once in a blue moon

.:♪*:・'゜♭.:*韓国で子育て.:♪*:・'゜♭.:*

レ・ミゼラブル(레미제라블)

2024-07-12 | ミュージカル・演劇・コンサート

2023年12月2日~2024年3月9日(計6回観劇)


2023年10月から約1ヶ月半、釜山公演を行い12月から約3ヶ月のソウル公演がありました。
その後、3週間ほどだったか大邱公演まで。

私の推しチェジェリムさんが韓国レ・ミゼラブルのオーディションを初演から受け続け
三度目の挑戦にして主役、ジャン・バルジャン役を射止めファンとしても嬉しいキャスティングとなりました^^

実力主義のレ・ミゼラブルのオーディション

2021年にオーディションの告知を見てからジェリムさんの合格を信じて待っていましたが
長年やりたいと言い続けていた夢の作品に推しが選ばれ
さらに同時期にオペラ座の怪人のファントム役にも抜擢、出演されていて
彼が頑張って夢見てきた作品二作の出演決定だったので本当に嬉しかったです。

でもめったに上演しないオペラ座の怪人とレ・ミゼラブルの主人公に同時抜擢
かけもち出演をおもしろく思わない人々もたくさんいましてそれはそれは非難もあびました^^;

それでも、声楽出身で大学院で演技も学び
名実共に努力しオーディションで役を勝ち取りキャリアを築いてきたトップ俳優のひとり
ミュージカルの制作会社はもちろん
本国カンパニーからもかけもち出演を正式に認められてのキャスティングなんです
ズルいという個人的な幼稚な妬みで文句言われるのは滑稽ではありました。
分かりますけどね、ほかの俳優さんにチャンスをていうのは。

でも、じゃあ彼以上に歌え演技が出来るのか?って問題で。
ズルいと思うより実力を磨きチケット売れるだけの俳優になれば良いのではと私は思います
複数作品にかけもちしても尚、キャスティングしたいと各社が思う俳優さんになれば良いだけなんです。
ジェリムさんだってレミゼやりたく3回目の挑戦でジャン・バルジャン役を射止めたんですよ...?????

と、何を言われようと自信満々に飄々と仕事をされる我が推しジェリムさん
感じ悪いと言われていますが(顔も怖いし)私は努力を怠らずチケット代に見合うパフォーマンスをみせてくれるから大好きです(ヘタクソに支払うお金は私にはない←私も感じわるい 笑)

しかし1月末にコロナ感染され2作品でキャスティング変更を余儀なくされさらに猛非難をあびました^^;
コロナにかかる前から声帯もへとへとで普段なら絶対にやらない音程外しも私も目撃しました
どんなに体調不良でも声帯コントロールだけは韓国ミュージカル界トップクラスだったジェリムさんが
不調により音をはずすなんて前代未聞でして
多くの方々が怒り、返金要求もされていました(結局返金されず。これは良くないし失望でした。)

と、まあレミゼラブル出演はジェリムさんの長年の夢だった分だけ
良かったり悪かったり反響も様々でファンとしてたくさん心配はしましたが
わたし個人的には全くレミゼの話が好きじゃなく(笑)
やっぱりおもしろくもなくてジェリムさんが出演されない限り今後もうレミゼは観ないだろうな~と思いました^^;

日本で日本人として育ってきた私には革命もキリスト教の教えも共感できる知識も要素もないです(高校はミッション系だったので聖書は学びましたが)

改めて、日本で何十年もレミゼを上演している意味が分からなくなりました
日本人にとって、レミゼは壮大なファンタジー的な話なのかな?
バルジャンの慈悲とか学生たちの革命とか私の知る日本には共感する要素ないんですけどね...。
想像はできますが肌では感じないと言いますか...

