~Agiato で Agitato に~

再開後約20年になるピアノを通して、地域やほかの世代とつながっていきたいと考えています。

弦楽合奏を聴いて

2006年10月29日 00時25分34秒 | 交響曲・管弦楽曲等
某区民文化センターで、友人の所属するアマチュア弦楽合奏団の演奏会を聴いてきた。
前半が名曲シリーズ、後半がイギリスの作曲家ということで、後半に非常に興味があったのだが、
全部聴くと子供二人が空腹で発狂すると思われ、前半だけ聴いて帰ってきた。

<前半プログラム>

「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」より第1楽章(モーツァルト)
「G線上のアリア」(バッハ)
「アニトラの踊り」(グリーグ)
「亡き王女のためのパヴァーヌ」(ラヴェル)
「カヴァレリア・ルスティカーナより間奏曲」(マスカー二)
「リュートのための古風な舞曲とアリア」より第3組曲(レスピーギ)

いずれ劣らぬ名曲ぞろいだ。
この中で私が個人的に関心があったのは「アニトラの踊り」と「亡き王女のためのパヴァーヌ」。
「アニトラ」は連弾で、「亡き王女」はソロで弾いたことがあり、どちらもほんとに苦労した。なにで苦労したかというと、弦楽でやるところの「ピチカート」でだ。
「亡き王女」のほうは、ピアノが原曲なので、なぜそこまで苦労を・・と自分でも思うのだが、ラヴェル自身の編曲でやはりピチカートが使われているとすれば、やはりそのイメージは見過ごすことができない。
ピチカートは音であって音でないように思う。音程を伴なった空気振動(すべての音がそうだと言ってしまえばそうなのだが)。
なので物理的にピアノでは難しい。いくらピアノを「弾く」といったって、それは「弾く(ハジク)」行為ではなく、「打つ」ことにほかならないからだ。

集団でピチカートをすると、音というより「うなり」が生じる。
たぶん、録音で拾いにくい種類の音だろうと思う。
「アニトラ」では、あたかも洞穴に反響するような、怪しげで隠微な雰囲気を生む。
「亡き王女」のほうでは、神殿の遺跡に風が通っていくような、遥かな時間を感じる。
どれだけこういった効果をピアノから出してみたいと願ったことだろう。
そういう意味で、今日の演奏をつぶさに観察しつつ、ちょっと嫉妬に近いものも感じていた。

それと、一気に頂上に向かう息の長いボーイング。これも羨望の対象だった。
オーケストラはよく見聴きしているつもりなのだが、どういうわけかオケの場合は管楽器や打楽器を見ている時間が長いようだ・・ということに今日気付いた。
考えてみれば弦楽器のみの集団の動きをじっと見ることなどあまりなかったのだ。

たぶんこういうお客は奏者にとってはイヤな聴衆かもしれないが、
大変勉強させていただいた。
レスピーギについても、いろいろ刺激を受けたのだが、長くなるのでこのへんで。




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4 コメント

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Unknown (Iくち)
2006-10-29 12:27:29
昨日、コンサートに行けませんでしたが、

素晴らしかったようですね。

ピッチのアンサンブルは弦、独特でステキですねー

マーラー2番の2楽章は御存知?

弦のアンサンブルの極致?ですが、

ピッチの場面では必ず泣かされます。

空気が振動してハーモニーがその瞬間にパチッと。

マエストロのO氏。

十\六分音符の場面で、泣きそうな声で「ビブラート」を連発。

技術的に高度でしょうが、「はじく」のではなく、

やはり歌ってるんです!

泣かされる訳ですね。
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高度な技術 (仮装ぴあにすと)
2006-10-29 23:11:41
マーラーの2番の2楽章はすぐには思い浮かばないです。あとで聴いてみます。



ビブラートで思い出しましたが、

Iくちさんのおっしゃるマエストロとは別のO氏、

ある曲の高速グリサンドのところでなんと「一音一音にビブラートを!」と。

全員がアマチュアの諸氏、一瞬ポカンとした後に大苦笑。

これってピアノでたとえるとどんな技術でしょうか?

ちょっと思いつきませんが・・・。



単に「はじく」「すべらす」ではなく、一音一音に表情がついてこその音楽的表現だということでしょうね。



ピアノもしかり・・・・
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ピチカート (かじやん)
2006-10-30 06:34:23
こちらの弦楽合奏団は、娘の高校のオケ部に指導に来てくださっていた方が所属されていると言って娘も行きたがっていたんだけど、都合がつかず、残念でした



ピチカート、私も7番2楽章でその弾き方を教えていただきましたが、全然上手くできません。難しいですね~~

高速グリッサンドにビブラートを!想像もつきません



弦のピチカートは大好きです

前に行ったオーケストラのコンサートでアンコールがチャイコの何番かの3楽章で、弦がピチカートでした

綺麗でした



今日はよろしくお願いします♪

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おつかれさまでした (仮装ぴあにすと)
2006-10-31 00:50:04
講座にランチ、お疲れ様でした。

H先生のお話も弦楽におきかえてのお話が多いですよね。



実際、楽器を間近で見たり触れたりしてみないとピンとこないことも多いのですが、

鍵盤の上だけでああでもないこうでもない、と考えていたことが、

別の楽器にたとえられた瞬間に「はっ」と解決することってよくありますよね。



私は以前、モーツァルトのソナタをステップで弾いて、コメントに書かれたひとことで「はっ」と思い、また別の機会に指揮の先生にひとこと言われて「はっ」と思いました。

でも、この2回の「はっ」でかなりモーツァルト好きになりましたし、弾いてて楽になりました。



かじやんさんはお子さんがバイオリンとクラリネットをされるので、環境的にもほんと素敵です。

これからもいろいろご一緒させてくださいね。

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