埋まっていないので、横方向の位置は適正かどうかは判らない。取りあえずこの状態で廻してみた。

テナーサックスはブォ~に戻り、杏里チャンの歌声は澄んだソプラノに戻っていた。滑り止めクッションが横方向を適度に拘束しているのかも知れない。

その後1ヶ月程使い続けているが、今日もFreddie HubbardとEric DolphyのパックでRoy HaynesとPaul Chambersは昔と同じ、多分正確なリズムを刻んでいる。
アームも自動で適正な場所に針を落とし、終われば自動で元に戻る。

しばらくはこのまま使う事にする。

しかし、30年前のロンジンといい、40年前のレコードプレーヤーといい、なかなかシブトイ。プレーヤーの修理に使った材料費はたった8百円程。
消費文化、買い替え文化に、二つで必死に抵抗している様だ。