一方、独裁政権だったり民主化のために革命をおこし民主主義を勝ち取ってきたここ韓国では
若い世代すらも民主化の大切さをよく知っていて関心も高く
観劇中の集中力も視点も日本人である私には理解の及ばないものが沢山ありました。


キリスト教の多い韓国ではジャン・バルジャンが歌うBring him homeも
神への祈り、讃美歌のように捉えてる方も多いなと感じました。

ジェリムさんのバルジャンはこのBring him homeを敬虔な祈りというより
神に挑むように歌われていたのが印象的でした。

一幕の独白で

ジャン・バルジャンは死んだ
新しく生まれ変わるのだ

と、歌います。
彼なりに善を積み魂を贖う努力をしてきたような粗野でがむしゃらな人間くさいジャン・バルジャンでした。

生まれ変わった(勝手なやり方)魂が救われるために
市長になったりコゼットを引き取ったりがむしゃらに善を徳を積もうと生きてきたバルジャンが
革命軍にいるコゼットの恋人マリウスをながめながら
どうか彼を家に帰して欲しいと祈り歌うのは偽善であり利己的なんだけど
彼なりの精一杯で神に挑むような歌いかたは荒々しいけど本当に「祈り」のように感じました。
独創的なキャラクター解釈で有名な俳優さんですが
私はやっぱり面白い俳優さんだなあと思いました。

ドラマチックに聖人のようなバルジャンに変わるんじゃなく
常に殺伐とした空気を纏い鋭利な目つきだったのもヨーロッパの狼みたいな印象で面白かったです。

それでいて途方にくれたように主よ、と歌う姿は迷える羊そのもので
ジェリムさんがレ・ミゼラブルの物語を「善も悪もない」と解釈され
バルジャンを狼であり羊であると表現されていたのは流石だなと感嘆でありました。

バルジャンがジャベールを逃がす時にジャベールに틀렸네. 넌 항상 틀렸어(間違っている。お前は常に間違えている)と言うのですが
その言葉はバルジャンが自分自身に言っているように聞こえ
バルジャンとジャベールというコインの裏表のような人物像をうまく表現されていたのも印象的でした。



このシーンは善きサマリア人を思い出すシーンでバルジャンもジャベールも迷える羊の一匹に過ぎない
でもこの瞬間、キムウヒョンさん演じるジャベールは実はバルジャンが一匹の羊で
自分は99匹の一匹に過ぎなかったと覚るような演技をされていたのが興味深かったです。

ジャベールにとってバルジャンは羊の皮をかぶった狼だったのに
善きサマリア人のようにジャベールを隣人として扱い解放する
それはジャベールにとって余りにも道理にかなわず不名誉な事だったのかな、と
当惑したような表情をされていたのが忘れられません。

そこからのジャベールの自殺はバルジャンのいる世界へいることが堪えられない、不愉快だ
一刻もはやく世界から決別したいという狂気がみえソウル千秋楽では
一番の拍手と歓声をウヒョンさんはもらっていたと記憶しています。





私の知識不足、経験不足ゆえレ・ミゼラブルは共感も理解も足りなかったけど
かねてからモヤモヤ分からなかったレ・ミゼラブルの壮大さは
ジェリムさんが解釈する「善も悪もない激動の時代に生きた人々の話」で
時代変われど共感できる人間叙事詩なんだと学び
少しは面白いな、と感じるようにはなりました。
まあだからと言って好んではもう観ませんけども^^;


それからエポニーヌ役で韓国ミュージカルデビューをされたルミーナさん
日本とインドのミックスで10代のときに韓国ミュージカルをみて韓国語を猛勉強をされ
さらにソウル大の声楽科で学び、韓国ミュージカルデビューをされた新星の俳優さん

完璧な韓国語で歌い演じられていて素晴らしかったです
耳がよく根からの俳優さんなんだなと感じました
韓国語ネイティブの話し方、呼吸をマスターされてるんだと思いました。

ルミーナさんは今年、日本のレ・ミゼラブルにもエポニーヌ役で出演されるそうで
これからの活躍に期待の役者さんです^^

























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